もうちょっとゲイについて語る | せきらら性教育

もうちょっとゲイについて語る

「ゲイは結婚できるの?」

またしても、息子のいきなり攻撃。

「うーん、調べてみんとちょっと分からんなあ。確か、できるようになった国もあったんちゃうかなあ・・・」

で、調べてみると結構ある。一番早いのはデンマークで1989年。結婚してるのと同じ権利をもてるけれど、しかしながら、教会での結婚式はだめ。本当の意味で、ヘテロの結婚と同じ意味を持つゲイの結婚を認めたのはオランダが初めてで、これは2001年。結構最近まで認められへんかったんやなあ。

「おかあ、何で結婚するの?」
「結婚は、そら、二人の人間が一緒にいたいからするって言う部分もあるんやけどな、もっとぶっちゃけた法律的な単純な話したら、契約や」
「契約?」
「お金とか、財産をちゃんと二人で共有しまっせえってゆうことやな。ゲイのカップルの結婚が認められへんと、かたっぽが死んでしもた時に、残った人は死んでしもた人の財産がもらえへんねん。おかあかて、おとうが死んだときにお金もらわな困るさかいな」
「おとう、お金あるの?」
「あんまりあらへんなあ・・・おかあもないけどなあ・・・」
「ねえ、そういう契約なんだったら、何でゲイは結婚できないの?」
「してもええと思うけどねえ・・・」

まあ、宗教的な理由が結構あるんちゃうかなあ。キリスト教とかイスラム教とかな、結婚は子供作るため、みたいなところがあって、子供作られへんのはあかん、ゆうことになるみたいや。それから、結婚は男と女がするのんやって思い込みもあるんちゃうか。それで、怖いのはな、この思い込みが、
「男と女が結婚することが道徳的や。男同士・女同士は不道徳や」
ってねじれた思い込みに変わることなんや。
それで、もっと怖いのは、この思い込みが、
「そやからゲイのカップルは不道徳や」
って、むちゃな断定に変わってな、
そこから、
「そやからゲイは不道徳な人間や」
って
めくらめっぽう主張するやつらが出てくるねん
そんでな、そうやって声のでかいやつらがわいわい言ってるとな、
それが
(まちがってるんやけど)常識や、ほんまや
ゆうことになるねん。

「そんなのひどくない?」
「ひどい。これは、あかん」

そやけどな、こういった、「常識」は「そやそや」って言いやすいやろ。そやから、ブッシュのあほが選挙のときに「僕はゲイの結婚は許しませーん」とかいって、票を集めよったんや。

「何でそんなことになるの?」
「TVの見過ぎやな。TVやら、まあほかの雑誌なんかもそうやと思うけど、ゲイを『男が好きなおんなっぽい男・そんで淫乱』っていうイメージを作ってるやろ」
「だから、僕の友達が、ピンクの袋見て『ゲイだ』って言ったわけだね」
「よくできました。そういうの、偏見ゆうて、ようないんやで。そやけど、あれは、あかむらさき!」
「ふーん。じゃあ、淫乱ってどういう意味?」
「それは辞書をお引き」


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付記(今日はかなり長いです): 「ゲイには僕たちみたいにまじめに付き合ってるカップルは多いんだ。彼とは本当に分かりあえて、僕たちは夫婦とおんなじなんだ」って、The Wedding Banquet という映画で、主人公が主張をしていました(彼の名前、正確なせりふは忘れてしまいました・・・)。

わたしは夫婦がお互いに持っているのと同じ権利をゲイのカップルにも認めるべきだと考えています。たとえば、基本的人権の一つである、財産権を考えてみても、そうすることが正しいことは明白です。

また、世界人権宣言の第二条「すべて人は、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見、国民的あるいは社会的出身、財産、門地その他の地位がどのようなものであっても、それらを理由にした差別をも受けることなく、この宣言に掲げるすべての権利と自由とを享有することができる。」をみても、ゲイの結婚を許さないのはおかしいのです。

