滞在4日め <発見、オヤジストライカー>
ホテルのネットが繋がらなくなって、2日半が経った。
フロントでは「すぐに直るから」と言われ続けている。
のらりくらりとかわされている気分だ。
これこそが、東南アジアのいい加減さなのかなーとも思う。
腹が立つんだけど、立地条件・清潔さ・安さともに抜群なんだよね。1泊25ドルだし。
動き難い。
イライラが募り、かつ日本からの時差2時間が体に残ってるため、
朝早くからなんとなく散歩に出る。
日本時間の7時に起きても、ここじゃ早朝5時だ。
これまたなんとなく、2日めに「デビュー」を果たした公園に向かう。
もしかして、誰かボールを蹴ってるかもしれない。
・・・すると・・・・
いた、いた。
ド下手どもが、うじゃうじゃプレーしてる!
その中で、きらりと”光る”プレーヤーを発見!
名づけて、「オヤジストライカー」。
このオヤジ、なかなかセンスしてる。
ピッチの中でもぱっと目に付くくらいだった。
まぁ、髪型のせいでもあるんだが。
センターフォーワードなんだけど、縦パスをピタッと足元で止め、ポストプレーを繰り返していた。
ボールを繋いだ後も、ピュっとターンして、シュートを打てそうなポジションに入るんだよね。
ただし。
チームには偉そうな若僧がいて、ゲームメーカーをやっていた。
こいつが結構、オヤジストライカーに文句をつけていた。
外からみてても何度かは、「おまえのせいだろ」と思う場面でも、若僧が怒鳴る。
オヤジストライカーは、そのたびに恐縮する。
オレは、オヤジストライカーにキレて欲しかった。
「うるせー、一番偉いのはストライカーだ」とね。
「オレの望むパスを出せ!」っていうくらいにね。
オヤジストライカーに触発されつつ、待つこと10分。
交代で、ピッチに入るチャンスを得た。
あいかわらず「ナカタ」「ナカタ」と言われるから、楽ではあるんだよね。
コミュニケーションの心配がないし、味方も「ナカタがどんなプレーをするんだ」と期待している雰囲気だ。
10分後、右サイドからのセンタリングに合わせたが、シュートミス。
ボールがどーんと空に飛んでいった。
5分後、右CK。
こぼれだまを左足で合わせてゴール。
ベトナム3ゴールめ達成!
いいペースだ。
太陽がピッチを照らし始めたころ、試合終了。
「ナカタ、また、明日も来いよ」と言われた。
5時40分集合なんだそうだ。