注:未完成の自分用のメモです。間違いが存在する可能性があります。間違いなどを発見された場合はコメントにて指摘して頂けると幸いです。

~本文ここから~

~エピローグ~

場の理論では、時空の存在を仮定し、時空の対称性から存在可能な物理量(場)を定める。こうして得られた場には内部対称性(~内部空間(〜場を座標とするような空間)の持つ対称性)という付加的な構造を考える事が出来る。内部対称性が連続対称性、即ち内部対称性に対応する変換の成す群が連続群(特にLie群)であるとき、内部空間にGauge原理からGauge相互作用を導入する事が出来る。Gauge相互作用で表される力を運ぶ場がGauge場である。これがGauge場の理論の基本的な考え方である。

*少し数学"風"に言えば次のようになる(と思う):

・まず、D次元時空多様体Mの接朿TMを考え、TM上に定義されている構造群GL(D)から"時空対称性"として仮定したい部分群Hを指定する(計量が定義されていればキリングベクトルを用いて対称性に対応する群の生成子を指定することができる)。Hの基本表現が存在可能な物理量となる。即ち、基本表現としてHを構造群とするベクトル束V(これはTMを底空間とするベクトル束である)が定義され、Vの切断が物理的な場となる。

・次に、Hの基本表現として定義されるベクトル束をn個とってきて、それらの直積の成すn次元空間U(これが内部空間)上の対称性を考える。先ほどと同様にU上に定義されている一般線型変換群GL(n)から"内部対称性"として仮定したい部分群Kを指定する。Kの基本表現は多重項と呼ばれ、多重項を成す場の組は、互いにGauge相互作用をする。加えて今回はKの随伴表現を考える。時空対称性に関する変換はTM上で一斉に同じ変換(大域的変換)を施すが、今回は各点でバラバラの変換(局所的変換)を与える。このバラバラな変換を指定する新たな場がKの随伴表現によって定義される。この随伴表現はKを構造群とするK-主朿L定義し、Lの切断がGauge場(Gauge相互作用で表される力を運ぶ場)となる。ここでGauge場自身もKの表現である事に注意。

~Yang-Mills理論~

従って、時空の幾何学、内部空間の幾何学が判れば、何を扱うべきかはある程度決まってくる(逆もまた然りで欲しいものを定義可能な時空、内部空間を設定するという場合もある)。しかし、法則が判っても、それらを与える方程式が"解けなければ"、法則が記述する現象を"理解"したとは言いがたいだろう。

上記の設定の下、Gauge場が定義されたら、Gauge場が従う運動方程式を設定する必要がある。素粒子物理学で登場する電磁気力、強い力、弱い力などの基本的な力を記述するモデルは次のYang-Mills(YM)作用

S[A] = -1/4 ∫dx tr[F^2]

で与えられる(monopoleの場合はHiggs場が結合したものを議論する)。YM作用から得られるYM場の運動方程式は大きなクラスの可積分性(〜運動方程式がいろいろな条件で解けること、くらいの意味で)が備わっており、具体的に解くのは大変であるものの、解の構成法や、それを用いた具体的な解が知られている。

~解の構成~

Yang-Mills場の方程式の可積分性では(反)自己双対接続((A)SD)と呼ばれるものを基本的な対象とする。(A)SDは解が安定である為に必要であり、このとき解は内部空間の"Topological"な情報を反映する(数学者に言わせれば微分構造を用いるので"Differential"な情報だそうだ)。

解の構成法はTwistor理論に端を発するADHM/Nahm構成法と呼ばれるものである。これは非常に単純に言って

YM場の方程式の解 ⇔ ADHM/Nahm方程式の解 + 条件

という対応である。即ち、難しい(微分方程式の)YM場の方程式((A)SD方程式)の解の成す空間と、より簡単な(代数方程式の)ADHM/Nahm方程式の解の成す空間が1:1に対応し、その間の変換が具体的にわかっている、ということである。この対応はそれぞれの方程式の解のModuli空間の対応を用いたものであり圏論的な視点との関係も深い(この対応はフーリエ向井変換であるby浜中さん)。従って、適当な条件の下、ADHM/Nahm方程式を解いて、対応するYM場の方程式の解を得ることができるということである。

特に

Instanton ⇒ 4次元のObject(時間的に一瞬しか存在しない)

Monopole ⇒ 3次元のObject

であって、実はInstantonを時間に対して等間隔に配置し、時間を周期的にし、周期を0にとる、という極限でMonopoleになる"場合がある"。つまりR^3×S^1上でNahm方程式を解き得られるObjectがより一般的なObjectであると言えるかもしれない。このObjectをCaloronという。

但しCyclic Caloronを用いてMonopole解を構成出来ないものが知られている:

Atsushi Nakamula and Nobuyuki Sawado, Nuclear Physics B868 (2013) 476.

以下に自分のメモの為参考文献を与える。

村中 大地, Instantons and monopoles in terms of ADHM/Nahm construction

浜中 真志, ADHM/Nahm 構成法とその双対性

村中 大地, Numerical Nahm transform for 2-caloron solutions

本記事はまだまだ途中です。続きが書けるように頑張ります・・・。