この写真には、4台のアンプが写っている。

 1)下のおおきなのが、DENONのDAR-210
 2)その上の横広なのが、DENONのAVR-550SD
 3)左下の縦に立っている小さいのが、TMSLのSA=36
 4)上の部品が露わになっている小さいのが、‎XINYI Sini AudioのXY-C50L

 



 吾野緒濫人のオーディオは、基本はCDだが、ウェブサイトからYouTubeを始めとする膨大な音源が利用できるので、ストリーミングかダウンロードが多くなった。そのために、昔ながらのCDプレーヤーは使わなくなった。ウェブ音源を活用するにはPCが最適だ。スマホでもできるが、デジタルソースを24bit化するなどのことは、PCでないとできない。Bluetoothは、サンプリング周波数も深度ビットもCD並なので、PCしか選択肢がない。PCは、Windows11である。ハイサンプリングと24bit以上の出力設定ができる。もちろんデジタル送信するので、基本はUSBからDD変換器で同軸でアンプに送る。
 つまり、アンプには同軸デジタルの端子が必須。アンプは、中でDA変換してAD変換するようなものは音質が劣化するので、フルデジタルでないとダメだ。
 この条件でアンプは多くはない。
 緒濫人が10年くらい前から使っている、2)のDENONのAVR-550SDが、メインアンプである。この機種は、デジタルアンプ勃興期の傑作である。デジタルのテクノロジーはグンと進化したろうが、原理として、デジタルアンプは古かろうが新しかろうが、高かろうが安かろうが、音質が変わるはずはない――という妄想で、デノンが間違って作ってしまったこのフルデジタルアンプは、壊れるまで不動のメインアンプにするつもりである。
 このアンプはAV用で100Wチップを6つ搭載している。そして大きな電源を内蔵しているので、かなりの発熱をする。設定したローパスフィルターで低音だけをプリアウトできるので、アンプを噛ませてサブウーファーを追加できる。
 これまで、ハードオフのジャンク品のミニコンポ用ウーファーを使って、不足気味の低音を補足してきた。ミニコンポのウーファーは、箱は小さいが低音を出すために、重たいコーンの低能率スピーカーが使われている。そのため、それで低音を駆動するためには、強い出力のアンプが必要だった。
 低音専用のアンプである。

 最初に使っていたのが、3)のTMSL、SA=36だった。これは、中華製で3500円くらいだったと思う。Tripath TA2024?だったと思うが、10W+10Wの、ミニサイズ(掌サイズ)の高音質なデジタルアンプである。デジタルアンプの音質のすごさを世の中に知らしめたオーディオチップであった。が、電源がないと作動しない。しかたなく12V2.5Aの電源を別途追加購入した。最初聴いたとき、か細い貧弱な音で、やはり安物かと思ったが、少し聴いていって、ズバーンというものすごく低い音が鳴った。「ええっ!」と驚いてしばらく聴いて、音はか細いのではなく、歪みがなく透明だったからだと分かった。音のソースをそのまま表す。するどいソースはそのように、汚い録音はきたなく鳴る。「なるほど、これがマッキントッシュのハイエンドオーディオと渡り合った音か」と、マッキントッシュを知らないくせに、半ば信者的にデジタル崇拝者になった瞬間である。
 この体験から、いまメインで使っているAVR-550SDを中古で購入するに至ったわけである。理由は、デジタル信者に陥った緒濫人が、さらにフルデジタルという妄想にひれ伏したからである。
 とまれ、Tripath TA2024を搭載した、ちっぽけなデジタルアンプは、確か4Ωで10Wだったと思う。パワーは虫のように小さい。それでも、ウーファーは鳴る。鳴るのだが、フルボリュームでも低能率でコーンが重いスピーカーをドライブするのは、限界があり、低音が足りない。

 緒濫人の財布には金がない。そこでハードオフで、ジャンクのアンプを捜した。1600円くらいだったと思う。
 それがDENONのDAR-210である。50W×2の、アナログAVアンプである。ウーファーをドライブできればよいので、以降はこれで低域を補った。
 しかし、ミニコンポのジャンクサブウーファーはソニー製で、40㎐くらいまでの低音が鳴ることは鳴るが、ドロンドロンとして重苦しく、どうも違和感がある。低音の迫力も感じないわけではないのだが、聴いて心が踊らず沈む。
 そのころのメインスピーカーは、マークオーディオのALPAIR 7Aで、自作のバックロードの箱に入れると、低音の量感はありあまるほどあり、サブウーファーはなくても十分な音がした。で、たまにしかサブウーファーは出番がなくなった。
 
 1月、10㎝フルレンジの最高傑作と言われるフォステクスのFE108solが届いた。これは2つで5万円ほどした。ALPAIR 7Aも優秀な10㎝フルレンジだったのだが、取り替えて聴いて、その高音域の繊細さと鋭さ、伸び、切れの良さは、格段の高音質であることが明白となった。が、高音域があまりに充実した分、低音域がバランス的に薄く感じた。

 


 

