意外と傷つく | ドイツ、悪妻愚母のよもやま話

ドイツ、悪妻愚母のよもやま話

主婦にして家事はおざなり、興味あることだけ、猪突猛進の悪妻愚母のドイツ生活

 別の町に住む日本人のお友達、ソノ子ちゃんと電話でお話ししていた時の事。

 

 私「最近ちょっと気になってることがあってさぁ。

 小さい事なんだけど、何回もくり返されると結構傷つくんだよね。

 私と旦那がドイツ人と立ち話とかするじゃない。そうすると、私が質問したのに、なぜか相手は旦那の方を向いて答えるんだよね。あのー、私もここにいるんですけど。て言うか、私が話しかけたんだけど、みたいな。あと、肉屋や魚屋などなどの売り場で、私が注文しても、確認するように旦那の方を見られるのもヤな感じ」

 

 あれってどういう事なんだろう。向こうは悪気はないのだと思うが、何回も重なると、私は空気なの?透明人間なんですかーて叫びたくなるわな。

 私のことを知らない人は、私がドイツ語ができるのかどうか定かでないからというのもあると思う。でも担任の先生とか知り合いの人と話していてもよくそうなる。そりゃあ旦那はネイティブだけど、私だってドイツ語わかるんだけどな。

 

 「あ、私もそう言えば、それ、あるある!」

 と叫ぶソノ子ちゃん。

 「本当?やっぱりぃ!わかるよねー、わかるよねー」

 理解者を得た嬉しさで声が弾む私。

 「あれって何なんでしょう。言葉ができない場合は仕方ないとして、何となく毛色の違う人より見てくれが同じ旦那の方をみちゃうんですかねえ」

 

 多分そうなのかもしれない。そうした人が悪気があってやったとは思わないし、ましてや人種差別とか何とか深刻な事ではないのも十分わかるけど、何年も住んでいて、そういう事が続くと、小さな傷が溜まっていくというケース。ある日鬱屈した気分になってしまう。

 

 「そうですよねえ。じゃあ例えば、日本にいて、国際結婚をしているご夫婦と話す時、片方が西洋人とか黒人とか明らかに外国人だった場合、私たちも何となく日本人の奥さんとか旦那さんの方を見て話すんですかねえ」

 「それよ、私もそれがどうなんだろうとちょっと考えちゃった。日本でそういう人に会ったことがないから何とも言えないけど、気をつけようと思ったよ」

 

 こういう事が気になるのも、そもそもは、ドイツ暮らしにて自分ができないことが多いからだろう。ややこしいお役所関係の書類や、トイレが壊れて修理を頼むなど手続きは旦那任せだし、文句ひとつ言わずにやってくれる彼には感謝しかないのだが、その反面、自分が半人前というか、小さな子どものようになった気がしてもどかしさも募る。

 日本だったら、一人の大人として全部自分でできるのになあ。私ってなんだか役立たずみたい。その欲求不満がたまると、小さいことに一々敏感になる。

 

 先週の金曜日、行きつけの東洋医の先生の所に行った。

 この先生は、ものすごくインターナショナルな人で、メキシコと中国のハーフとして生まれ、カナダで育ち、ドイツで医者として働き、といろんな国を知っている人だ。

 日本にも何度か行ったという事で、安藤忠雄や日本の東洋医学にも興味があるというものすごくインテリな女性である。

 私が日本人のせいか、先生の中国のルーツのせいか、ここに来ると、珍しく旦那よりも私と話が弾み、なぜかそれだけの事で、自分が一人前の人間として認められたような、空気人間ではなくなった気がするのだから不思議。

 

 やれやれ、今日のところは先生のおかげで命拾い。とは言え、こういう小さいことが積み重なると、ある日突然外国暮らしがイヤになることもあるから注意しなきゃな。