ロンドン パーラメント 国会議事堂前は、

スリが多いことで 知られる。


ガイド学校で、しょっちゅう来ていたし、

何度も実習の場所だったし、

1人で何度も訪れていたし、

慣れっこになっていた。

油断大敵。


グループでいる時は、気が緩む。

トルーピング ザ カラーの後、

ダウニング No10 前のパブで昼食をとり、

日本から訪英組を交えた4人で

パーラメント前を歩いた。


週末は、いつもすごい人。

今日も ごったがえしている。


キングズバースデーのせいか、

午後なのに、

今日はデモンストレーションをやってない。


珍しく警官が少なかった。

いつもなら、警官がパーラメント前に、

たくさんいる。

パレードに動員されてしまったのだろう。

こういう日は、落とし穴。


スマホを見ながら 少し歩いた。

この日も私はバックパック。

たくさん小物ポケットがついている。


8ヶ月前に財布をスラれて 痛い思いをしたので、

マシなバックパックに買い替えた、

つもりでいた。


カバンに奇妙な圧力を感じ、振り返った。

大きな褐色の若い男性が、ピッタリ背後にいて

その手が私のバッグを開けようとしている!

すでに1/3まで、開けていた。


ちょっと、何してんのよ。泥棒!


と、叫んだら、足速に去ってしまった。

このあたり、普段なら、警官いるんだけど、

どうなってる!


未遂だし、捕まえようもない。


後方にいる友人たちを探すと、

しゃがみこんでいる姿が見えた。


なんと、1人が財布のスリにあっていた!

カバンの中から、財布がなくなっている。

皆で青くなったその時、奇妙なことが起きた。


どこからともなく、人混みのなかから、

背の低い白人女性が まっすぐにやってきて

友人の財布をさしだした。


「道で拾った」


財布を渡すと 彼女は、また

人混みの中に消えていった。


すぐに中身を確認する友人。

何もなくなっていない。

財布というよりは、貴重品入れだ。

パスポート、多くのカード、その他、全部 無事。

現金は、もともと入れてなかった様子。


皆 安堵したけど、それにしても奇妙な話だ。


あの女性は こんな雑踏の中で、どうやって 

この貴重品入れが 友人のものとわかる?


友人が財布を落とすのを あの女性が見ていたなら、なぜその場で声をかけない?


そもそも、友人のカバンは開いていなかったのだ。

落とすはずもない。


以前、旅先だったか、

似たことがあったのを思い出した。


私は、別の友人と歩いていた。

ふいに、キックボードの少年がやってきて、

友人に財布をさしだした。

「道で拾った」

そう言って、彼は去っていった。


友人は、財布がなくなったことすら 

気づいてなかった。

この時も、中身は無事だった。


奇妙すぎて、安堵ばかりしてもいられない。


検索すると、同様のケースはあるようだ。


可能性として、書かれていたのは、


財布の中身が重要すぎると思われた場合、

スリは返しにくることがある。


理由は、


1、

出来ごころでスリを働き、中身を見たらパスポートなど重要すぎるものが入っている。

捕まった時、罰が重くなるのは、望んでいない。

ロンドンには、防犯カメラがあちこちにあるから、捕まらない保証はない。


または 中身が重要すぎて、良心の呵責説。


2、

カード情報を使って、オンラインショッピング。

でもこれ、商品送付先で身元がバレるから、

買い物なんて無理では?

   

キャシングは、プラスティックカードがないとできないし、

カードなしの不正使用は難しそう。


旅行中にカードを止めると、

資金調達できなくなるので、厄介だ。


しばらくは、カード使用履歴に注意が必要。


ガイド仲間が言うには、


ロンドンはスリの長い歴史がある。

ディケンズの小説でも 

ビクトリア時代の職業スリが描かれている。


友人は、来英前から、

スリには十分注意して準備してきている。

カバンもちゃんと斜めかけ。


私は、早速、バックパックのジップに、

フックをとりつけました。


ロンドン と スリ 

あるあるだ。