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移民政策やグローバリズムに関する記事を多く書いていらっしゃるナスタチウムさんの記事をリブログさせてもらいました。
移民に対して直接的かつ厳しい発言で、注目を浴びているノルウェーの移民統合大臣に関する記事。
彼女は、若干39歳、3人の子のお母さんでもある。
ノルウェーの国民にとって、そして、移民として、難民としてやってくる人々にとって、長期的な視点から、大切なことを指摘していると思える記事である。
私自身も、ノルウェーの国の文化や価値観を尊重することは、ここでの暮らしを快適にする上で、とても重要だと思っている。
会社の同僚が、先日この大臣と同じ飛行機に乗ったそうだ。リベラルな考えをもつ同僚は、彼女の直接的な発言や、厳しすぎる移民政策が嫌いだと言っていた。
ただ、進歩党の支持率はあがっているそうだ。
かたや日本、自民党が将来の労働力不足に備えて、移民受け入れを検討しているというが、ノルウェーのように慎重になるべきだろう。
特に単一民族国家である日本は。
11月25日付の、イギリスのSpecutator誌にも彼女へのインタビュー記事が載っている。
以下、訳してみた。(内容の正確さは保証できませんので、悪しからず![]()
2015年にドイツのメルケル首相が難民受け入れを表明して以来、難民が最初に到達した国で難民申請を行うというルールが破られ、その影響がすぐに表れた。16万人以上がスウェーデンに流れ込み、メディアでも話題になったように混乱が起こった。
その隣の国ノルウェーは状況が違っていた。ノルウェーが受け入れたのはたった3万人であり、今年に至ってはたった2千人しか受け入れていない。ただし、この国の若き移民大臣、シルヴィ・リストハウグにとっては多すぎる数かもしれないが。
「我々は、ノルウェーで滞在許可をもらった人々がノルウェーの価値観を尊重し、同化するためには、困難な状況に直面しています。言論の自由、思想の自由、子育ての方法など、何をしていいか悪いかなど。例えば、ノルウェーでは子供への体罰は許されません。」
欧州の大臣が移民政策に子供への体罰を関連づけるというのはちょっと変わっているが、この39歳のリストハウグ氏は、直接的な言い方に慣れている。彼女は、他のヨーロッパの国々もノルウェーのやり方をまねる時がくると信じている。
彼女が属する進歩党は、野党時代が十数年続いた後、4年前に発足した政権において、保守党連立政権の第二党として加わることができた。彼女の党は、1980年代に大量に流入した移民の問題対策を提言してきた。ヨーロッパで起こっているポピュリズムの一歩手前を我々は進んでいる。
「欧州の多くの国が社会主義政党であるものの移民政策には反対の立場にいます。我々はリベラルな政党であり、小さな政府を望んでいます。国民自身が自分たちの生活について決定権を持つべきです。長い目で見た場合、ノルウェーにとって重要なのは、より厳しい移民政策をとることです。」
シリアやイラクの紛争によって、2015年にスウェーデンや他の国で見られた難民の流入は、引き返せない人口動態の流れになった。
「アフリカは2030年までには、約5億人以上増えるといわれています。」
「多くの中東やアフリカ諸国は不安定であり、そこに住む人々は、携帯やユーチューブなどで、西側諸国や欧州の人々がどういう暮らしをしているか知っています。だから、彼らが我々の暮らしや生活水準を望むのは理解できます。でも、そんなに多くの人を受け入れ続けることは不可能です。」
石油産出国であり、1兆ドルのソブリンファンドを擁する世界でも指折りの裕福な国であるノルウェーにおいて、移民問題があまり問題にならないのはなぜだろう?
