
5月FOMC前夜 ‐追記あり、5月声明文について‐
Q1のGDPが3年ぶりマイナス入りということで、米国のリセッション入りが懸念されてはいるものの、GDPの先行指数として名高いリセッションアラートのWLEIはそのシグナルを依然として発信してはいない。
しかしトランプ関税の強行アナウンスが継続すれば、消費者、企業ともに心理面から景況感は低下し、それが駆け込み需要・在庫増加といった実際の流れになる。その後の需要低下見通しとともに設備投資が抑制されるが高金利継続となれば猶更といったところ。
年初からお伝えしているが、今回のFOMCでも政策金利の誘導目標は据え置きである。気になる点があるといえば、3月のインフレ指標が総じて低下しているところで、前年比ですべて2%台だった。
よって、今回最初に見るべきポイントは個人的に以下の箇所(以下は3月19日声明文最初の段落)。政策心理面の変化があるとすれば、ここの文言が変化することになる。
Recent indicators suggest that economic activity has continued to expand at a solid pace. The unemployment rate has stabilized at a low level in recent months, and labor market conditions remain solid. Inflation remains somewhat elevated.
やや高い水準にとどまっている、というのは(この時点での)3%水準のことを指しており、現時点では総じて2%台に落ちている。 しかし関税政策の見通しによっては、業者は価格転嫁見通しなので、需要に関係なく機械的に物価は上昇するわけです。それを表現してくるのか否か、または変化なしなのか。
まぁ小さなポイントをいってしまえば沢山あるわけですが、FRB書籍の順序に従ってみていけば次回会合も感覚的に掴めるものと思われ。(買ってくれた人向け)
追記(3:04):第2パラグラフに変化あり
第1パラグラフでは変化はなかった。ということは金利政策に対する見通しも変化なしということ。さらには第1パラグラフに劣後する第2パラグラフに変化があった。
以下が3月声明文における第2パラグラフ、委員会の見通し箇所で簡素な内容だったものが、
The Committee is attentive to the risks to both sides of its dual mandate.
今回が同じ箇所。3月のものに追記する形をとっている。
The Committee is attentive to the risks to both sides of its dual mandate and judges that the risks of higher unemployment and higher inflation have risen.
失業率とインフレ率の上昇リスクの高まりがあるんだとか。結局これでは政策金利を引き上げるのか引き下げるのかわかりにくい、という解釈につながるわけです。わかりにくくする意図すら感じる。
金利の引き上げと引き下げを天秤にかけたときにはAITルールに則って調整するんだけどそれまたいずれ。記者会見でもここの具体論については話さない、というか明言できないものと思われ。
また更新します。
マネーボイスに転載されています。 ‐トランプフレーション-
平素よりお世話になっているマネーボイスに先日の記事が転載されています。
上記記事ののち、さっそくトランプからは「解任は考えていない」と手のひらを返してきた。そちらの方が得策だからである。
で、記事で説明したように、理事としての解任はできないし議長解任も不可能となれば、上手くやっていく他ないのだが、インフレを終わらせる、と公約を果たすのであれば関税政策を調整していくしか方法は無いわけです。
日本政府もこのトランプの立場を上手く利用できれば良いと思うのだが、
バイデンフレーションからトランプフレーションへ ‐FRBへの空虚な利下げ圧力‐
トランプがFRB議長を執拗に攻撃しているとのことで話題になっている。
議論となっている理事の解任規定である「正当な事由」というのは、連邦準備法によって定められており、大統領と理事の間の政策相違ではなく、不正行為にあたる(と看做されている)。
が、しかし理事の解任事由は定められているものの議長の解任事由が定められていないところがキモとなっている。
トランプは、「議長解任は早いほどいい」とまで踏み込んできたが、現行法で考えれば不正がない限り、理事としての解任は不可能なので(パウエルは)26年5月の議長任期を全うすることになる。それをわかったうえで、利下げ圧力を加えていることになる。
さらには、パウエルが26年5月の議長任期を終えたとしても理事としての任期は28年1月までなので当然、政策決定には参加できる。よって理事のパウエルをメンバーたちがFOMC議長に選出することも可能だが、FOMC議長はFRB議長が選出されるのが通例なので、パウエルが26年5月に任期満了となれば、パウエルがFOMC議長になることは考えられない。
利下げ圧力に屈するか、トランプからの責任転嫁に耐え続け任期満了となるか、ということだが、わかっていることはトランプが関税政策を是正しない限り誰が議長になったとしてもインフレは継続するということ。
トランプは就任当初よりバイデンのインフレを引き継いだことは不運だった。ただ、自らの関税政策によってインフレ上乗せ分をFRB議長に転嫁するという行為は非常に愚かだといえる。誰を選んだとしても結果は同じなので。
FOMCに利下げさせれば物価高のリスクはさらに高くなる。利下げすればマーケットが浮揚すると思い込んでいるのかも知れないが、インフレが再び3%を超えていけばマーケットは逆に沈下する。それこそインフレ沈下の目途が立たなくなるので。
トランプは、バイデンフレーションと揶揄していたが、トランプフレーションといわれても過言ではない状況に。「大統領になったらインフレをすぐに終わらせる」と言っていた。支持を失うばかりだろう。
現時点でパウエルに責任転嫁するのは得策ではない。
いちおー書籍は昨年から今年初頭に記載したもので難しい時期だったのだが、おおよその展開といったところ。ヘビーな展開ですな、