追記あり:監視対象国ではない日本、逆介入(ドル売り介入)は日本の事情次第 | ニューノーマルの理 (ことわり) Powered by Ameba

追記あり:監視対象国ではない日本、逆介入(ドル売り介入)は日本の事情次第

5日、サウジアラビアがロシアの原油輸出制限と歩調を合わせ自主減産の3ヵ月延長を決めた。OPECプラスによる2024年12月までの協調減産を強化する形となった。

 

原油価格の下支えと報道されているが、ロシアとともにバイデン政権への嫌がらせの側面大きく、米国のインフレ軟化を邪魔する行為に走っている。人権問題でバイデンから過激な批判を受けたサウジはバイデン政権を徹底的に排除し続ける動きをとっている。

 

「2024年12月まで」(協調減産)というのも米大統領選(2024年11月)を視野に入れた世界に向けてのメッセージであり、米国のインフレはバイデンフレーションだとする強い意図が含まれている。つまり政権を交代させろ、という米国民に向けてのメッセージでもあり、その立場ではロシアと同様である。(日本国内では、このようなごく基本的な国際実勢論を、地上波で報道することすらない)

 

エネルギーが高いということもあってか、Fedは、そのエネルギー・食品を除いたコアインフレ値をターゲットとしていることを公に発信するようになった。しかし実際には、コア値にしてもエネルギーを完全に差し引いた消費財など考えにくく、中銀政策とてこれら産油国の影響を除くことはできない。

 

 

 

日本の判断に委ねられる逆介入

 

結果、利上げが継続しドルは強くなり、日本の立場としては円が相対的に安くなる。ここ数日、為替介入の報道をいくつか見かけたが、その中に「米国は日本の介入を嫌がっている」というものがあった。

 

最近、為替介入についてお伝えしたが昨年の介入は逆介入(ドル売り介入)であり、円売り介入ではない。つまり輸出産業を支え貿易黒字を大きくするための為替介入ではない為、米国が嫌がることは無い。 昨年2022年の米国の貿易赤字額も過去最大の9,453億ドルであり、そういう意味でも円売り介入とは事情が異なる。 その証拠として、直近の米為替報告書では、監視対象国から日本は除外された。(逆介入によって為替操作、対象国になることは考えにくい)

 

そのような事から今回、介入の判断について米国の顔色は取り除かれているように映り、あくまで自主決定の面が大きくみえるということ。前回お伝えしたように円安は国内におけるインバウンド需要や輸出産業の業績を下支えする反面、円安による外国人労働者の日本離れを引き起こし、何より国民生活への負担は大きくなり続けている。

 

便乗値上げも目立つようになった物価高の中、これらを政府がどう捉え、現在の実勢レートをどう考えるのか。 先月からレートチェック実施の報道がチラホラ入っているが、牽制の動きといえばそういうことになる。が、しかし昨年と比べやや腰が重い。産油国の動きによってようやく介入の話題がでてくるという状況にある。

 

 

追記:  先述したように日本では「為替介入は米国が嫌がる」といった浅はかな決めつけが横行しているわけですが、ザックリいってしまうと米国は、自国通貨売りの介入を実施する対米貿易黒字国をターゲットにしているわけです。(米国が貿易赤字だから)

 

なので、昨年ドル売り介入したほとんどの国は批判されず、日本も為替報告書の監視リストから外されたということ。これは円売り介入と違う逆介入(ドル売り)の特徴といってもいい。よく考えればわかりそうなものだけど、この論調を目にしたことは無いですね。いつものパターンで今から現れそうだけど。

 

米国の為替報告書についてはカラクリ2版9章に記載しているわけですが、5章の為替介入シリーズ?は初版の2013年に記載したもの。でも参考になると思われ。より詳しく説明しているのはeリサーチのオフィシャルレポート(アーカイブ)。マニア過ぎだけど。また更新します。