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週末は、10年来のお友達が、我が家に泊まりに来てくれた。

とはいっても、めったに会わないし、頻繁に電話やメールをやり取りしている間柄でもない。

数年に1回、忘れた頃にメールをやり取りするような仲である。

オスロにもお友達はいると思うが、その中で、我が家に泊まりたいと言ってくれるのはありがたいことだと思っている。

 

彼女は、ノルウェー最大のフィヨルドであるソグネフィヨルドの畔にある風光明媚な小さな町に住んでいる。

家の窓からは広大なフィヨルドを見下ろすことができる。

「うらやましいな」という私に、

「でも、飽きるでしょ?」と夢のないことをいう旦那。

それに対して、

「全然飽きないわよ。季節によって移り変わりがあってとてもきれい。」という返答が返ってきた。

感性が豊かであれば、同じ物でも捉え方が違ってくるのだといういい例だ。

 

さて、彼女であるが、フェリーとバスを乗り継いで、9時間ほどかけてはるばるオスロまでやってきた。

飛行場も電車の駅も近くにないので、この方法が最適だということだ。

長旅ではあるものの、子供や旦那さんから解放された一人旅をおおいに楽しんだ様子であった。

途中のバス休憩で降りた場所で買ったという、美味しそうなパンとチョコをお土産にくれた。

ノルウェーのパンは美味しいし、毎日食べるものなので、こういうお土産はとてもありがたい。

 

さて、彼女の住む町には、日本人は一人もいない。

ノルウェー人の旦那さんは、日本にも住んでいたことがあるので、少し日本語を話せるが、だんだんと怪しくなってきているとのこと。

そんな環境で、中学の教師として経験がある彼女が、子供たちに自分で日本語を教えているそうだ。

それはそれは大変ではないかと察するが、3人ともお母さんには日本語で話すし、本もきちんと読めるそうだ。

無類の本好きである彼女の遺伝子を受け継いだのであろうか。

面白いのが、3人の愛読書は、なんと「いじわるばあさん」。

サザエさんの作者である、長谷川町子さんの漫画だ。

あの「ブラックユーモア」的なものが、彼らにも通じるのだろうか?すごいなあ。

1966年に連載が始まったこの漫画の愛読者が、50年の歳月を経てからも尚、こんな地球の北の果てにいるとは、長谷川町子さんも天国で喜んでいるに違いない。

 

そして、彼女であるが、現在「介護士」として、Sykehjem(介護付き老人ホーム)で働いている。

ちなみに、ノルウェーの高齢者福祉施設について話すとき、以下の施設名がでてくる。

 

  • Seniorbolig 高齢者向け住宅。(高齢者のみに入居が許されるアパートで、高齢者向けの設備が完備されている。)
  • Eldresenter デイケアセンター 
  • Gamlehjem 老人ホーム
  • Sykehjem 介護付き老人ホーム

 

彼女がお世話をするお年寄りの多くは認知症を患っており、片時でも目を離すことができない人々だ。

ノルウェーの老人福祉については、私はあまり馴染みがないので彼女の話はとても興味深いものだった。

 

外国人として、介護の職につくということは、想像すると大変な気がするが、驚いたことに、

「家では、旦那や子供に対してイライラすることがあるけど、失禁をされようが、物を壊されようが、不思議とイライラしたことがないのよね。」とのこと。

 

認知症患者さんというのは、言葉がわかるかどうかで人を判断するのではなく、「自分をきちんとお世話してくれるかどうか」という本能のようなもので人を見分けるそうだ。

従って、外国人であっても、ノルウェー語が流暢に話せなくても、その人にあっていれば、患者さんが頼ってきてくれるそうだ。

 

下の世話に始まり、食事や着替えのお手伝いなど、決して楽ではない仕事であろうが、自分を頼ってくれるという部分にやりがいを感じながら、仕事をしている彼女が少しばかりうらやましいなと思った。

 

彼女曰く、

 

「家族は介護をしなくていいと思う、それは、専門の人に任せた方がいい。」

「家族には別の役割がある、それは、手紙を書くとか、話し相手になるとか、まめに訪問するとか、お花を買ってくるとか、それでいいのよ。」

 

日本では、自宅介護というのがまだまだ主流であり、「介護疲れ」や「介護うつ」などという言葉もあり、自殺者がでるなど社会問題にもなっているが、こちらでは、介護は国が責任を持つものだという考えが定着している。

確かに、介護や看病に疲れて、共倒れになっては本末転倒だもの。

 

彼女は学歴の高い人ではあるが、こちらでは介護職の資格はなく、通信教育と自治体が提供してくれるコースで、目下資格をとるために勉強中だということだ。

 

仕事も家のこともきちんとこなして、本当に頭が下がる。

 

「大学の勉強(ちなみに英文学部)は、趣味だし、教職はついでにとったみたいなもの、本当は自分は介護の仕事につきたかった。」

と豪語する。

 

そして、

「子供はあまり好きじゃないの。」

とも。

 

なかなか興味深い人である。

彼女との会話を通じて、仕事とやりがいについて、少し考えさせられた。

 

画像はネットよりお借りしました上矢印