そのとき私は羽田空港ロビーに来ていた。団体旅行受付のためである。これから一年振りに妻が計画した国内小旅行の準備をすべて確実に済ませて、締め切りの1時間前までにゆとりをもって到着していた。
 ところが、準備万端であった私に、たった一つ重要なものを怠った。


 三回のワクチン接種証明の提示が必要であったのだが、一年間の旅行でスマホにデータを入れ、それで済ませたのでそのときまで確認をしなかった。が、現場でスマホの中を捜したが、・・・見つからない。
 このような時のために、[chrome リモートデスクトップ]を仕込んで、自分の家のPCを、スマホから操作できる準備まで念入りに済ませた。これで仕事でPCに入ったメールを、旅先でリモート操作でPCを見て、たぶん返信もできるはず。抜かりなく準備を整えたので、スマホの中でみつからないワクチン接種証明を、スマホからリモートで家のPCの、「たぶんこの辺だろう」というディスク内のフォルダをあれこれと見て回ることはできた・・・が、見つからない。
 私は、ワクチン接種証明のような重要なものは、紙では管理せず、ほぼデータに写して後生大事に保管している・・・なのに、見つからない。


 団体旅行会社の方に、証明書を忘れたことを伝えると、マイナンバーカードがあれば、セブンイレブンのコピー機で証明書が発行されるという。急ぎ歩きまわって、京急改札口の近くのコンビニで、コピー機を見ると、電子証明のメニューがあり、手順どおり迷わずやってみた。


 そのとき私は、ミスを犯した。4桁の暗証番号は、マイナンバーを登録時、確か私は2種類を別々に登録した。これが間違いを誘発する原因だった。すべて同じ暗証番号を登録できたのだが、なぜか暗証番号を別々にした。そのため、最初の入力で、拒否られたとき、「間違いないはずなのに、なぜ?」と思ったが、再度入力したときは、別な番号を入力した。拒否られた。つまりこの段階で、2回の入力ミスをしたことになる。が、「やはりおかしい、元の番号でよいはずだ」と想い、3度目の暗証番号の入力・・・その時、何か「暗証番号がロックされている」というようなメッセージが出た。しかし、画面は、ワクチン接種証明が出せそうな状況になっていたので、私の登録した自治体、さいたま市の「さ」行を検索・・・「ありゃりゃ? さいたま市が・・・ない。坂戸市とかはあるのに、なぜない?」と見ると、自治体によって、取得できる設定と、できない場合があるようだ。つまり、さいたま市は、セブンイレブンではワクチン接種証明の取得はできないことが分かった。


 とほほの想いで、考えた。
 スマホに、[マイナーポータル]の設定があった。これを開いてログインしてみた。あれこれ見ていたら、[接種証明書アプリ]なるものがあり、これをダウンロードした。一安心である。これで証明書を提示できると安堵したのも束の間、暗証番号を入力すると「エラー」表示。その背後に説明があって、番号がロックされているとあった。
 団体旅行の受付の方が、さいたま市に電話で直接、暗証番号のロックを解除できないか、掛け合ってくれたが、絶対にやってはくれない。マイナンバーの暗証番号ロック解除は、本人が担当役所に出向かないと永遠にできない仕組みだ。銀行の暗証番号入力ミスは、数時間程度で時効となり自動解除されるが、マイナンバーの場合は、永遠に時効はない(マイナンバーは5年で失効するが)。


 結果である。時間切れでワクチン接種証明書を提示することができず、私は独り、妻と別れて、浜松町行きのモノレールで、スマホで家のPCをリモート操作していた。もうすぐ浜松町に着く少し前、ワクチン接種証明を保管したフォルダのことを思い出した。案の定、そこから、証明書を開示することができた。が・・・時すでに遲し・・・飛行機が出発する時間で合った。
 妻には「どうして調べてこなかったの? バッカじゃないの」と叱られた。叱られるのはほぼ毎日のことなので、右から左だが、今回だけは、正直、旅行を計画してくれた妻に、とても済まないことをしたと悔いている。


 そのあと私は、さいたま市役所に出向いて、マイナンバー暗証番号ロック解除の手続きをした。そのときに、2種類に分けた暗証番号は、すべて(3種)同一の番号に統一した。
 ところで、番号入力は、3度連続して間違えるとロックされると書いてあったと思う。この3度はどうカウントされるのか、窓口で聞いてみた。こういうことだった。
 ある操作で1度ミスをし、時を隔てて次のミスをするとそれは2度目のミス、さらに次にミスをすると3度となって、暗証番号がロック。ロックされたら、もう何の電子証明は取得できなくなる。前述したが、この暗証番号ロックには、時効がない。


 私の場合だが、最初のころ、一度暗証番号を間違えた記憶がある。なぜなら、2種類登録したので、そのどちからの選択でミスが起きた。それから何か月もして、今回、ワクチンの接収証明操作で、コンビニで2度、ミスをした。つまりそこで、番号がロック状態になってしまい、せっかくダウンロードした接種証明アプリが、暗証番号エラーで機能しなかった。
 備忘録として、今回の問題をまとめる。

1)マイナンバーカードでコンビニ等(セブンイレブン等)で電子証明書を取得できる。
 (住民票、印鑑証明、所得等証明、戸籍証明、そして自治体によっては、ワクチン証明)
 (取得できる時間帯制限がそれぞれ違う)

2)利用者証明用電子証明書の暗証番号、登録した数字4桁が必要。

3)ワクチン接種証明は、[マイナンバーポータル]から[接種証明書アプリ」をスマホにダウンロードすると取得できる。

4)暗証番号入力を3度間違えると番号がロックされる。入力ミスには時効がなく、2度ミスを重ねると、要注意だが、次のミスが3度目となりロック発動。役所に出向かないとロック解除ができない。

5)自宅のPCに証明書類の控えなどを保管している場合は、PCとスマホに[chrome リモートデスクトップ]をインストールし、設定をしておくと、外出してもスマホから、自宅PCをリモート操作で閲覧や実行ができるので、万一の場合、設定をするとよいかも。この設定はきわめて簡単。おすすめ。

 ――と、こんな、なんともやるせない、残念な一日であった。いまさらながら、せっかくの準備万端が、もう一歩のところで、ことごとくが及ばなかった。
 「人生」という二文字が、じんわりと背中にへばりつき、すこし悲しいチャイコフスキーのエレジーにしばらく独り浸って寝よう。