最前線の婦人部員との懇談の折々、香峰子は家事をめぐっても種々、語りあっている。
関西婦人部の草創期を支えた一人、白木文、多忙に音を上げ、香峰子の前で「一日に20分の読書の時間もありません」とこぼした。「すると『20分つくろうとするから大変なのよ。5分ずつ、4回のひまを見つけたらいいのよ』と言われました。明るくて、気取りがなくて、お姉さんのような存在でした」と語っている。
「流しに食器を置いたまま、どうしても出かけないといけない場合があるでしょう?」。質問会で香峰子がそう言った時の模様を、丸尾富子は鮮明に覚えている。
「私は少し大きめの、きれいな花柄のふきんを用意しておいて、上にかけて出かけるんですよ」。
また「学会活動で忙しくて思うように掃除できなくても、いろいろな物を『縦横をそろえて置く』と、部屋はきれいにみえますよ」と付け加えた。
「じつは、今日は夫婦喧嘩をして来ました」と打ち明けたひとには、「日本の男性は押しつけられたり決め付けられたりするのは嫌なようですね。ご主人の気持ちを知ったうえで、待つことも、合わせることも大事ですね」と語った。「どの話も役立ち、私もそうしようと心がけてきました」(丸尾)。
「主人が寝ていて、いつも片づけができません」という質問には、「ご主人は畳一枚よりも大きいですか」と尋ねている。その場にいた斉藤嘉都子。「『いえ・・・・・それより少し小さいです』との返答に微笑まれ、『周りの物をまっすぐにするだけで、結構片付くものですよ』とアドバイスされました」。
「京都文化会館の懇談会でも、家事の負担を軽くする工夫についてさまざまなお話をしていただきました」(小倉禧佐子)。香峰子は「例えば食事の時、食器をたくさん使うよりも、一枚の大きなお皿にきれいに盛りつければ、子どもも喜びますし、後片付けも楽です」とざっくばらんに話している。
「『卵のパックにハンバーグを作って入れて冷凍しておくと、子どもも好きですし、忙しい時にすぐ焼けて便利ですよ』と教えていただいたこともあります」(鎌田弘子)
香峰子が語った工夫は、そのどれもが生活のうえで価値を生むとともに、学会活動をしやすくするための知恵でもあった。