「突撃!! エイジーニョ」(ひとまず)終了記念。「セルフインタビュー」で思いを語る! | 書き手 吉崎エイジーニョのブログ

「突撃!! エイジーニョ」(ひとまず)終了記念。「セルフインタビュー」で思いを語る!

突然の連載終了、リニューアル宣言だった。

05年3月より、Number誌上で続いてきた連載「突撃!! エイジーニョ」が8月下旬売り号を最後に

終了。10月から新たな連載としてスタートする。


書き手である筆者がド下手っぷりを披露。

その開き直りから、意見発信していくスタイルで突き進んだ連載もひとまず幕を下ろす。


3年半に及ぶ長期間、連載が続いたにもかかわらず、本人にはどの媒体も取材に訪れない。

仕方がないから、自分で取材して自分で書く。


連載最終号では「国内組復帰」を高らかに宣言した。

その真相やいかに? 


(8月31日 取材=吉崎英治)


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8月中旬、練習後のグラウンドにて話を聞いた


「Jリーグにつながるピッチに立つ!」


―突然の国内組復帰宣言でした。茨城県3部リーグの「スポルティーバつくば」に入団

するという。

むひひひひ。これによって私は<日本最下位Jリーガー>の地位を手に入れました。
この立場から様々な活動を繰り広げてゆきたいのです。

ワールドカップ最終予選に突入する日本サッカーを盛り上げてやろうと。


どういうことかと申しますと、今、日本にはJリーグ昇格を目指すクラブが100近くあると言われています。

そのうち、実際にアクションを起こしているクラブは60近くある。


今回、お世話になる「スポルティーバ つくば」は、その中でも<末っ子>に当たるクラブです。

Jをめざすチームの中で、一番下のカテゴリーにいる。

チームの設立は06年で、07年から県社会人リーグ4部に加盟。

J1から数えると「9部」に該当するリーグからスタートし、2年目の今年は「8部」の県3部リーグを戦っています。


本当に一番下のカテゴリーからチームを起こし、上に上がって行こうとしているんです。

私は8月にこのクラブの入団テストを受け、ギリギリアウトながら、ギリギリセーフでの合格を得たのです。

つまりビリの選手なんです。そこから見えるものを描いてゆきたい。

詳しくは、Numberをご一読ください。


―Jリーガーではありません。

チームは将来、必ずやJリーグに昇格すると信じています。

その時、私はJリーグの歴史に名を刻むのです。

「あのクラブにいたんだぜ」と。かなり威張り散らすことでしょう。

35歳を前にして、タイムカプセルを埋めるような思いですよ。

小学校6年生の頃に埋めた時には「2002年のワールドカップに出場する」と書いた記憶があります。

私は74年生まれだから、02年には28歳の選手としてのピークを迎えているはずだった。


ところが実際には、つらい現実を味わったのです。

新潟のワールドカップスタジアムを取材に行った際のことです。

スタンドの階段を登っただけで、足を攣ってしまった。

今度の夢は叶えます。はい。だからチームに入団した目的は「公式戦に1分でも出場すること」です。

Jリーグにつながるピッチに、一度立ってみたいのです。


8月31日のリーグ戦で。いまだ国際移籍手続きが終了しておらず、私服姿で観戦。

ドイツ時代を思い出させるシーンだ


―なぜ今、入団を?

なんちゅうかね。ドイツから戻って以降、東京でドロンとした日々を送っとるのですよ。

かなりたるんどる。体も心もたるみっぱなし。デブってきましたし。

7月と8月は、ついに体調を崩してダウンしてしまいました。

東京に戻って2年。時折思い出しては考え込むことがあった。

あのドイツ10部リーグで戦った日々のワクワク感はなんだったんだと。

週2回のトレーニングと、週末の公式戦。

皆ド下手だけど、そこに真剣勝負がある。どこか遠くでブンデスリーガと繋がっているわけですから。

30代、40代の近所のおっさんらが集まって、わいわいやっている。

トレーニングがあるから、仕事を早く仕上げようと、とんでもない集中力が湧き出てくる。

試合でいいプレーがしたいから、ムチャ食いはよしとこうかな? なんてことも考える。

練習、しんどいなぁと思うんだけど、チームメイトと顔を合わせると「さあ、やろか」と思える。

ああいう「クラブライフ」が生活に瑞々しさを生んでいたんです。


日本では、「あまりガンガンとサッカーをやったら仕事に差し支える」と考えていました。

実際には、やらないほうが肉体的にも精神的にもかなりきつい。

あの、ド下手であれども真剣勝負を戦っていたリーグこそが、生活に張りを生んでいたと思うんです。


それに、ワールドカップ最終予選も始まり、サッカーの露出も増えるでしょう? 

