師に捧ぐー12巻の完結    米軍基地の祈りの場で | EIKOの気まぐれ闘病日記

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 2008年(平成20年)5月1日朝。アメリカ海軍横須賀基地の一室。マーリン・ヒラタは、やや緊張していた。

 ヒラタは横須賀基地で、通訳、翻訳に従事している。ハワイ出身の学会二世。地元のポート支部では支部長を務める。米軍関係者の多い同支部。本部幹部会などの衛星中継では、ヒラタたち有志が日本語から英語への同時通訳を手がける、基地内でも、月に2回ほど学会の会合を開く。しばしば未入会の友人も参加する。

 そうした地道な活動を知った基地のスタッフが、ある日、ヒラタに声をかけた。

「ミスター・ヒラタ。あなたは仏教者ですね?」

「ええ、そうですが、なにか・・・・・」

アメリカには、「ナショナルデー・オブ・プレヤー」(国民の祈りの日)という記念日がある。毎年5月の第一木曜日に、宗派を超え、国のため、社会のために祈りを捧げる日だ。

 基地のスタッフは言った。「今年のナショナルデー・オブ・プレヤーに、仏教を代表して参加してくれませんか」。具体的には、「その宗教の経典から、教えの趣旨を表す祈りの言葉などを紹介してほしい」という。

「もちろん!やりましょう!」ヒラタは即答した。


 しかし、軍人たちの前で、いったいどんな言葉を紹介すればいいのか?真の祈りとは何か?通じるのか?・・・・・何人かの先輩とも話し合い、頭を悩ませた。

「祈りの言葉といって、題目や法華経の一節を読み上げても、残念ながら理解してもらえないだろう」

一つの答えに行き着いた。

「やっぱり、国境を超えて通じるのは、『あの言葉』だと考えたんです」

式典当日。米軍の仕官クラスを含めて数十人。基地司令官も列席している。

キリスト教やユダヤ教等の人々とともに仏教者が祈りの場に立つー横須賀基地始まって以来のことだ。

「彼は何を言うのだろう」。集まる視線の中、ヒラタは淡々と語った。

「1200万人の仏教徒のリーダーである池田大作は、語っています。『一人の人間における偉大な人間革命は、やがて一国の宿命の転換をも成し遂げ、さらに全人類の転換をも可能にする』と」

ヒラタが選んだのは、小説『人間革命』の主題だった。

式典が終わった、キリスト教の聖職者が、興奮した面持ちでヒラタのもとに駆け寄った。

「仏教徒が参加するなんて、初めてのことだ。しかも、あのイケダという人の言葉は素晴らしい。初めて聞いたよ、ベリー・リフレッシング(とても清清しい)!」


 ヒラタには人生の原点がある。

1975年(昭和50年)1月26日。ハワイ大学の学生だったヒラタは、グアムで行われたSGI発足の場に駆けつけている。運営役員として参加者の荷物運びなどを手伝った。

51カ国・地域ー世界中から集まった参加者の荷物の山、次々に雑用をこなす。目の回る忙しさで、ついに会場に入れなかった。池田会長にも会えず、声すら聞けなかった。

「でも」とヒラタは言う。「池田先生を求めて駆けつけた、何十という国々のメンバーの笑顔!あの素晴らしい笑顔を、私は忘れることができない。あの日、私は『池田先生とともに生きよう』と誓ったんです」。

 2009年、2010年、2011年と引き続き要請を受け、基地内の祈りの場に立った。

「本当に信頼を深めていくことができるかどうか。これからです」。