執着すべき5月会合におけるパウエル会見 | ニューノーマルの理 (ことわり) Powered by Ameba

執着すべき5月会合におけるパウエル会見

まず、議長はインフレ2%に抑え込むことに強くコミットしている。これは幾度となく繰り返された。

 

記者からの質問にもあったが、たとえばインフレ3%で推移したとしても、結局はそれを許さず2%に抑え込むことがFRBとしての役割という事。これが大前提、だということは会見から強く伝わってきた。

 

マーケットを浮揚させたい市場参加者、ならびに金融機関が議長本人が言っていることを自身の都合の良いように解釈し、大手ベンダーなんかが「一旦、利上げ打ち止め」「利下げの可能性あり」と懸命に市場を誘導しようとしていたが、今回もそのいやらしい意図は露骨だった。

 

議長会見の核となるポイントを改めてお伝えすれば

 

・インフレ率を2%に抑え込むためには、トレンドを犠牲にした経済成長率と労働市場の軟化は必要になる、という絶対的見解を述べた。(金融政策の前提としてここは重要)

 

・そのうえで、現在の雇用情勢をみていると失業率の上昇が(思ったより)小さい、ということが発信された。想定以上に失業率の悪化に注視しているということである。

 

・現在は1人につき1.6人の求人があり、これ50年ぶりの水準で非常に雇用がタイトであるということ。それに伴う平均時給もモニターしているということだが、具体的には平均時給とアトランタ連銀公表の賃金調査などインフレ2%に一致させるためにいくつかの核となる賃金統計をモニターしていて、それらは今現在、インフレ2%と一致する水準を数%上回っている、ということ。(つまり利上げ継続したいという意図)

 

・そして当ブログ、オフィシャルでも何度もお伝えしているが、金融政策の基本中の基本、それらにはタイムラグがあるということ。FRBは今ここにフォーカスを当てている、ということが伝わってきた。ここの分析に(政策公表との兼ね合いで)手こずっている。財政政策とは違う。(以下、金融政策の時間軸に述べた記事)

 

 

 

 

 

時間軸の段階としては、①政策必要性の認知ラグ、②政策決定までの決定ラグ、③実際に実行されるまでの(実行)ラグ、④決定したのちの効果ラグが存在する。 金融政策の場合、決定は早いが効果は遅い。逆に、財政政策の場合は決定が遅く効果は早い。(抜粋)

 

 

・で、これは(前々回記事と)重複になるが「今回0.25%に対する支持は非常に強かった。議事録をみたらわかる。一時停止については話題になったが、あまり議論にならなかった。

 

利下げは適切ではない。政策金利の上限について近いように思えるが、継続的に評価する必要がある、ということ。

 

いかに報道に惑わされないか。ポジショントーク、ただ単純に先入観からくる甘い解釈なのかもしれないが、金融不安や、政治的圧力を差し引けば、「2%までの道のりは遠く、今後も継続的に利上げしたい」、というのが本音だという事が鮮明になった。

 

今回、利上げ一旦停止を示唆、などの報道を多数見かけたが、会見を細かく分析せずに切り取り解釈によって市場参加者を誘導している軽率さ、またはいやらしさが多くみられた。ここは改めてお伝えしたい。執着する箇所であってほしいと思う。