夏祭り② | ドイツ、悪妻愚母のよもやま話

ドイツ、悪妻愚母のよもやま話

主婦にして家事はおざなり、興味あることだけ、猪突猛進の悪妻愚母のドイツ生活

 その翌日。

 夏祭り2日目の土曜日。今日が夏祭りの本番で様々な催し物が予定されている。

 

 午後になって公園に行くと、昨日以上にたくさんの人出だ。テントの下ではお絵描きやゲームなど子供が参加できるコーナーがたくさんあり、子どもの熱気でむせかえっている。

 それにしても。ここでもグローバル化が本当に進んでいる。子ども達の顔を見渡してみると、ヨーロッパ系はもちろん、黒人や中東系、アジア人などありとあらゆる肌の色の子が混じりあって遊んでいる。

 カメルーン出身で息子のクラスメートだったレティシアや妹のシュシュの足の長いことといったら!私にも分けてほしいー。

 ハーフでない純粋アジア人の子も何人かいるぞ。中国系かしら。日本人は私一人しかいないが、さすが13億の人口を擁する中国。この隅の谷でも何人か中国人ファミリーがいる。奥さんと思しき女性たちがテーブルの一角を占め、中国語でのおしゃべりに興じていて楽しそう。

 昔難民の子どもと遊ぶボランティアをしていた時に知り合った小さな子ども達の姿もあった。もうすっかり背が伸びて大人っぽくなっている。流ちょうなドイツ語を話し、みんなに交じって遊んでいる。本当に子どもは溶け込むのが早くてうらやましいな。

 

 

 ひどく暑い日で疲れたのでいったん家に帰り、夜ご飯の後、再び娘二人と祭りに戻る。息子はもちろん友達と。静かなのが好きな夫はどうせ誘っても来るまいと最初っから除外。

 

 公園につくと、まだまだたくさんの人でにぎわっている。人ごみの中から息子と友達が現れ、

 「あ、ママ。お水持っていない?」

 向こうから近づいてくるときは必ず何かあるな。

 「・・・家に忘れてきちゃった。あんた、買うお金ないのか」

 仕方なく、昨日に続いて息子とそのクラスメートに飲み物代を寄付させられる私。祭りの度にたかられたりしませんように。

 

 そしてクライマックスはレーザーショーなる光と音のショー。

 やっと暗くなった10時半の夜空に光の線が現れ、赤や青や緑など次々と色を変えて、オーロラのように広がったり、細い線になって降りてきたり。軽快な音楽と相まって野外ディスコのような雰囲気になってきた。

 

 こんな田舎でこんなショーをするにはエライお金がかかったんじゃないかと思っていたら、今年は隅の谷が自治体となってから50周年目の記念の年らしい。市長さんガンバッタな。

 

 そしてショーの最後は打ち上げ花火。ドイツの夜空にパアーッと華やかに火花が散ってみんな大喜び。夏に打ち上げ花火なんて日本の夏祭りみたい。ドイツじゃ普通大晦日の夜しか花火できないもんな。一気に日本に引き戻されたようになつかしい気持ちになる。

 幻想的なレーザー光線と大音量の音楽に歓声を上げて喜ぶ子ども達。

 前の方にいる子達がすかさず手を上げて踊りだした。本格的に野外ディスコの様相を呈してきたぞ。

 もはや若いとはいいがたい私も暗闇に紛れて右に左に体を揺らしてみたりして。これでも十分楽しいわい。

 後ろを振り返ってみると、どこにいたんだこんなに沢山。隅の谷の住人が総出で出てきたのではないかと思うぐらい人の山、山である。

 昔は人混みがものすごく苦手だったが、何だかこういう風にみんなが楽しんでいる光景っていいな。コロナのこともあったし、以前のように距離もなく大勢の人が集まれる場が戻ってきたのが本当に素晴らしい。

 花火が華々しく終わり、それと共にレーザーショーも祭りも終わった。祭りの余韻を味わいながら家路につく人たち。

 打ち上げ花火の火薬の残り香、まだ高揚している気分と終わってしまってさみしい気分。好きな男の子とうまくいかなかったのか、べそをかきながら帰る女の子。

 国が変わってもお祭りの後のムードって同じなんだと思った。

 

 ちなみに私たちが家に着いたのは夜の11時前。息子が帰って来たのは、12時5分前。次は絶対午前様だなあいつ・・・。