16節終了後、エイジーニョコメント | 書き手 吉崎エイジーニョのブログ

16節終了後、エイジーニョコメント

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試合後、クラブハウスで取材に応じるエイジーニョ。古巣との対戦は、情けない結果に


Jリーグを取材していて、よく前所属クラブと対戦する選手に話を聞くことがあります。

意外と多いのが「特に意識をしません」というコメント。「つまらないことを言うなよ」なんて思ってたんですが、その心境がじつによく分かった。


意識しちゃいけないんです。僕にとっての前所属チームだってことは、チームからすれば大きい問題ではない。むしろ、変に入れ込んだ状態になることで、いつもと違う雰囲気を作りたくはなかった。

チームメイトの前では改めて去年リンデンタールに所属したことは口にしませんでしたよ。


とはいえ、内面では意識しないわけはない。

当然、相手チームからすれば懐かしい顔がいるわけですから、声をかけてくる。


アップの時からいろいろと言われましたよ。「試合に出るのか」「ポジションはどこだ」「タバコ、吸うか」・・・。懐かしのルディーニョもいて「おお、チャイニーズ・フレンド」と話し掛けてきた。


かなり、揺さぶられました。僕は今、100%ズッドヴェストの一員で、チームの残留のために戦っている。しかし、去年4ヶ月リンデンタール(ボルシアLH)に在籍した事実と記憶ははっきりと刻まれている。言ってしまえば、今のチームメイトよりも親しいのです。一番親しかったGKのヘンリックが来ていなくて、がっかりしましたもん。


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やっぱり、向こうが気になる? アップ中のエイジーニョ(右)


試合前に相手と親しげな姿をズッドヴェストのみんなには見せたくはなかった。

でもまぁ、リンデンタールの選手の前で失礼な態度は取れませんよね。

だから、僕、ヨーロッパの人たちがよくやるウインクを連発しました。ウインク。日本じゃあ31歳のおっさんはやらないでしょうね。


そんなこんなで臨んだ試合では、散々の出来でした。

ここまでの2試合でなんとか満足いくプレーが出来ていたのは、「相手も自分を知らないだろう」という余裕があったから。


でも、今日ばかりは通じない。去年ずっと練習でスカスカに抜かれていた相手ですからね。20分過ぎに、レオが明らかにスピード勝負を挑んできて、センタリングを許してしまった。前半はエースのイリアのマークについたんですが、ドイツ語でこっちをからかってきましたよ。まぁ、話している内容は分からなかったんですが・・・


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試合後、マークについたイリアと。ロナウドみたいな顔で、ロナウドのようなプレーぶり


コンディションも良くなかった。前々日まで取材でフランスにいましたから。

仕事だからしょうがないし、これからもぶつかっていく問題です。

今日、試合があることは先週の水曜日に聞かされました。

ケルンで一日休めば、疲れは回復すると踏んでいたのですが・・・


後半10分すぎに、レオにタックルを仕掛けたときに、右足のふくらはぎがつってしまいました。

この試合ばかりは途中で下がりたくなかったので、簡単に筋肉を伸ばしてピッチに戻った。


ところが、足の違和感が消えないままにプレーを続けたために、決勝点のシーンで突破を許してしまったんです。ここでも、相手を意識し過ぎたことが、悪く作用しています。きっちり治療をしてピッチに戻るべきだった。


いずれにせよ、結果は最悪ですよね。
自分のところから突破を許し、決勝点を許した。おまけに、チームは最下位に転落した。


たしかに、心理的には相当厳しくはありますよ。さらに僕自身、リーグ戦というものを経験したことがないので、経験したことのない疲れが溜まっている。


じつのところ、この対戦は早くやりすごしてしまいたかった。

いま僕はレギュラーを獲得しつつあり、残留に向けた責任を感じている。だから、邪念の芽生えるチームとはさっさと対戦を済ませたかった。


だからこそ、大量失点を喫しなかったことは、不幸中の幸いと思いたい。

一番怖いのは、0-6、0-7という試合をやってしまうことです。得失点差でもかなり厳しい状況に追い込まれてしまいますから。


そうそう、試合前にズッド・ヴェストのチームメイトとじっくりと言葉をかわす機会があったんです。

試合前、クラブハウスで休んでいると、あまり言葉を交わしたことのなかったMFのアレックスくんが、流暢な英語で話し掛けてきた。


大学で経済を学んだという彼は、日本にもかなりの興味があるようで、料理のことや、東京がいかにゴチャゴチャした場所かなんて話で盛り上がった。僕の記事が載った先日の日経新聞を見せるとすごく喜んでくれた。


彼は聞いてきました。
「このチームのレベルをどう思うか」と。


僕はみんなが大好きだ、と答えた。
下手なみんながいとおしい。シュートもろくに打てない。でも、こんなみんなのために真剣勝負のリーグ戦が用意されていて、クラブハウスにホームグラウンドもある。これは天国じゃないか、とも答えました。

僕にとっては試合で使ってもらえる場所が、最高のチームですから。


シーズンも残り10試合近くになってきました。

このチームを10部に残して、ドイツを去りたい。そう強く思っています。

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チームメイトコメント:DFフローリアン

次は相手を張り倒そう!