試合の詳しいことは新聞が報じてくれます。私にはバーレーンに行くお金がありません。

だから、自分にしか出来ないことをやる。

こういうチャンスからだからこそ、サッカーのコアな内容を広く発信しておく必要があるんですよ。


なーんてね。

難しい話はここまでで。私、じつは最近、恋愛でつらい思いをしちまいまして。

切なさを紛らわさなければならない。そういうことでもあるんです。


8月31日の茨城県3部リーグ戦の模様。5-0の圧勝だった

―体調も崩してしまいました。かわいそうに。

そう。コーヒーがぶ飲みで原稿を書き続け、ついにはぶっ倒れてしまった。

カフェインの採りすぎでね。カフェインが切れたら、猛烈な頭痛が襲うという症状に見舞われた。今はこれを抜くために治療を続けています。


何人かの先輩がこんな見舞いの声をかけてくれました。「そりゃ、ストレス発散にはタバコを吸ったほうがいいな」「もっと酒を飲めば?」

そんなん、いやじゃーと思う。明るい太陽と、汗と、田舎の風景。この3つで直したい。担当医も賛同してくれています。


―入団後、どのようなスケジュールを過ごすことに?
チームは通常、火・金に6時15分から朝練、水曜には夜、土曜は朝10時からトレーニングを行っています。

私は火曜日と金曜日の朝練に参加してゆく考えです。

東京での仕事を削ぐことは出来ません。

だから、早起きして思いっきりボールを蹴る。再び東京に戻って、また元気に働く。

このサイクルを作っていきたいのです。


早起きしての練習通いはすでに始まっている


「百年構想」について考えたい


―これが日本での「クラブ・ライフ」になる。

そうです。Numberでも書きました。

ちょっと小難しい話になりますが、私はJリーグの「百年構想」について思うところがある。

http://www.j-league.or.jp/100year/about/


構想のなかで、Jリーグは「サッカーのクラブを核とし、誰もがそれぞれの興味、レベルに応じて、さまざまなスポーツを楽しめる環境の整備」を行いたいとしています。

モデルは欧州、特にドイツであると。この点には当然私も賛同しています。

なにせ今、日本であの生活への「禁断症状」が起きているのですから。


7月22日、Jリーグが「J2の将来像」を発表しました。

将来的には、Jリーグ昇格を狙いうるクラブが全国に100近くある状況をつくりたいと。

そのためには、下部リーグの整備を行っていく考えでもあるという。


重要なことだと思います。

ドイツで暮らしていた頃、何度もブンデスリーガの試合を観に行きました。

大きな興味を覚えた点が、スタンドの反応だった。

一言で言えば「目が肥えている」。

たとえば、余計なバックパスがあれば、即座に反応してましたもん。


私が暮らしたケルンは人口100万人の街に60もの10部リーグのチームが

ありました。日本よりも高い確率で観戦者=プレーヤーであることは想像に難くない。

それも、かなりのド下手の選手たちまで、昇格・降格やホームアンドアウエー、移籍システムの

あるリーグを戦っている。ドイツではこういったものが身近にあるんです。


日本サッカーのここからの伸びしろのひとつは、この点にあると思うんです。

もっともっと、多くの草サッカープレーヤーがリーグ戦を戦えるということ。

そして、「オレだったら、こうやってプレーをする」という思いを抱いて、

Jリーグや日本代表の観戦に訪れる環境を作ること。

このやり方でも、コアなファンを増やしてゆくことが出来ると思うんです。

「急がば回れ」ですよね。


私は、こういった環境の実現方法を学ぶために、スポルティーバつくばというクラブを選びました。

「Jリーグに繋がっている」という緊張感の下に戦える。

かつ、下部リーグから昇格していくという”ボトムアップ”の

考え方に賛同します。こういうクラブが日本にももっとたくさん出てくるべきだと思うし、

このクラブについて深く知りたいと思うのです。


練習中の筆者。バキバキに指示が飛ぶ中でプレーする


―入団後、3週間が経ちました。

まだ国際移籍の手続きが完了しておらず、選手登録が出来ていない状態です。
だから、それがどうした? という状況ですよね。

練習には6回ほど参加しました。私はチームで数少ないポチャ体型であり、足が一番遅く、体力もない。

おまけに芝生のピッチでのボールの跳ね方が分からない。
言っておくけれど、チームのレベルはめちゃくちゃ高いですから。JFL経験者だっている。リーグ戦でも、5点差以上での勝ちが続いています。

34歳、何やってんだーキミというところ。やることは一つだけですよ。痩せること。筋力をつけること。

ここからの伸びしろはこの点につきます。そうやって、頭の中のプレーイメージを実際に表現できるコンディションをつくっていくことです。肉体に自信が持てれば、ピッチを離れても自分の内面が変わっていくんじゃないかなと思っています。


キモイ笑顔で写真でチームHP用写真に収まる。

背番号は「26」に決定。ビリの番号である


―どんなプレーを見せたいと考えていますか?

