続:雇用保険 給付制限期間の短縮 | 生活を豊かに醸造したい(life-brew) FP/料理/craft beer/音楽/美術/身の回りや季節のこと など-

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FP事務所ライフブリューです。
2019年まで「Mr.ソトコト」で綴ったブログをFP開業を機に再開します。
FP関連の比重を高めたい!と意気込んでますが、まぁあまり気負わず続けていければ。
以前の記事も残しておきますので、よろしければご覧下さい。



明けましておめでとうございます🎍

本年もよろしくお願いいたします。


昨年6月に政府から出された「骨太の方針」の中身が、小出しに具体化してきています。

いずれも、学び直しや労働力移動による成長分野の人材拡充を目指す流れの一環といえます。


その中で、昨年12月13日に開催された厚労省の労働政策審議会職業安定分科会で、基本手当(失業手当)の支給までの期間を短縮する具体的な内容が示されました。


現在、自己都合退職の場合は、ハローワークに届け出てから7日間の待機期間の後、失業手当の支給まで2ヶ月の給付制限期間があります。


これが、1ヶ月に短縮されます。令和7年度からの改正予定となっています。

現在、2ヶ月となっている給付制限期間は5年間の中で2回の離職までの利用制限付きですが、これは元々給付制限期間が「3ヶ月」だったものを、令和2年10月から2ヶ月に緩和した際の取り扱いです。

利用制限については、今回の見直し案でも「5年間で3回の離職まで」とされています。


このように、給付制限期間が次第に緩和されてきたのは、骨太の方針のようにIT·AI領域への人材流動化を後押しする目的もありますが、

・終身雇用制度が崩れてきたこと

・退職給付制度のDC年金へのシフト

・非正規雇用の増加

・飲食業等、流動化の激しい雇用環境

・転職へのマイナス意識やハードルの低下

・起業やYoutuberなど雇用されない働き方の浸透


のような大きな環境変化からは、違和感の無いものだと思います。

自己都合退職が、何か特別なことや悪いことのように扱われた?昔とはまったく違いますからね。


ちなみに、令和2年のひとつ前の改正時の給付制限期間って知ってますか?

5ヶ月?6ヶ月??


なんと、1ヶ月間でした😮


「え!昔のほうがユルかったの?」


そうなんです。

昭和59年の改正で、給付制限期間が1ヶ月から3ヶ月に強化されたんです。ずいぶんと前の話ですけど、どうしてでしょう。

厚労省の資料には、次のように書かれています。


自己都合退職者に係る給付制限期間について


昭和59年改正により、自己都合退職者の給付制限期間は1ヶ月間から3ヶ月間に延長された。


(経緯)

①受給資格者の6割が正当な理由のない自己都合退職者であり、その傾向は若年者層において顕著なこと(29歳以下 ;82.2%)


②これは、給付制限期間が1ヶ月と短期間であることが安易な離職を誘う理由となっているのではないかと指摘されていること。


から、給付制限期間を延長することにより、離職を決意する際の慎重な判断を期待し、安易な離職を防止するとともに、離職後の再就職意欲を喚起するため、給付制限期間を延長することとしたもの。


なお、併せて、自己都合退職者の早期再就職を促進するため、再就職手当について、給付制限期間中も支給することができることとした。


今回の短縮議論とは真逆です。

時代が違うと、こうも変わるんですね。

若者の「安易な離職」を抑えるために失業手当を出すのを遅らせたんですって😬

バブル期前夜、そんなに若者は辛抱ができず奔放だったのでしょうか?あるいは労働環境が厳しかったのでしょうか?

離職の理由は様々と思いますが、背景に終身雇用的価値観が色濃く見えます。


それにしても、「正当な理由の無い離職」という表現は、今でも使われていますがそろそろ見直すべきではないでしょうか。

正当=会社都合の退職  ってどうなの?

リスキリングによる転職や、政府が奨励する自律的な人材移動もみんな「正当ではない離職」になります。言葉尻を捉えたくないですが、なんかブラックジョーク😎


提案:

正当ではない離職=会社都合退職


反対にしたほうがまだよくね?


働き方の主人公を、会社から個人に移していくなら、個人のキャリア選択をネガティブに捉えかねない労働法規上の表現は見直さないと、本気度を疑います。


ではまた。

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