今回は場の理論で基本的な対象であるSpinorについて簡単にまとめたいと思います。

今回も常に加筆して行く予定ですので、時々覗いて頂けると幸いです。

注:本ブログではこのところ戯れ言的まとめが増えております。これは現在私が数学の方を対象とした物理(位相的場の理論周辺)のTalkを依頼されており、議論の流れや、疑問を洗い出し整理する為です。しかし、内容が錯綜しておりますので、質問、意見、議論は大歓迎でございます。

ちなみに場の理論の作り方?(完全にメモ+戯言)も書いていますので、場の理論の基礎的な事(流れ+私の疑問)について興味がある方はそちらも参考にして頂けると幸いです。


D次元時空Riemann多様体(M, g)の上に多脚場(~計量を平坦計量に変換するJacobi行列)を定義すると多様体の各点で直交基底を取る事が出来る(?)

⇒ 多脚場はいつでも定義出来るか?(~多脚場はどのようなFiberを構成し、Fiberの定義可能条件は存在するか?)

⇒ 局所的には可能である(と考えられる)が、大域的に可能であるか非自明である。特に向き付け不可能な多様体では、Jacobi行列の符号を大域的に整合性を持たせる事は出来ず、従って多脚場は定義出来ない(と考えられる)。つまり、spinorの定義と多様体の向き付けは関係しているようだ(?)。

"各点で直交基底が取れると"基底の回転変換対称性(~O(D) or SO(D)対称性。相対論的にはO(D-1, 1) or SO(D-1, 1))が生じる(?)。

⇒ O(D) or SO(D)からSpin群を取り出す

⇒ Spin群の表現 ⇒ Spinor

疑問:

・これらの"発見的方法"とClifford algebraの関係は?

⇒ Spin群はClifford代数から構成出来る


注:以下の議論はD=4のときのみ。そのうち高次元への拡張も加える。

Clifford代数の表現 ~ Gamma行列 ~ 微分形式(?)

⇒ 表現の基底:

1 ~ 1, γ^i ~ dx^i, γ^[i γ^j] ~ dx^i∧ dx^j, …, γ^N+1 ~ dx^i_1 ∧…∧dx^i_D

= Σ_i^D D C i = 2^D : 2^Dが(Nの)平方数となる事は条件か?ちなみにこれはD=2, 4のときのみ成り立つ。これが成り立たないときは何を意味するか?(高次元へ?)

⇒ Chirality

γ^D+1が全てのγ^i, i=1, …, Dと独立である時、(1±γ^D+1)/2の固有値をChirality、固有ベクトルψ_±はそれぞれWeyl spinorと呼ばれる(?)

⇒ 荷電共役:

Clifford代数は任意の表現行列に対して、表現行列の転置を取ったものもClifford代数の表現となる(計量が対称tensorであるため)。元の表現と転置を取った表現は荷電共役であると呼ばれる(?)。荷電共役対称なspinorはMajorana spinorと呼ばれる。特にMajorana spinorは実spinorと言っても同義である(?)。

Majorana spinorから1つのWeyl spinorがつくれる(Chirality分解)

1つのWeyl spinorからMajorana spinorがつくれる(Chiral対称になるように組む)

これらは電荷や質量で区別される(?)

⇒ Chiralityとhelicity

Massless spinorの場合、運動量として時間及び空間成分を一つずつ持つ状態を選択する事が出来る。この系でDirac方程式を解くと進行方向の角運動量の成分(=helicity)とchiralityが一致する事が分かる。


疑問:

・次数付きLie代数(~今回の場合Clifford代数や超代数)とspinorの関係は?次数付きLie代数はvector空間として書き下せる(らしい)ので、spinorもあるvector空間の元として表現出来る(はずである)?

・射影空間上のHolonomy群とspin群の関係は?向き付け不可能であっても、2周すると元に戻る(~二重被覆との関係?)より、spinorと同じ構造を持つ。


一般次元の場合(途中):

Clifford代数



より、





と組むと、生成消滅演算の代数(Fermion version)





を満たす:



ここで基数と偶数が異なる、という事実を使っている(2a≠2b+1など)。0成分も同様。

この生成消滅演算代数を用いてFermionの表現を構成する事が出来る。

⇒ 全てのγ^a-に消される状態ξを用いてγ^a+を作用する事で任意のspinor表現を得る事が出来る。