新型コロナの感染が拡大した際、在宅勤務を導入する企業が一気に広がりましたよね。
「原則全員在宅勤務」という職場や会社が、テレビやマスコミでよく取り上げられました。
今はどうでしょうか🤔
元に戻すところと、在宅勤務が定着したところがハッキリしてきたように思います。“原則出社”が再開されると、何か変わるんでしょうか?
以前、在宅勤務を始めた会社の人たちから「通勤手当や定期券の支給が無くなって、出社日だけ精算することになった」との声が聞こえてきました。ということは、また定期券が復活してきているのでしょうね。
ただ、これは単に通勤手当が出るようになっただけではなく、社員の収入や社会保障に小さくない影響を与えるのです😯
通勤手当が無くなった時、
「社会保険料が減る!でも年金が少なくなる!!」
なんて記事を見た記憶があると思います。
通勤手当は、労働の対価とされるので、社会保険料(厚生年金、健康保険、介護保険、雇用保険)の算定基礎に含まれます。
つまり、通勤手当がなくなると、将来の年金や病気で休むときの傷病手当金、失業手当の金額が少なくなる人が出るということで、けっこう話題になりました。
保険料が安くなることより、保障が低くなる方をネガティブに捉えていたということですね。
といっても、全員に影響があるわけではありません。健康保険と厚生年金でいえば、標準報酬月額の区分が変更になる(高くなる/低くなる)人だけなので、通勤手当がけっこう高い人か、偶然等級の境界に近い月収だった人になります。
通勤手当をまたもらい始めた、と仮定した事例で確認してみましょう。なお、健康保険は協会けんぽの東京都の金額を使っています。
仮に対象となる月収が360,000円とします。
「保険料額表」では、報酬月額が350,000円~370,000円の人の場合、健康保険の等級は25、厚生年金の等級は22で、いずれも標準報酬月額は360,000円を用います。
この場合、健康保険料+介護保険料の社員負担分は21,276円、厚生年金保険料の社員負担分は32,940円です。
この人が、小田原駅から東京駅まで長距離通勤している場合、6ヶ月の定期券代は216,280円、1ヶ月相当では約36,043円です。
これを月収に加えた396,043円を保険料額表にあてはめると、標準報酬月額は410,000円と、5万円も上がりました。
等級をみると、健康保険が27、厚生年金が24とこちらも2段階上がっています。
この場合の保険料は、健康保険+介護保険が24,231円、厚生年金が37,515円となり、通勤手当をもらっていなかった時と比べ、合計で7,530円も保険料が上がりました。
つまり、その分「給料は変わらないのに手取りが減る」ことになるわけです😦
コロナ禍に入社した若い方など、通勤手当が無いのが当たり前の世界から支給が始まると、手取りが少なくなる理由が分からないかもしれません。それは、保険料の等級が上がったためなのです。
でも、冒頭に書いたとおり、将来の年金額が増えるなどトータルで考えると決してマイナスではないといえます。
このようなお金の仕組みは、よく理解しておきたいものです👍️
ちなみに、小田原ではなく横浜駅から東京駅に通う場合でも、6ヶ月の通勤定期券代を支給されると、ひと月あたりの通勤手当が1万1~2千円となり、上記の例の場合(月収36万円)だと等級がひとつ上がり、約3,000円ほど手取りが減ります。35万円の人は等級変わらないけど。
等級をまたぐかどうかは、現月収の微妙な差にもよります。
なお、通勤費は原則として月15万円までは非課税なので、大部分の方は通勤手当支給が再開しても、税金まで増えることは無いと思われます。
出社日の通勤費だけ事後精算する仕組みでも、ほぼ毎日通勤する人の場合は結果的に影響が無いように思えますよね。
でも、通勤手当ではなく「立替交通費」として処理する場合、交通費は非課税ですが同時に社会保険料の算定にも使いません。
なので、これまで交通費で精算していた場合、通勤手当に変わればやはり社会保険料は増えるということです。
標準報酬月額の定時決定は、4,5,6月の報酬を元に9月から改定されます。
9月…どうなっているでしょうね。
なんか複雑ですが、個人的には通勤手当でもらって社会保険料が増えた方が将来の備えになるからいいな、と思っています🤗
ではまた。