左右両足から同じくキックを繰り出すこと。この点は、揺らぐことはありません。世界中のどこに行こうと、誰が相手であろうと、誰がチームメイトであろうと変わらない。ド下手として生まれてきた私が、恵まれた唯一の才能がそこにあるのです・・・って言いたいんですが、それどころじゃない状況です。まず、ボールを受ける前に

周囲の状況を確認する点から叩き直されている。


出来ることは一つですよ。若い選手たちに、30代のオレも必死だという姿勢を見せること。チーム内のビリの位置から、追い上げてやるという姿勢ですね。


私のやろうとしていることが若いチームメイトに理解されていくかは分かりません。

しっかり、言葉で説明して行かなくてはならない。

でも、ベクトルが別の方向を向いているわけではないんです。

私も競争に加わりたい。競争をすることで、日常生活に潤いをもたらしたい。

これが私にとっての「クラブライフ」ですから。

この思いはなんら変わりません。

このチームにいられる間は必死に戦うし、そうでなくなった時は、また別の環境を探す。

ドイツでもやってきたようにね!


―ドイツと日本。両国のクラブでプレーして感じることは?

年齢による上下関係ですよね、やっぱり。ここでも、ピッチの上では年齢に関係なく言い合う関係が出来ている。でも練習後には、上下関係を持って接してきてくれる。ドイツではこれがありませんでしたから。何やこいつと思われたら、もう突き放される一方で……



チームメイトに「突撃」の最終回を読んでもらう。チームの記事を書いた


「突撃」で言いたかったこと


―仕事上の話を。Numberの連載「突撃!! エイジーニョ」がひとまず終了します。

永らくのご愛読、ありがとうございました。10月からはリニューアルした連載として再スタートします。

タイトルやコンセプトはいま話し合っているところでして。

これからもお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。


―連載を通じて言いたかったことは?

最終的に言いたかったことは「ド下手の延長線上に日本代表がある。我々は繋がっているんだよ」ということですね。プロの技術にリスペクトを欠かさないことは大前提ですが。


私自身、ジーコ時代あたりから日本代表に対して疑問を感じることが多くなった。「国内組」「海外組」の問題がギャーギャーと騒がれたでしょう? こんなことでチームが分け隔てられていいのか? という疑問を感じた。

同時に、あれは日本サッカーにとって初めてぶつかる問題だったでしょう? こりゃ、一大事だと感じた。私自身、ドイツに移籍した理由は、この問題を解明せねばならないという使命感にあったのです。 ヨーロッパでプレーする心境ってなんだろう? とね。 ジャーナリストですから。いえ、単にサッカーがしたかっただけで。


ドイツで私が接したものは、自分たちのいる下部リーグの環境に満足しつつも、どこか遠くでブンデスリーガと繋がっているリーグを戦う選手たちだった。ドイツでは、ド下手とトップ選手が繋がっているんです。


「ドイツショック」以降、代表人気の低下が言われ始めた後には、この点を影のテーマとしてきた。

ド下手と代表は繋がっている。文句は言うけど、絶対に離れることはないからなというね。


そういった面では、「ベトナム編」※で1ゴール足りず、佐藤寿人選手がこれを引き継いでくれたという点は、すごく嬉しいことです。

プロの選手には失礼かもしれないけれど、「ド下手組」がでーんと構えて、繋がっていることを示してゆきたい。もうこれ以上代表選手が「遠い」存在であってほしくない。クールですました表情なんか、見たくないですから。


さらには、「日本代表が試合を戦った国の文化も、ついでに勉強しちゃえ」という点を描きたかったが、これはなかなか伝わりにくかったようです。


私自身、50代、60代で書いてみたいテーマがあります。今はこのために名前を覚えてもらう時期だと考えている。マニアックな方向に行きすぎで、消えてしまわないよう、せいぜい努力します。



「突撃」時代、一番印象に残ったのがこのゲーム。06年春、古巣のリンデンタールを3-0で下した。

ドイツ下部リーグでの「ダービーマッチ」の風景も忘れられない


―最後に、バーレーンに出発した日本代表選手に一言を。

私は下手だからめちゃくちゃに頑張る。だから上手い選手にははっきりと、TV画面を通じても伝わるよう、はちゃめちゃに、ぶっかましていただきたい。せっかく、サッカーの才能を持って生まれてきたんですからね。


―ありがとうございました。ご活躍を期待しています。

あーあ、原稿料なしの媒体にこんな長い原稿、書くんじゃなかった。(了)


よくもこんなに大げさにぶち上げたものである。

言い換えれば、おっさんが週2回の練習のため、早起きをしようという話に過ぎない。

東京で日常生活を送りつつ、Jリーグに繋がるピッチに立つ――。

目標達成はなるだろうか。自分で大げさに盛り上げていくしかない。

(9月5日15時12分)


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