22節終了後、エイジーニョコメント
試合直前のアップ中に、サブを宣告されるエイジーニョ
「監督に直談判に行く」、なんて鼻息を荒くしていたら、メンバーを外されてしまいました。
ある意味、妥当な判断でもあったと思います。
監督と僕の問題意識は同じだったんでしょう。DFラインで1対1勝負に持ち込まれると、どうしても厳しくなる。連敗中のチームに手を加えるのなら、僕の位置だと客観的にも思いますから。途中出場でもいいから、MFで使ってもらったほうが、僕の個性は活きると思うんです。
少しだけ体調を崩していて、休ませてもらえるのも正直なところありがたかった。
ケルンは4月の中旬だというのに、雨が降ると気温がぐっと下がる。連戦の疲れも重なって、風邪を引いてしまったようです。
ドイツの料理もちょっと食べ飽きて、何を食べたらよいのか分からない。疲れてしまうと、食に対するアイデアもなくなってしまう。
しつこいようですが、海外移籍するんなら、絶対に家族と一緒に来たほうがいいでしょうね。そばにいてバカ話をしてもらえるだけでもありがたい。愛する妻。あなたはいったい、どこにいるんですか?
話がそれてしまいました。
試合前の弱気な思いは、しかし、時間の経過とともにだんだん苛立ちへと変っていきました。
試合に出られないことが歯痒かった。合わせてチームがあっさりと崩壊する姿を目にしたくはなかった。
ドイツ人の気質でしょうか、怒りはじめると収集がつかなくなるんです。もちろん、チームのレベルもあるでしょうが。
後半に3-2とされてから、驚くほどに全員が文句をいいはじめた。審判の判定に対してひとつひとつ文句をつけていく。試合に出場していた、監督のフランク自らが言い始めたのです。
確かに意見をしつづけて、審判を牽制することも大事でしょう。言い続ければ、審判はとっさの判断で自分たちに有利に笛を吹くかもしれない。トップレベルの試合でも、判定はひっくり返らないのに、延々と抗議を続けますよね。
こういった、度の過ぎたように見える自己主張に対して、チームメイトは寛容です。いくらピッチで叫んで、退場になろうが試合が終わった後はあっさり輪の中に入って談笑してますからね。ぼくはこれを、よく言われる欧州の「個人主義」だと見ます。ピッチで感情をあらわすのは個人の裁量。腹が立ったものは仕方ないんじゃないの? という考えだと思う。
同時にこれは、日本人の僕にはとてもとても真似できるもんじゃないな、と感じています。
「自己主張」は、今回の海外移籍の重要なテーマのひとつでした。
欧州サッカーの根底でそれを感じ取り、これから原稿を書くにあたっての肥やしとしたかった。
僕、将来的には、フットボールのオリエンタリズムなんてのを描きたいと思っています。お堅く言えば「アジア型発展論」です。なーんちゃってね。
サッカーは基本的に欧州、南米の文化を背景に強豪国が生まれてきました。
日本と僕が専門としている韓国は、それを出来るだけ模倣しようと頑張ってきた。
でも、当然ヨーロッパの完全コピーは出来ないわけです。それに、コピーは基本的に亜流でしかない。
だからこそ、どの部分を取り入れるべきか取捨選択を考えるべきだと思うんです。そういう時期に来ていると思う。
「和を以て貴しと為す」、「忠」、「孝」、「儒教思想」に「ドンマイ、ドンマイ」。それでもって、恐怖の監督・先輩が現れて、「ゴラァ」とやると一気にチームが引き締まる。日本と韓国によくある場面です。
対してここでは、監督に対してファーストネームで呼びかけ、試合に出られなかったら意見をしにいくような関係が成り立っています。
日本のサッカーがもっと強くなっていくためには、こういう点までも模倣していくべきか。はたして出来るのか? なーんてことを、じっくりと考察したいものです。
リーグ戦も残りが少なくなってきました。残りの少ない日々で、あらゆることを吸収していきたい。見えるものひとつひとつを目に焼き付けて、しっかりとレポートしていかなければと思っています。
再びチャレンジャーとして、ポジションを奪う立場になりましたし。プレーの方にも注目してくださいね!