サカマガに原稿出ます | 書き手 吉崎エイジーニョのブログ

サカマガに原稿出ます

写真はアップ出来ないのですが、ご報告をひとつ。


本日発売の「週刊サッカーマガジン」に、原稿が出ます。

中田浩二を取材したレポートです。


エイジーニョ初・海外組取材モノです。

オモロイので、ぜひご一読を。


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上とは全然関係ない話題を。


エイジーニョは、昔のアイドルの歌の歌詞をよく研究しています。

自分が原稿で使う言葉を、より洗練されたものにするためです。

昔のアイドルの歌は、クサい。でも今も通用するフレーズがあります。

それはなんだろうと探るのです。


国生さゆりの「バレンタイン・キッス」は、格好の研究材料です。


「バレンタイン・キッス」 1986年 国生さゆり with おにゃん子クラブ

作詞・秋元康 作曲・瀬井広明

シャラララ素敵にキッス シャラララ素顔にキッス
シャラララ素敵にキッス シャラララ素顔にキッス

明日は特別 スペシャル・デー
一年一度のチャンス
Ohダーリン            (デュワ デュワ)
Ohダーリン.I Love You!  
誰もが浮かれて カーニバル
彼氏のハートを射止めて
Oh Baby             (デュワ デュワ)
Oh Baby.Love Me Do!

甘い甘い恋のチョコレート
あなたにあげてみても
目立ちはしないから
私、ちょっと最後の手段で決めちゃう
バレンタインデー・キッス
バレンタインデー・キッス
バレンタインデー・キッス
リボンをかけて……

シャラララ素敵にキッス シャラララ素敵に


いわゆる"一番"の歌詞は、今読むと、陳腐に感じられます。

「誰もが浮かれて カーニバル
彼氏のハートを射止めて」

という部分が特に。カーニバルとは、元々カトリック教国の謝肉祭の意味です。

これが転じて、陽気な騒ぎという意味に使われている。

"バレンタイン"に"カーニバル"。キリスト教と関係のあるイベントを形容するには、意味が重複している。


さらに"浮かれて"という表現は、肯定的にも否定的にも捉えられます。

ここは高揚する気持ちをあらわす擬態語を用いたほうが、すっと聞き手に伝わります。

アイドルの歌なんですから。


もうひとつ、「彼氏」という表現はダイレクトすぎます。

国生さゆりは当時19歳。この年代の心情を歌うのなら、もうすこし対象を抽象的にあらわすべきです。

ただし、「彼氏」という言葉の用法が、ここ20年来で変化している点も無視は出来ません。

今日における、末尾アクセントの「カレシ」のイメージにどうしても引っ張られてしまいます。


しかし、この歌は"2番"でぐっと聞き手を惹きつけるフレーズが出てきます。


ワインの色した サンセット・パーク
素敵なロマンスしたい
Ohダーリン            (デュワ デュワ)
Ohダーリン.I Love You!  
あなたを呼び出す テレフォン・コール
気持ちをわかって欲しい
Oh Baby              (デュワ デュワ)
Oh Baby.Love Me Do!

とっておきのシャレたチョコレート
それは私の唇
あなたの腕の中
わざとらしく瞳をつむってあげちゃう
バレンタインデー・キッス
バレンタインデー・キッス
バレンタインデー・キッス
大人の味ね…… 


"とっておきのシャレたチョコレート それは私の唇" 

この下りはものすごい。この歌を名曲たらしめています。

前半の陳腐なフレーズをすっ飛ばしてくれるほどの表現です。

この歌は、じつはここを一番聞かせたいんじゃないんでしょうか?


チョコレート=私の唇なら、唇は真っ茶色のはずなのですが、これを指摘するのは野暮。

「甘いくちづけ」とはよく使われるフレーズですが、これを簡潔にチョコレートの味で比喩している。


また、「とっておき」という形容から、すっと女の子が懐に飛び込んでくるような気持ちになれる。

この歌の世界でしか出来ない表現です。


股間がもぞもぞしてきました。

今日はこのへんで。