ちょっと長くなるのですが、ゲイの結婚の法制化の最近の歴史をまとめてみます。

1989年 デンマーク: 同性間結婚のカップルに、異性間結婚のカップルと同じ権利を認める。教会での挙式はできない。

1996年 ノルウェー、スウェーデン、アイスランド: デンマーク型の条例を制定。

1999年 フランス: 同棲しているカップルに性に関係なくPacsという契約を認める。この契約から生じる権利には税金の免除、相続権、親権が含まれていない。

2001年 オランダ: 世界で始めて、異性間結婚と全く同じ権利を同性間結婚に認める。

2001年 ドイツ: 同性のカップルに「生涯パートナーシップ」への登録を認める。この制度では相続権のみ保障されている。

2002年 フィンランド: デンマーク型の条例を制定。

2003年 ベルギー: ゲイの結婚が許可される。

2003年 アメリカ: US Supreme Court(最高裁?)において、同性の大人が合意を持ってセックスを自分たちのプライベートな空間においてすることすら違法であると禁止するのは(法律文章はややこしくて分かりにくいな)、アメリカ憲法に違法であるとの判断を下す。

2004年 スペイン: 社会主義政府が家族法の抜本的改正に着手。草案の段階で、同性間結婚にも異性間結婚と同じ権利を認める。この権利には親権も含まれるため、養子縁組ができるようになる。しかし、カソリック教会はこれに反対し、スペインのカソリック教徒に反対運動を起こすよう呼びかけている。

2004年 フランス: ボルドー地方において、政府の警告にもかかわらず、革新派の市長が同性間結婚を執り行う。しかし、法廷において、「性の違うことが結婚の条件である」として、この結婚は無効になった。

2004年 アイルランド:  レズビアンのカップルの結婚権の請求に関して、総理大臣は同性のカップルの権利をある程度認めるべきだと発言。しかし、結婚を認めるのはまだ先になるとも。

2004年 イギリス: 結婚に伴う権利とほぼ同じ財産権・法的権利を認める条例を貴族院が通過させた。2005年から有効になる。しかし、この権利には親権が含まれておらず、養子縁組をすることはできない。

2004年 ニュージーランド: 国会が同性のカップルのcivil unionを認める条例を通過させる。

2004年 アメリカ: かなりの州で「結婚は異性間の結びつき」という州憲法の定義に対する修正案が可決される。しかし、国会では合衆国憲法の修正案に可決することに失敗。ブッシュ政府は合衆国憲法が同性結婚を違法にする修正案を支持するが、各州においては独自の条例を制定することができると発言。

2004年 カナダ: 最高裁が政府に同性間結婚の登録を許可する法律を国会に提案する許可を与える(ややこしいな)。カナダでは一部地域で結婚証明を同性のカップルに発行している(いつからかはちょっと分からない)。

で、日本は?というと、こんなの話題にものぼらないようです。どんな議論が行われているのか、ご存知の方がいらっしゃったらご一報ください。ドイツに行って結婚された方がいらっしゃるようです。

ここで、親権の話が出てきていますが、「家族」というのは大人だけではなく、そこで育つ子供がいることではじまる、という考えがヨーロッパでは根強いのです(Starting a familyはカップルに子供が加わることを意味します)。そういった意味において、親権が含まれているかいないかで、同性間結婚の意味が大きく変わることが分かります。

また、蛇足ですが、アメリカやカナダでは政府と国会と法廷が三権分立の形で、この同性間結婚の問題に取り組んでいることが分かります。これを見ると、日本の裁判所にももうちょっとしっかりして、立法審査権をしっかり活用してもらいたい、と思ってしまいます。

追記: 上記のまとめはこちら の記事を参考にしました。
追記2: 上で言及した日本人の方の記事はこちら を見てください。
追記3: サブローさん、どうでしょう? 長くなりました。ごめんなさい。
追記4: 当方の事情で英語の記事ばっかりです。日本語関係はGoogleで検索をかけると結構出てきますこちら で見てみてください。
追記5: 追記が多くてすみません。