『失われし銀河の天使 ~ エルフィア ~』に登場するエルフィア人はとっても気長です。
特に、文明支援をしようとしている世界の住人に対しては、何百年でも待つという気長さです。
これには大きな理由があるのですが、その一つは彼ら自身が千歳くらいの極めて長寿命だというもので、地球人の十倍くらいの期間でも彼らの人生上ではなんのこともない、というものがあるでしょう。
地球人の日本人はほんの百数十年前くらいまでは、16歳で「元服」といって大人の仲間入りでした。
当時は数え年(生まれた時には一歳としてカウント)で歳を表していましたから、現代では15歳で大人ということに他なりません。
大人ってことは、それで結婚して独り立ちしていたってことです。
今なら、間違いなく未成年姦淫で警察にお縄です。
これは、当時は武士の時代で、安全安心の保証がなく、だれもが生きるか死ぬかの瀬戸際で生活していて、早く結婚しないと子供を設けることなく死に至ることになりかねないからでした。
そうなると、武士にとってはお家断絶を意味しますので、絶対に受け入れることのできないことでした。
実際、人生50年というのは当時の平均だったらしく、40過ぎたらもう隠居。
多くの武家では子供の小さい頃から許婚を交わし、次世代へと続く保証を早くから求めていた、とも言えるわけです。
そして、武士の時代はカテゴリー1の世界です。
カテゴリー1の世界はとっても時間に余裕がない世界だとも言えるんじゃないでしょうか。
ええ?
それはおかしい!
現代は1分1秒を争う忙しい世界じゃないか!
確かにそうでしょうが、わたしの意味する時間は寿命です。
寿命が短い世界ではわれわれからみると早婚になる傾向があるのではないかということです。
現代世界を見ても、テレビの特番なので紹介される度思うのですが、発展途上の国々では十代での結婚はとても多いと思います。
わたしの祖父母の時代は多くの人が18歳で所帯を持っていたようです。
現代の欧米や日本では、産業革命を経て暮らしが良くなり、すべては自動化され、労働関係の法律も整備され、医療も発達し、日中、カンカン日照りの下、奴隷のような辛い肉体労働からはほぼ解放されています。
衣食住もそういうところより恵まれてきました。
そうやって、日本人の平均寿命は男女とも80歳を超えるところまできたわけです。
いろんな理由があるのでしょうが、日本人の未婚者が増え、晩婚傾向になっているのも、寿命の長さと無関係ではないのではと思います。
今、40代の人を見ても、写真でも、顔の皺は少なくなり、あっても浅く、半世紀前の40代の人より随分若く見えます。
若く見えるというのもそうですが、細胞年齢も実際若いんじゃないかと思います。
太陽の紫外線Bは長年浴びると皮膚の細胞に悪影響があることが言われています。
何十年も田畑で太陽の有害紫外線を浴び続けたわたしたちの祖先たちは、そういう意味で、細胞自体の老化も早かったのではないかと思うんです。
現代日本では、農業人口はぐっと減り、商業・サービス業の3次産業人口が劇的に増えてきています。
要は、太陽の有害紫外線を浴びることなく年齢を重ねるので、歳ほど細胞は老化していないのかもしれないのです。
もちろん、医療の発達も欠かせませんが、CFC(フロン)等でオゾン層破壊が進む中、紫外線Bをカットするクリームを塗って肌を守ろうとすることは、単に日焼けから肌を守るだけでなく、結果的に細胞寿命そのものを延ばしている可能性があるのではないかと思うんです。
最近の芸能人のみなさんは、まったく年齢不詳ですよね。
お化粧のテクも上がってるんでしょうが、どうでしょうか・・・?
あ、でも、酒タバコ飲み放題、好き嫌いが激しく、昼夜逆転で、不摂生してる人は適応外です。
あは。
そして、超高文明人が気長な理由のもう一つは、見守ろうとする世界の住人が自ら気づいて欲しいという気持ちが根底にあるからではないでしょうか。
このお話では、高文明人、エルフィア星のユティスは地球人和人に話す場面があります。
「わかるというのは『頭でわかる』というのではありません。『感情でそう感じ実行できる、もしくは教えることができる』ということです」
この「わかる」ということを、ユティスは和人に対してどこまでも優しく追求するんですねぇ・・・。
一般に「わかる」とは「理解する」ことで、まぁ、なにかの計算とか、なにかしらの知識とか、とにかくなにかの「結末を予想できる」、というものではないでしょうか。
でも、ユティスはそれは「単に知っている」だけで、「わかる」とは別ものだと和人を諭します。
では、ユティスの言う「わかる」、つまり「感情でそう感じ実行できる」とはどういうことでしょうか・・・?
