滞在2日め その5 | 書き手 吉崎エイジーニョのブログ

滞在2日め その5

ところが、試合を見てると、もうどうしようもなくウズウズしてきた。

走ったり、そのへんにいるガキとボールを蹴ってるうちに、ピッチに立ちたい思いがとめどなく溢れ、

不思議な踊りを踊りそうになっていた。


見ると、Tuanさんの試合会場の横のピッチでは、審判なしでだらーんとゲームが展開されている。

こりゃ、いけるんじゃないかと思う。


上半身裸で休んでいる若者に声をかけた。

英語で聞くしかない。

「ハロー。オレはナカタだ。試合に出たい」


「オー、ナカタ」

反応がいい。


「そうだ。ナカムラだ」

「・・・・・・」


回りくどい冗談はやめ、もう一度試合に出たいと申し出る。

すると、「キャプテンに聞かないと分からない」と言う。


「誰がキャプテンだ?」

「あそこの・・・・・・ああ、いま、ボールに触ったデブだ」


オレは、デブ主将が守備に戻ったときに聞いた。

「試合に出たいんだけど」


キャプテンがその場で交代してくれた。疲れてるんだと。


きたぞ! ベトナムデビュー。

ドイツでは試合に出るまで6ヶ月かかったが、ここでは、24時間もかからなかった!


ピッチに入る直前に、若者が英語で聞いてきた。

「キミ、ベトナム語分かるの?」

「いいえ、全然」

そう答えると、エールを贈ってくれた。

「ナカター!!」


キャプテンが聞く。

「アーユーナカタ?」

そうだ。


ピッチに足を踏み入れるとき、シューズの裏をチェックされた。

オレは持参していたプーマのトレーニングシューズを見せ、OKをもらい、ピッチに入る。


怖いから、味方の誰かれ構わず握手を求め、「ナカタ」と名乗った。


「おまえは、ナカタなのか?」と70%くらいの真顔で聞いてくるやつもいた。

そうだ。ナカタだ、答える。


トップ下にいた年配のおっさんが、「ナカタ、ユーカムトゥー ストライカー」と言う。


望むところよ。10点取るって宣言してるからね。


v12
ごり押し作戦成功! 初日から、いきなりピッチに立った


なーんて意気込んだが、なかなかパスがもらえない。

4度ほどフリーのポジションにいたのを無視された。


7~8分ほど過ぎ、左サイドに流れた時、ファーストタッチの機会が訪れた。


すぐに、「古臭サッカー」の理由が分かった。


ボールがボヨーンと弾み、コントロールにてこずった。


左前方に、味方のおっさん選手がいる。

相手DFがプレッシャーをかけてきた。


ボールが地面につく前に、インサイドでパスを出そうとしたが、スネに当たってコロコロとボールがタッチラインを割る・・・


グラウンドが、とんでもなく硬い。

粘土質の土の部分がむき出しだ。


おまけに、ボールがボヨンボヨン。こりゃ、コントロールにてこずるぞ。

足腰にも「くる」んじゃないかな。


この後は、ボールタッチが4度ほど。

一本は中央左から、縦パスを受けてシュートを打ったが、入らず。


ここでTuanさんの迎えが来て、ピッチを去った。

今日はこんくらいにしといたろ。


初日にしては、相当いい感じだぜ。