第23節 Rodenkirchen TSV II戦 終了後コメント | 書き手 吉崎エイジーニョのブログ

第23節 Rodenkirchen TSV II戦 終了後コメント

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ここまでのドイツの日々を象徴するような、まったく予測不能な一日になりました。

ただ、今日は収まりが最高のかたちになった。

生涯、忘れ得ない時間を過ごせました。

いつもはゲームレポート+コメントで試合をご紹介しているのですが、今回はコメントでじっくりと。

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イースター(復活祭)のため休日となった今日は、1軍~3軍までがホームで戦う日程。

11時に3軍、1時に2軍、3時に1軍がメインイベンターを務めます。


朝から、ちょっと暗い気持ちでホームゲームの会場に向かった。

前日に2軍のフランク監督から3軍行きを命じられていたのです。  


11時のキックオフの1時間に集合。顔見知りはいませんでした。

低ーいテンションで、挨拶を交わし、アップを続けていった。


別にクサっていたわけじゃない。

監督はオレを3軍に回してでも、試合出場の機会を確保しようとしてくれたのです。

前所属のリンデンタール時代にはありえなかったことです。

ありがあたいと思わなければならない。


とはいえ、ドイツ滞在ももう残り少ないこの段になってまた、新しいチームに入らなければならいのがつらかった。また、挨拶からやり直しです。この繰り返しがつらかった。

せっかく、2軍のみんなと馴染んできたところなのに。今回の挑戦を「10部残留のために戦う」っていう具合にまとめたいんですけど、どうも違う方向に向かっていくんですよね・・・


ただ、途中でGKが声をかけてくれて、少しすっきりした。「トレーニングを手伝え」っていうんです。

GKは不思議とどのチームに行っても優しいですね。

軽くシュートを打って、キャッチングの練習を補佐しました。サブのつとめですから。

うーん、2試合前までは、2軍でレギュラーだったのに・・・やっぱりテンションは上がりきりません。  


スタメンには入れず、試合はベンチからのスタートでした。3軍は2軍と同じ、クライスC(10部リーグ)に所属しています。ケルンには約60の10部リーグのチームがあり、これが4つの並列のリーグを戦っている。  


おそらくウチのクラブは人数が多いので2軍と3軍を分けたのでしょう。

3軍はよりエンジョイクラスの趣向が強かった。試合中もみんなゲラゲラ笑っているんです。

それでいて、2軍よりも成績がいい。今日の時点で4勝を挙げていて、13チーム中8位くらいにいる。  


前半の途中に、1時から試合が始まる2軍のフランク監督がやってきた。

昨日のメールの事情をこう説明してくれました。 

「すまない。3軍がどうしても人が足りないと言うので、前節で出場のなかったキミの力を借りることになった」。  


ちょっと、ほっとしましたよ。

監督は少しは大事に扱ってくれているんだな、と。

返事はこう返しました。 

「今日は2軍でもプレーできるでしょう? MFでプレーしたいんだ」。 


すると、フランクは「先発じゃないけれど、チャンスはあると思う」。  


チーム内で、2軍-3軍と選手の往来が可能なのは、選手鉦を「ズッドヴェスト」のプレーヤーとして発行してもらっているからです。これはドイツの下部リーグではよく見られるケースです。降格・昇格がかかったチームは、上からどんどん選手を呼んでくることが多いですね。  


oli

サッカー人生の定位置、補欠に戻ったエイジーニョ。

試合中、2軍のオリが話し掛けてきた。「何やってんだ?」

「いやー、監督が3軍に行けってさ。キミと一緒にプレーしたいんだけどね」

この程度なら、ドイツ語で話せるようになったぞ!


出場は、後半10分すぎからでした。監督から「キミは右利きか、左利きか」と聞かれた。

「両方行けます」と答えると、右ボランチのポジションを指定してきた。  


ボランチと4バックの左がここで一番やってみたいポジションでした。両足を使える自分の個性が一番活きると思うんです。だから、すごく気持ちよくピッチに入ることが出来た。  


相手のDFラインがかなり浅いことをベンチから見ていたので、バカスカとスルーパスを狙っていきました。  実のところ去年10月に右足を強く捻挫して以来、あまりこっちの足は使ってこなかった。ですが、中央のポジションだったので、久々にたくさん蹴ってみました。キック力が落ちているので、ちょっと驚きましたけど。  


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ジーコ気どりでスルーパスを通すエイジーニョ


それでも、気持ちいいくらいパスが通る。

1-1の場面からウチが取った勝ち越し点は、僕のパスが起点になりました。


ほかにも、DFラインとGKの間に2本ほど通したんですけど、これは味方FWがしょうもないミスをしちゃてね。まぁ3-1で勝ったからよかったですけど。  

実は僕がドイツで経験したはじめての白星だった。  


試合の後は、3軍の選手からたくさん誘いの声をかけてもらいました。

「こっちに来いよ」って。涙が出るほどうれしかった。


ドイツの場合、ほとんどがそうなんですが、最初はちょっとチームメイトが冷たい感じがする。

ボールを蹴ってみて「こいつやるな」というところを見せると、とたんに明るく振舞ってくれるんです。でもまぁ、負けにつながるミスをやっちゃうと、また冷たくなるんですけどね。  


勝利の余韻に浸る時間もほどほどに、すぐに2軍の試合です。


僕はチャンスがほしかったので、ロッカールームでメンバーが読み上げられる間、ずーっとフランクの顔を見つめていました。


スタメンには名前がなかった。ベンチに入れるのかなーと思っていた矢先、こう聞いてきたんです。  

「1軍の監督のアリが、さっきの試合を見てキミを気に入ったらしい。1軍の試合に出るか?」 


1軍の試合は、本日のメインイベントで、15:00キックオフ。アリはたまたま試合を見ていたのです。  


こう返事をしました。 「出られる試合には、全部出たい」。 

ドイツ式の受け答えなら、どうしたいのか言うべきだったのかも知れません。まぁ、勢いを見せたかったのでこう答えました。結局、サブの中に僕の名前はなかった。


ひょんなことから、1軍の試合に回ることになった。

9部リーグ、デビューです!!