NBIM ウェブサイトより引用
ノルウェーのセールスポイントを語る際に、忘れてならないのは、
起伏に富む美しい地形と自然はもちろんのこと、
この国がとっても裕福だということ。
ノルウェーって聞くと何を連想しますか?
- ビートルズの曲、村上春樹の小説で登場する、「ノルウェーの森」?
- ノルディックスキー?
- フィヨルド?
- オーロラ?
- ヘリー・ハンセン(スポーツ好きの人は知っている)
- 「アナと雪の女王」 はノルウェーの自然や風景をモチーフにしているらしい
- ムンクの「叫び」はお約束
などなどでしょうか?
まず、スカンジナビアといえば、デンマークとスウェーデンが最初に来るでしょうし、ましてや、それぞれの首都名と地理を把握している人は少ないと思います。
ノルウェーといえば、フィヨルドが有名。
海があることで、漁業、海運、船舶、海洋技術なども優れており、主要な産業となっています。
その中で、この国を北欧一いや世界一(といっても過言ではない)豊かにしたのが、
北海油田に眠る石油なのですね。
1969年に最初の油田が発見されるまでは、ノルウェーはヨーロッパでも極貧国だったそうです。
年配の方々の生活の知恵を垣間見ると、その片鱗がうかがえます。
それについては、また別の機会で書きたいな。
石油の収入がはいるようになって、急に豊かになったそうですが、あまりにもその収入が多くなったということで、石油収入を投資して、将来世代の貯蓄にまわしていこうという提案がなされました。
石油の権益や税収入を国が管理し、国民全体に還元しようという大きな政府。
実に堅実ですね。
勿論、石油はいずれ枯渇するという事実も念頭におかれたのは言うまでもありません。
同じ産油国でも、富が一部の王族や金持ちにのみ集中する砂漠の国々とは、大きな違いを感じます。
1990年、石油基金(現在は、「政府年金基金 グローバル」と名称を変更)が発足し、順調にその規模を拡大し、
現在では、世界最大のソブリンウェルスファンドと言われるようになりました。
その規模は、実に100兆円超、世界77ヶ国、9000社へ投資している。
有名なところでは、
ロンドンの一等地、オックスフォードストリートの一角の不動産も所有。
ちなみに、世界最大の年金基金、それは我が国、日本のGPIFでその規模は約144兆円とか。
ソブリンウェルスファンドと年金基金の違いなどをわかりやすく説明している記事を見つけました。
このソブリンファンド、何が素晴らしいかというと。
- 投資ルールが、明確に定められて開示されており、透明性が非常に高い。
- 石油関連の収入を全て基金に振り分ける。
- 石油以外の国の財政収支を賄うために、基金の運用利益を利用することが許される。
- その割合も国が設定している。
- 投資先は、国内の経済への影響を防ぐために全て国外に投資。
- 投資する商品も、株、債券、不動産とその割合が決められている。
- 投資先に対する厳格な倫理規定が定められており、例えば、武器製造、健康被害、環境破壊、人権侵害などに関与する企業への投資は禁止されている。
- 投資先の一覧がウェブサイトでも公開されており、非常に透明性が高い資金運用を行っている。
- 財務省が運用ルールを定め、それに従って中央銀行の付属機関となる投資顧問が運用を行っている。
などなど、非常にわかりやすいのです。
ウェブサイトも、シンプルかつデザイン性の高い構成になっています。
この運用利益を今の世代を豊かにするために、もう少し使った方がいいか、
あるいは、
できるだけ将来に備えて貯蓄していくかなどについては、常に政治的な議論があるようです。
一方で、国が将来の少子高齢化、難民受け入れ、などの課題も抱え、現状の手厚い社会福祉を維持していくのであれば、いずれはこの基金も、それらの社会保障に食いつぶされるのでは、という見方もあるそうです
そんな頼もしい基金があるにもかかわらず、今後はこの国も高齢化社会となっていくため、十分な年金を受け取ることができないと危惧しているノルウェー人は少なくないのです。(こちらも驚き)
今日はちょっと夢のあるお話でした