高齢の親が、
幼い子どもにしか
見えなくなる瞬間があります。
ここのところやたらとわがままで、
不安になりやすくて
すぐに怒るかと思えば
今度は甘えてくる。
昔は、頼れる存在だったのに、
まるで子どもみたい…
そんなふうに感じて
呆れたり、イライラしたり
悲しい気持ちになることはありませんか。
介護現場で、困った親の姿に
なんとも言えない表情を浮かべて
肩を落としているご家族の顔を
私は何度も見てきました。
そんな私も、
父親のこだわりに振り回されて
昔はエリートの父だったがゆえに
こんなにもわがままな人だったのかと
驚くのと同時に
お母さんは大変だったなあと
亡くなった母親に同情した日もありました。笑
父は胃癌を抱えていたのもあるし
もともと食事にこだわる人でもあったので
その要求に応えようと頑張ってみるものの
2歳の子供の口に合うものや夫の好みとは
違う…
こちらとしては、子供や夫も大切だけど
父にも元気でいてほしいから
必死で頑張っているのに
あーでもないこーでもないとケチをつけられ、
まるで2歳の子供を2人も3人も抱えてる気持ちになり
キッチンで1人泣くもありました。
「何て自己中なんだろう」
「どうして、こんな言い方をするんだろう」
「分かっているはずなのに」
大切な存在なはずなこに
そう思ってしまう自分が
嫌になったこともあります。
でも、そうこうしているうちに
自分の親や
介護現場でお年寄りたちとも向き合う中で、
私なりに分かったことがあります。
それは、親が幼く見えるのは、
弱くなったからでも、
ダメになったからでもない、
ということです。
もともと親の中にあった幼さが
歳をとるにつれて
より色濃く外に出てきているということ。
そして私たち自身が大人になったからこそ
子どもの時には見えなかった
親の未熟なところがよりくっきりと
見えてくると言う感じです。
でも、その幼さや未熟さは
誰の中にもあって、
「人間らしさ」とも言えるのです。
人はいずれ「親」という役割も、
「ちゃんとした大人」という仮面も
何かの肩書きも
人生の終わりが近づくと、
どんどん手放していきます。
残るのは、
不安や、寂しさや、孤独
誰かにそばにいてほしい
誰かにわかってほしいという、
とても人間らしい部分です。
その姿に向き合う子どもの私たちは、
とても苦しく感じる時期もある。
立派な大人なんだから可愛くないよ
と思う日もあるし、
優しくできない日もあるし、
逃げたくなる日もあります。
それでもそばにいる。
家族でいる。
胸が苦しくなるほど揺れながらも、
向き合っていること
そのものがすごいことです。
そして、今だから言えますが
私たちは、こうして親の「老い」から
「人間の不完全さ」を学ぶのだと思います。
そして、自分はこれからどう生きて
どう老いていくのかを学ばせてもらえる
時間でもあるのです。
完璧な親でなくなった姿を前にして、
完璧な子どもでいられなくなる自分もいる。
それでいいのです。
親が幼く見えるその時間は、
人間のエゴや衰えを見せつけられる
という時間ではない。
親も私たちも不完全さを抱えたまま、
それでも生きてきたし、
生きていいという証のようなものかもしれない。
そう思ったのです。
そして私たちは、
自分はこれから、
どう生きたいのか。
どう老いていきたいのか。
答えを出さなくても
その問いを持ち続けながら生きること。
それを親から教えられている。
そんなふうに思ったのです。
親の老いや介護から学ぶことな
はかりしれませんね。
ここまでお読みくださりありがとうございました。
今日もあなたを応援しています。
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