「すぐ行こう」 ②
知らせを受けた八人の夜学生たちは、半信半疑のまま雨上がりの中庭に出た。車を降りた池田から「よく来たね。わかっているよ」と声をかけられ、簡素なパイプいすに座った池田の周りを囲み、束の間の「野外懇談会」が始まった。
清野明子(同、地区婦人部長)は福島の飯館村で生まれた。中学を卒業し、父の出稼ぎ先でもあった静岡で化学繊維工場に就職した。
「社内の女学校に通っていたのですが、正式な高校卒業の資格にはならないので、高校に行くかどうか悩んでいました」。
両親は元気か。仕事は順調か。池田は一人ひとりの状況を聞いていった。この時の「高校だけは卒業しなさい」という池田の言葉で、清野は働きながら富士宮東高校へ進学することを決意する。
「学校に行って本当によかった。学ぶということはこんなにも楽しいのかと感じました」と振り返る。
望月は「大学に行きたいと思っています」と胸の内を語った。「がんばれ。できれば大学に行きなさい」と池田は励ました。その言葉通り、望月は亜細亜大学へ進み、卒業する。
「つらい時にはあの出会いを思い出しました」。