 そこで、共鳴管方式のスーパーウーファーを足すことを思い立ったのだ。
 手許に、取り外したALPAIR 7Aがある。気づいたが、3つ前のEF106Σも健在で音が出た。そこでまず、ホッカイボイド管(10㎝径1m、600円くらい)3本を使い、120㎝と180㎝の2つの共鳴管をつくり、これをEF106Σに結束バンドでくくり付け、ウーファーとして鳴らしたら、盛大な軽く弾ける質の高い低音が出た。大成功だ……と喜んだのも束の間、さすがに30年以上も前の強力な磁気回路を備えたEF106Σだったが、コーンが渇ききってボロボロ。盛大に低音をアンプで送ったためか、すぐにコーンが破けてぶっ壊れてしまった。それで、やはり最初の思いつきのとおり、共鳴管は、ALPAIR 7Aをとりつけ、ついにホッカイボイド管による、スーパーウーファーが完成した。低音は、FE108solの超高音質を損なわない、良質な軽く弾む低音である。

 


 

 

 緒濫人のオーディオ熱は、確信犯的に病気である。予定調和のように、ここで終わらなかった。
 低音用のジャンクアナログアンプ、DAR-210は別用にし、デジタルアンプに変更したい欲望が微熱のように止まらない。
 アマゾンには、3000円くらいから50W級のデジタルアンプがたくさんある。これらのアンプは、中身は同じものがたくさんあり、評価を見ると、音質は価格並と書いてあるが、緒濫人はそうは思わない。デジタルアンプであれば、どれもが驚くほどの高音質のはずである。違いは、電源であろう。これらのデジタルアンプは、別途電源が必要である。
 と、あれこれ見ているくと、オーディオチップがむき出しのセミキットみたいなのがいくつかあった。そのなかで、「ミニ50Wx2BT5.0ワイヤレスオーディオデジタルパワーアンプインフィニットチューニングステレオボードアンプデュアルチャネルアンプリフィカドールC50L」というのがあり、Bluetooth入力用のようだが、細かく見ているとライン入力とUSBオーディオに対応していた。緒濫人には、ラインが使えればよいので、ダメモトで買ってみた。だって、1700円くらいだったので。
 アマゾンから届いたのは、AP3050Dというチップに、ラジエターを真ん中あたりの二つのコンデンサーらしきの間にセットして、上下をフタで挟んでネジ止めするだけ。取説がない。少しくらい知っていないと、悩むだろう。小さなドライバーもついていた。

 

 

 

 このチップには、ライン入力(3.5㎜径)、USB端子(たぶんmp3再生用)、ヘッドフォン出力端子(3.5㎜径)、スピーカー出力端子(コードねじ込み、とても小さいので取付要注意)がありました。
 さて,どうしようか?
 電源は,たまたまあまっていた、もすごく古いレッツノート用が、16V2.5Aがあり、なんとそのまま使えました。電力がやや不足かもしれませんが、テストでスピーカーを鳴らしてみると、かなり大きな音が出ました。十分です。
 スピーカーを,これに直結するのはちょっとヤバイので、私のジャンクとして古いアンプの端子だけ、こういう時のためにとっておいてので、それを使いました。はんだで結線を接続し、本体にはネジ止めし、100円ショップで買ってきた板もどきに、接着剤や両面テープでそれぞれ固定。むき出しで見てくれは酷いですが、個人的には十分なので、これでスーパーウーファーを鳴らしてみました。

 


 問題なし。気のせいか、押し出しつよい明確な低音が出ているように聴こえました。サイン波で、50㎐はドワーーーーンと壮観。40㎐も問題なし。30㎐もブルブルと、25ヘルツを入れましたがブルンブルンと鳴り響きます。共鳴管スピーカーはすごいです。

 因みに、1700円のアンプのチップ、XY-C50Lという機種で、Bluetoothは、「XinYi」でつながります。しかし、USB端子やAUX端子に何かが接続されていると、Bluetoothは機能しません。すべての入力端子を解放して、スイッチを入れると、小さなブルーの速い点滅が、Bluetooth接続のサインです。接続すると、点滅が遅くなります。USBやライン(AUX)を接続すると、Bluetoothは停止するようです。
 ボリュームを回すと音量の調整ができますが、Bluetoothではゲインが小さいためか、パワーが必要です。それから、このアンプにスイッチがないことが気になっていましたが、ボリュームのノズルを長押しすると、電源が切れることがわかりました。それから,ボリュームをちょこっと押すと、入力の接続を切り換えることができるようです。
 この組立式アンプは、5~6㎝角ほどの極小サイズです。こんな薄っぺらいおもちゃのようなすけすけの筐体が、30~40~50㎐という低い音を、共鳴管から響かせる力があるというのは、少し昔ではありえない話しです。ところが、さすがにこのチップキットはデジタルアンプだけに、極超低音をものともしません。共鳴管につかっているマークオーディオのスピーカーユニットとの相性もよいからかもしれません。

 


 因みにこの極小アンプキット、Bluetoothでのヘッドフォン出力はしょぼい音でした。ライン入力では、かなりパリッとしたいい音で鳴ってくれましたが。

 これからしばらく、このままでしはらく、吾野緒濫人の病的音楽ライフが繰り返されると思うと、予定調和とはいいつつも、バカさ加減にあきれているのは、だれでしょうか?