週一・ドキドキ・練習日
すっかり冬です。練習場にて
水曜日は、週一回の練習の日。
朝から、すばらしくいい気分だった。
足首が痛くない。こういう感触は久しぶりだ。
早朝から取り組む仕事にも集中できるし、ご飯は美味いと思うし、おまけに天気がいい。
現在リーグ戦4位のボルシアLHは、日曜日にFuehlingen II(現在リーグ戦3位)とアウェーゲームを戦う。
昇格争いへの重要な試合を控えたトレーニングだ。エイジーニョだってもちろん、ベンチ入り・試合出場に向けてガンガンとアピールしたいところだ。
前回の練習では、気候の変化で体調がおかしく、最後まで体が温まらないまま時間を過ごしてしまった。
だから、今回は練習前30分にグラウンドに行って、ひとっ走りしてから練習に臨むことにした。
クライスリーガのトレーニングは、これまで見た限り、同じパターンで行われることが多いようだ。
4対2のボール回し→ダッシュ→ストレッチ→戦術系のトレーニング→ゲーム。
いきなりボール回しなんかやって、筋をピキーンと傷めたりしないのかな。いつも思う。
まぁ、ヨーロッパ人は食ってるものが違うからな~。
アジア人のエイジーニョには「準備運動のための準備運動」が必要ってワケ。足首もまだ万全じゃないし。
霜の降りたピッチ周辺を一人で黙々と走った。走った。走った。
中では、ボルシアLHの小学生部門の子達が、大騒ぎで試合をしている。それを横目にひたすら走る。
ふと見ると、チームメイトでどアホキャラのレオが試合を観ていた。
何週間か前に「アジア人は牛乳を飲めないって本当か」と真顔で聞いてきた、愛すべきボランチだ。
聞くと、弟が少年チームでプレーしてるのだとか。
ピッチ脇には、同じくチームメイトDFのヤンもいる。彼は見るところ30代後半だから、子供がいるのかな?
うーん、一家揃ってボルシア・リンデンタール・ホーエンリンドってワケか。
このチームにいると、みんな自分のクラブを愛してんだなって強く感じる。さすが1928年設立だな。
んなことを思いながら、走る。走る。
集合時間の19:00が過ぎていった。
誰も来ない。
レオに聞いてみた。
「なんで、みんな来ないの?」
これくらいは、ドイツ語でも聞けるようになったんだぜ。
レオは英語で答えてくれる(!)。
「アイ・ドン・ノウ。」
そういって、携帯電話を手にする。監督のディーターに電話しているようだ。
「今日は、寒いから人の集まりが悪い。だから、中止にしたんだって」
なんだとー!!!!
もう、テンション落ち・・・そうになるんだけど、気持ちを保たなくちゃいけない。
海外でプレーするのがオレの夢であることには変わりはない。
10部というのは、自分の力量・1年限定の挑戦であること・仕事との兼ね合いを考えて、
納得して選んだ舞台なんだから。望んでここの「草サッカーワールド」に飛び込んだ。
だから、周りがどうであろうとも、自分の中で目標をしっかり設定して、体調を整え、機会を待つだけなのだ。
ヤケを起こしちゃいけません。
ミッシェル・プラティニ風のポーズで気取るエイジーニョ
ヤケを起こしちゃいけません。その2。
ロッカールームでボルシアLHの子供達と騒ぐ。
こいつら、ちょっぴり英語をしゃべったぞ
ボルシアLHの少年部門と入れ替わりに、トルコ系と思しき10代後半のチームが練習を始めた。
ダッシュ系の練習をしていたので、監督に思い切って聞いてみた。
「僕、リンデンタールの3軍の選手なんですが、今日は練習がなくなっちゃって。一緒に、走っていいですか?」
どうぞ、と言われた。
ついでに調子に乗って、ミニゲームにも入れてもらった。
アホな子供達は、オレを「ナカタ」と呼んで、大喜びだった。
子供はあんまりぶつかって来なかったから、右足でのキックの感触を確かめた。
強くは蹴れないが、左足と織り交ぜて、時折右足を使うと、子供はおもっくそ戸惑っていた。
いい感触だ。むしろ、リハビリ段階のオレにはラッキーな一日になった。
家に帰ると、監督のディーターからメールが入っていた。
「今日の練習は、集まりが悪いので、無意味と判断しました。
希望者は明日、19:00にクラブハウス前に集まって、ラインエナギースタジアム横のピッチを走りましょう」
一緒にプレーした少年。みんながオレを「ナカタ」と呼ぶ中、
この子はゲーム中に思わず「トヨタ」と口走っちゃった。
一瞬、沈黙が走ったのを、見逃してないぞ~