第19節 Nippes78戦
不安そうに戦況を見つめるフランク監督
19節は、アウエーでNippes78との対戦。
前節で退場処分を受けたボランチのオリバーを欠くズッド・ヴェストは、アレックスを3列目に下げ、 MF右サイドにひょろひょろのフィリップを起用。システムは前節と同じ3-5-2の布陣で臨んだ。
対戦相手のNippes78は、25日時点でリーグ戦7位のトルコ系クラブ。
自力で劣勢のズッド・ヴェストは、序盤から猛攻を浴びる展開を強いられる。
やや足を引っ張ったのが左DFのエイジーニョ。
相手のエース14番のマークについたが、トラップの瞬間に集中的に狙う守備がことごとく失敗。
前半10分には、きれいにフェイントで抜かれた後、シュートを許す。
ポストに当たり、難を逃れたが、明らかに初めてのアウエーで浮き足立っていた。
攻撃に目を向けても、苦しい展開が続いた。
軸となるトップ下のミヒャエルが35分に負傷退場すると、前線に大きくボールを蹴るだけのサッカーに終始。前半はリベロのフローリアンの粘りでなんとか0-0で終えるのが精一杯だった。
ハーフタイム、監督のフランクからエイジーニョに指示が出る。
「14番を離しすぎだ。もっと近づいてマークするように」
これを聞いたエイジーニョは、すかさずフローリアンを呼び、監督を交えてディスカッションを行う。
「あの14番は、ほとんどMFのような位置でプレーをしている。だから、オレは中盤では当たらない。ペナルティエリアで仕事をさせないようにマークするぞ」
ハーフタイムに指示を聞くエイジーニョ。しかしドイツ語はほとんど理解していない。
身長もチームで一番低い
すべて英語での会話だったが、これで守備の方針が再確認できた(!?)ズッド・ヴェストは、後半20分までなんとか0-0で持ちこたえる。
迎えた25分。奇跡的な形でズッド・ヴェストに先制点が転がり込む。
単発的なカウンターアタックから、なんとかゴール前にボールを運び得たコーナーキック。
フィリップの蹴ったボールは、ゴール前まで届くのがやっとだった。 ・・・ところが、これを相手GKをキャッチミス。ボールはコロコロとタッチラインを割った。
シュートすら打たずに入った先制点。
試合後、DFのエイジーニョは「むしろ、相手の怒りに火をつけるんちゃうかーと感じた」と振り返った。
その言葉どおり、直後からNippes78の猛攻が始まる。
相手ベンチからエースのFW14番にトルコ語でなにやら話し掛ける。
14番は、ズッド・ヴェストDF陣に聞こえるようにドイツ語で返した。 「あと20分ある」。
この14番を中心に、2トップ、トップ下がほぼフリーポジションで動き回るNippes78に対し、ズッド・ヴェストDF陣は完全に振り回される状態に。
再三、サイドを突破され、センタリングを上げられるが、DFフローリアンとGKアンドレの粘りで持ちこたえる。
ピッチ上には、アンドレの声が響いた。「外だ。とにかくボールを外に蹴れ」。
自チームのゴールキック、スローインでは、なるべくゆっくりと動作を行い、時間を稼ぐ。
奇跡の勝ち点3獲得か――。
と思われた85分、コーナキックから相手の4番にきれいに頭で決められ、失点。
そのまま試合は終わった。
アウエーで貴重な勝ち点1を拾ったズッド・ヴェストだが、チーム内には結果を素直に喜べない雰囲気もあった。前節に続き「どう見ても負け試合なんだけど、もうちょっと粘れば、勝てたんじゃない!? 勝ち点1は確かに嬉しいけど、引き分けはビミョーだな」というゲームだった。
なお、他会場では12位のTelekom-Post Iがボルシア・リンデンタール・ホーエンリンドに2-6で敗れたため、13位のズッドヴェストと順位が入れ替わった。勝ち点9で並んだが、得失点差でズッド・ヴェストが8点上回っているため。