学生用アパートに引っ越して最初の週末、

土曜日の夜、10時頃

そろそろシャワーを浴びようかなと、いう時に

火災報知器がなった。

 

非難訓練は、毎週水曜日の午前11時、と聞いている。

訓練?

ほんものの火事?

 

部屋のドアをあけて、廊下へ出ると、

白い煙がゆっくりと広がっている。

 

ここは、8階建て。

8部屋ごとに、広々したキッチン&ダイニングがある。

食器、カトラリー、調理器具、お鍋、フライパン、大型オーブン2台、電子レンジ、トースター2台、電気ケトル2台、大型冷蔵庫2台、大型冷凍庫2台、大型電気4くちコンロが2台。食器洗剤類。自分専用食料保管棚、など何も買わなくてもすべてそろっている。

 

大きなキッチン&ダイニングは、全部で 24か所くらい。

 

煙のでているのは、明らかに、私たちのキッチンからだった。

私の部屋とキッチンの間には 防火ドアが2枚あるのに、もう私の部屋のところまで

煙は着ている。

 

レセプションの若い黒人女性が、走ってきたかと思うと、

煙のでているキッチンの方をみて、

Oh, NO!

キッチンにはいかずに、全員に避難するよう声をだして、

下へ走っていった。

 

外は、5度。

ユニクロ暖パンをはき、コートもつかんで、出た。

一瞬、貴重品も?と思ったが、それが命とりになることも。

エレベータでなく、階段をつかって、外へ。

 

もう、外には、60人くらいの大学生がいて、建物を見上げていた。

キッチンは中庭側に面しているので、道路側からは、煙も全く見えない。

 

デリバリー直後の ピザの箱をもって立っている人 (気の毒)

Tシャツ一枚の人、

短パン一枚の人、

顔面に黒いトリートメントパックをしているカップル

 

5分くらいして消防車が一台やってきた。

消防士は7-8人。

中庭には、消防車は入れないので、正面入り口から、ホースをもった消防士たちが

建物の中へ入っていった。

3階の一番端だから、かなり長いホースだろう。

 

夜 11時頃、建物の中へ戻ってよいという指示がでた。

私たちのユニット8人は、マネージャーさんと一緒に、問題のキッチンへ。

3階一体が、焦げ臭い。

 

発火原因

消し忘れた電気コンロの上に放置された鍋。

 

お鍋は、真っ黒になっていて、コンロも周囲のシステムキッチンも、燃えてしまっている。

 

日本の火災現場は、消火活動で水浸しになるが、ここはピンポイントで濡れているだけだった。

消防士は、もういない。

警察がきても よさそうなもんだ、が全く来ない。

そういうものか。

 

マネージャさんは、火災のことは一切言わない。

お鍋が誰のものかも聞かない。

集まった理由は、

私たちが棚や冷蔵庫に保管しているものを、隣のキッチンへ運ぶので、、

隣のキッチンの専用保管棚へ入れて下さい、とのこと。


棚の所有者がわかるシール、

隣のキッチンへのカードキー、

キッチンの修復作業の見通しの書かれたレター、

の入った封筒が、部屋に投函された。

夜中の12時頃なのに、すごい。

 

この学生アパートの管理は、しっかりしているなあ、と感心した。

スマホのアプリには、マネージャーから、火災についてのメッセージが届いていた。

原因と、今後の対策、ショックを受けた人へのサポート、質問への対応、などが書かれている。

迅速さと言い、完璧。

あのカジュアルな格好の青年、なかなか やるなあ〜

 

私たちの冷蔵庫は、その夜のうちに 隣のキッチンへ運ばれ、

ススは全部きれいに拭き取られている。

土曜の夜に、駆け付けてくれたスタッフも、深夜まで働いている。

 

ここは、普段はおおらかにしているけれど、非常時には信頼できるマネジメントだ。

 

あの放置されたお鍋の持ち主を 私は知っている。 

彼女は、共有のお鍋を使わず、自分専用のお鍋を使っている。

引っ越ししてきて、調理コンロが、2つ付きっぱなしで、放置されていたことが一度あった。

あの時、私が消していなければ、火事になってだろう。

焦げた鍋の持ち主と同じかもしれないし、別の人かもしれない。

 

キッチンから一番遠い部屋でよかった。

防火ドアが2枚。

階段にも一番近いし。

 

お鍋の持ち主は、キッチンの真横の住人だ。

近いので、火をつけっぱなしでちょっと部屋へ、などとやっているうちに、忘れる。


火災警報が、あと5分おそかったら、シャワーの最中。

さすがにすぐ飛び出せないなあ。