ロンドン イタリアンレストラン人気店 
シルコロ ポポラーレ の続き

階段を降りて、地下のトイレに行った時のこと。


トイレには、私以外、誰もいない。

店内のきらびやかさから一転、シンプルなデザイン。


シーンとしていた。


洗面台が、横に3つ並んでいる。


真ん中で 手を洗いながら、

洗面台の鏡を見る。


4〜5歳の可愛いブロンドの男の子が、鏡の下の方に写っている。

こっちを見て、まっすぐ立ち、笑顔で私に手を振っている。

なのに、物音ひとつしない。


えっ!?

自分の背後に、小さい子供がいた?


振り返って、下の方を見た。

誰もいない。

この地下のトイレにいるのは、私だけだ。


もう一度、前の鏡をみる。

子供は、さっきと全く同じ姿勢で 私に手をふっている。


何度も振り返ったけど、背後には誰もいない。

トイレは、静まり返っている。



座敷わらし!  ポーンポーンゲッソリゲッソリ


ぞぞ…

背筋が凍るのがわかった。

私は恐怖でかたまった。滝汗滝汗



と、その時、


男性が、座敷わらしの横に写った。

体をかがめて、

やあ、と私に、言ったかどうかは、

びっくりしすぎて覚えていない…


えっつ〜! ポーン

これ。鏡じゃないの?

私は、驚いて言った。


男性は、

 そうなんだよ。僕もびっくりしたよ〜。


顔は見えない。


なんと

洗面台は、男子トイレの洗面台と向かい合っていて、

腰の高さの一部だけ、横全部 壁なしだった。


小さな子供は、ちょうどその高さにおさまるのだ。


男性側にひと気がないと、鏡のように見えるデザイン。

鏡じゃなかった。


急ぎ気を取り直して、ずっと手を振っていてくれた男の子に


ハロー スイティー

と、笑顔で私も手を振る。



男の子は、父親と一緒にいなくなった。

再び、静寂のトイレ。

やっぱり、鏡に見える…


さっきまで凍りついていた 私の背筋は、解凍したけど、

今は 腰が抜けそうになった…


助かった.  …笑い泣き笑い泣き

恐怖体験

座敷わらしじゃなくて、本当に良かった… 


私の心臓は、まだ バクバクしている。


なんとか席に戻って、友人に話すと

身をよじって、涙が出るほど、笑っている。



ロンドンは、たくさん幽霊がいることで有名だ。

幽霊の出るパブ、塔、劇場、学校、廊下、理髪店…

幽霊も立派な観光資源になっている。


英国版 座敷わらし、いても不思議ではない。


実を言うと、今でも、心のどこかで思っている。

だって、音が全くしないなんて 変じゃないか?


あの時、私が見たものは

本当は もしかすると…..