人の感情はとても強く、いったん感情で感じたことはなかなか忘れることができません。
ただ、感情的と言うと喜怒哀楽、あまり好ましからず人物というレッテルが貼られているようですが、ユティスの言う感情は「感動」なのです。
つまり、頭でわかっただけでなく、その上にそれに感動したときこそ、人はそれを実行でき、「わかる」ことができると言うわけです。
わたしたちも、学校で習うことのどれくらいに感動したでしょうか?
読者のみなさんに先生がいらしたら御免なさいですけど、たまに先生がとっても面白く印象的なことを言ってくれる場合があった時、その生徒にとっては生涯忘れられないこととなり、本質を理解することになります。
その時の生徒の心の動きはどうでしょうか?
例えば、わたしの場合、「きみらの命は両親から受け継いだものではない。地球の生命の歴史34億年の脈々と受け継がれたものだ」というものがありました。
授業はいつもどおり、早弁に他の科目の宿題と、生徒たちは好き勝手しています。
先生の言葉にはっとした生徒がどれくらいいたかはわかりません。
両親から受け継いだものではない?
わたしは最初「ええ?」という驚きでした。
「じゃ、だれから・・・?祖父母の、そのまた祖父母の、そのまた祖父母の・・・」
そして、「地球34億年の生命の脈々と・・・」。
それで、わたしはガーンと金槌で殴られたようなショックを受けました。
地球の34億年前は、海があったにせよ、まだまだ火山噴火や隕石が落ちてくる地獄のような世界だったに違いありません。
最初の生命は酸素のない環境で生まれたとされていますが、そんな単細胞の極限世界生命体が、計藻類の出現やミトコンドリアの出現でより高いエネルギーを生む酸素生命体に進化していきます。
そして、多細胞生物に、脊椎生物に、そして、やっと人間に進化し、わたしが生まれてきたというたわけです。
そういう、すべての歴史がわたしの細胞の一つ一つに、そのDNAにもれなく刻み込まれているのです。
走馬灯のように、わたしの頭でそれらがイメージとして浮かび上がりました。
生物の授業で進化論だのDNAだのさんざん習っていたけれど、それが意味することが自分にはまったくわかっていなかったんだと気づいたわけです。
とたんに、受験勉強で嫌気がさしていたわたしは、目の前が開けたような気がしました。
どうして、自分の命を粗末してはいけないのか・・・。
どうして、両親や祖父母がわたしを大切にしてくれるのか・・・。
どうして、勉強しなければならないのか・・・。
みんな、自分を大切にするためだったんだと・・・。
しかし、未解決の問題も出ました。
なんのために・・・?
で、高校3年生の2学期も末となり、はい時間切れ・・・。
幸い、大学はなんとか入れました。
先生は生物学の事実を言っただけです。
それに驚き、気づき、感動し、本質として見たのも、わたし自身です。
こういう「心の動きなくして理解はできない」というのがユティスの言葉なのです。
テストのために丸暗記などはもってのほか、理解からはほど遠いと言わざるをえないというわけです。
この自身の心の動きに時間がかかるのは、みなさんもおわかりいただけると思います。
超高文明人は、この自分で感動するまでは、どんなに教えても身につくことはない、ということを知っているのです。
ですから、文明支援する際にも、とにかく自ら気づかせることに注力します。
決して、詰め込みや強制はしません。
教育はソクラテスがやったような問答形式に行います。
問うことの大切さ、質問をされることの大切さ。
自分で気づき考えること・・・。
いつそれが訪れるかはだれにもわかりません。
しかし、それは突然来ます。
それこそ、超高文明人が望んでいることなのじゃないかと思うんですね。
だからこそ、超高文明は気長に待っているんだと、地球の大多数がそうなるまで・・・。
恐らく、実際に地球もそう観察されているのかもしれません・・・。
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