「それは、ノルウェーの国がとても慎重だからです。今ある仕事はひょっとしたら明日はもうないかもしれません。例えば、スーパーマーケットでの仕事。学歴があまり必要でないこういった仕事。学歴もなくノルウェーに来た人々は、もし、この流れが続けば将来どうなるのでしょうか?」
「スウェーデンでは、これが今大きな問題になっています。高い最低賃金により、移民への支払いが経済を圧迫しています。アフガニスタンやソマリアから戦争や飢餓を逃れてやってきた多くの人々は、中等教育さえも受けておらず、資格もないため、仕事を見つけるのが非常に難しいです。マルモ市などのいくつかの町では、警察は、暴力や仕事のない移民の犯罪組織のことを話していますし、政治家達は、アフガニスタンやソマリアの若者たちをそういった状況のままにしていることを気の毒に思っています。」
経済難民を制限すべきなのは明らかである。しかし、昨年EU域内で難民申請をした人々の約半分が、紛争地域からやってきている。ノルウェーが移民を少ししか受け入れないことを正当化できるのだろうか?リストハウグ氏自身はクリスチャンであり(ノルウェー国教会が「完璧な社会主義者」であるというのも疑問があるが)、政府の移民政策と援助政策との組み合わせは、単なる道徳的対応ではなく、最も効率的な道徳的対応であると言っている。
「私にとっては、これが道徳的な問題であるともいえます。目に見える人だけを助けるだけではだめなのです。自分が知らない世界中にいる何百人もの困った人々のことも考える必要があります。
例えば、ヨルダンにある難民キャンプについてですが、ここでは、ノルウェーとイギリスが、戦禍を逃れてやってきた人々を援助しています。ノルウェーは昨年ヨルダンの使節団に2300万ポンドを寄付しました。これは、国民一人当たりの値段に換算するとイギリスの2倍になります。自国の難民対策は、対外援助予算から振り分けられます。補助金が増えれば、その費用は下がります。貯まったお金は、外国の難民を助けるために使うことができます。現在、3億7千万ポンドが振り分けられており、来年はさらに増える予定です。」
リストハウグ氏にとって、難民を助けるかどうかというのは問題ではなく、最善の方法を考えることの方が重要だ。
「イギリスの移民大臣によると、3千人の若者を自国で救うお金で、世界の他の地域にいる10万人の子供を救うことができる」
という印象的な統計を示した、彼女のイギリスの仕事相手先となる、ブランドン・ルイス氏を訪問した彼女にそのあと我々は会った。
彼女は、これが難民申請者を助ける現代的な方法だと見る。1951年に国連の難民会議で署名者に義務付けられた「迫害を受けるおそれという十分に理由のある恐怖」のあるものすべてに適用することよりも、実用的であると見ている。
「あれは、当時の合意であり、安全な国に来るまで20ヶ国を通過してきた人々を助けるべきなのでしょうか?そうではないと思います。安全な国は、隣にあるでしょ?なぜそんなに遠くまで行かなくてはいけないのでしょうか?」
「西側諸国が、難民の受け入れ数でその国の美徳を測るのであれば、そちらの方が、道徳的に問題があると思います。どうして、そんな長旅ができるほどのお金がある人を助ける必要があるのでしょうか?そのようなお金がない人を助けるべきではないでしょうか?古いルールに従って、沿岸に行き着いた人たちを助けている政府が、人身売買業者を儲けさせているのが現状です。アフガニスタンからヨーロッパに、未成年者を密輸するのに彼らは、3千から2万ドルを儲けています。若い女の子であれば、旅費を工面するために、年の離れた男性に売られることもあります。道中、子供たちは殺されたり、レイプされたりしているのです。私たちはそういったことも制御しておく必要があります。EUに加盟していないノルウェーは、さらに他にも制御しなくてはいけないことがあります。」
スウェーデンの外務大臣である、アン・リンネ氏は、役所の手続きが必要なノルウェーよりは、「月面着陸」の方が簡単だと、苦言を呈した。
リストハウグ氏は反論している。
「スウェーデンからたくさんの人がノルウェーにも来ています。ノルウェーとスウェーデンはとても友好な関係にあります。ただ、スウェーデンよりは、もう少し移民政策には慎重ですが。スウェーデンのいくつかの都市で大変な状態になっているのは知っています。」
リストハウグ氏は、数週間前に、ストックホルム市郊外の若者の移民が多い治安のよくないといわれる町を訪れる際に、挑発的な発言をした。その場所を「行ってはいけない地域」と呼んだ。この言い方にスウェーデン人は怒ったが、彼女は気にしなかった。彼女への批判は、彼女の考え方に一致すると考えたからだ。彼女はスウェーデンを、やってはいけない悪い例と言ったことさえも気にしなかった。多くのヨーロッパの国、例えば、デンマークやオーストリアも我々と同じ考えだ。ドイツだってフランスだって、ベルギーと同じように、同化政策で現在、同じ問題を抱えている。多くのヨーロッパの国で、これを解決することが必要だと感じている。
ノルウェーモデルは、他と全く違うし、大変わかりやすい。「経済難民はノルウェーでは受け入れない。」保護が必要でない人は、アフガニスタンやソマリアに送り返す。
「その手続きは、より高くつくのではないですか?」
「そうですね、でもその価値はあります。違法移民が住み、働いていると疑いのある地域に警察を送り込みます。それによりノルウェーの犯罪が減るのでとてもいいことです。」
リストハウグ氏に尋ねる。非情で優しくないといわれることに慣れたか尋ねると、すぐに返事が返ってきた。
「私は気にしません。私の方針は間違っていません。合意形成の仕方が間違っているのです。多くの国が同じように思っている。新たな合意形成がそのうちなされるでしょう。」
