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娘の学校に、お母さんをガンで数年前に亡くした後、沢山の人々に支えられた経験をきっかけに、自分も世の中の困った人の役に立ちたいと政治活動を活発に行うようになった少女がいる。
彼女が書いた記事はこちら。(ノルウェー語)
画像はお借りしました。
その記事には、「STUCK」というTVシリーズにショックを受けたと書かれている。
25歳のエミリエ・ベックというノルウェー人の女性がナビゲーターとなり、
アジアや南アメリカなどの国々を訪れ、
強制結婚させられる少女達、レイプや人身売買、売春などの犠牲になっている少女達の現状をレポートしていくシリーズである。
娘の中学校では、この番組が授業の題材として使われるそうだ。
女性の社会進出や男女平等が進んでいるノルウェー。そこに住む、ごくごく普通の女の子が垣間見る、驚くべき現実。
「私達の国では、自分たちよりも前の世代の人々が、今私達が手にしている女性の自由を得るため、過去に戦ってきてくれたんだ。」
というエミリエの言葉が心に残った。
この国においても、女性の地位向上は、先人が戦いながら、勝ち取ってきたものである。
先進国と言われる日本だって、女性が商品として使われている「風俗産業」というものが堂々と存在する。
ノルウェーに住むと、そういえば、アナウンサーや受付嬢が、おばさんだったりおじさんだったり、客室乗務員も年配の女性だったり男性だったりと、様々な年代、性別、人種であることに気づく。
一方、日本を含むアジアの国々では、こういった職業は、たいていが若くてきれいな女の人という印象がある。
当たり前と思っていることが、果たしてそれでいいのだろうか?と考えさせられる。
さて、そのTVシリーズだが、一つのエピソードは、約15分、そして英語の字幕付きなので、とても見やすい。
エピソード1の内容を簡単に紹介したい。
カンボジアに住む15歳の女の子を訪問する。女の子のそばには生まれたての赤ちゃんがハンモックで眠っている。
旦那さんはどこにいるかと尋ねたら、外で友達とお酒を飲んでいるとか。
赤ちゃんは、大人しくあまり泣かない。
エミリエが抱いてみると元気がない。
母乳も日に3度しかあげないという。
様子がおかしいので、病院に連れていくことを勧める。
そこで、父親を呼びに行くと、「赤ちゃんは病院に連れて行かなくてもいい。」と言う。
若いこの無責任な父親に、ショックと苛立ちを隠せないエミリエ。
病院はもうすぐ閉まるので、無理やり連れていくことに。
結局、小さな地元の病院では満足のいく治療ができない程、赤ちゃんが弱っていることがわかる。
車で10時間ほどかかる首都にある病院まで連れて行かないと助かる見込みはないとのこと。
点滴をぶら下げた小さな赤ちゃんと若すぎる両親を乗せた車を見送るエミリエ。
その後、赤ちゃんは手当を受けて、元気を取り戻す。
TVの取材がなければ、きっと死んでいただろう。
子供を育てるには、まだまだ無知で幼い母親と父親が結婚させられているという現実である。
レポーターである、エミリエは、どこにでもいそうな普通の20代の女の子である。
彼女が見聞きし、肌で感じたままをドキュメンタリーとして視聴者に伝えている、あまり脚色を加えていなさそうな、ごくごく自然な雰囲気が、番組の好感度を高めている。
自分よりも若い少女たちが置かれている信じがたい環境を目の当たりにして、どうすることもできないもどかしさや怒り、せめてできるのは、彼女たちを慰めることだけである。その場から、少女たちを救うこともできず、そして、彼女たちは「STUCK」(留まる)ことしかできないのである。
シリーズは、ネット上で無料で閲覧できるので、ご興味のある方はご覧ください。
視聴はこちらから。
「ノルウェーのフォトジャーナリストが見た日本の女性達」の過去記事もよかったらご覧ください。
