パンデミック失業は新秩序を示唆 -ドル円レートは引き続きの現行水準-
BLSが21日公表した5月16日(土)終週までの新規失業保険申請件数、および5月9日(土)終週までの失業保険現行受給件数は以下。
失業保険現行受給件数は1周遅行する事になるので、最新のものは5月9日終週分(2,507.3万件)、という事になる。 雇用情勢の実態を把握するには累積件数(3,863.6万件)よりこちらのトレンドが重要になってくる。
新規失業保険申請件数は243.8万件(5月16日終週)で、WHOパンデミック宣言(3月11日)からの米国における新規失業保険申請件数のピークは3月23日(月)から4月4日(土)までの2週間だったことも既に判明している。(上図)
新規の申請件数はピークから緩やかに下落しているものの未だ高水準で現行の受給件数は積み上げられていることがわかる。
周知のとおりFRBの責務は「デュアルマンデート」として有名だが、連邦準備法としては厳密に「3つの責務」であり、その中の1つである「雇用の最大化」は以上の統計がメインデータとなるので政策金利の水準は現行のまま数年継続されるのは間違いない。
(量的政策として)FRBのバランスシートは7兆ドルに達したが、その内訳をみればNY連銀のOMOD(公開市場デスク)による運用証券は5.8兆ドルとなっている。(5月13日時点)
ドル円レート、というか為替変動に関してはここが重要になってくるわけだが、以上の事を踏まえ、ドル円レートは引き続き4月5週ドル円レートを継続予想。
で、債券株式市場では、ワクチン競争・開発報道が唯一のカタリスト?となっているが、それは経済の先行きを織り込んでいるとはいえず、投資家心理が利用されているだけである。ワクチンが新型ウイルス抑制を100%保証する事はあり得ないので。
「ワクチン開発が近づいている」というアナウンスは人々のワクチン妄信につけこんだ相場浮揚ともいえる。厳密にいえばインフルのワクチンとてインフルを完全に抑え込む事はできず、年換算で何万人も亡くなっている。
マーケットにとって最も重要なのは「実体経済が受けた打撃」になるわけだが、それを織り込むのはまだ先の話になりそうだ。まだ気づいていない、ワクチンが開発されても経済打撃は長期的、長年に渡って戻ってこないのは明白だといえる。
なぜなら今回の件で「効率」を追求した「新秩序」がアフターコロナになるからであって、無駄な移動や接触がなくなり、そこに群がるビジネスは淘汰される。格差拡大は広がり、貧困拡大から世界的な人口減少は顕著になる。
現在のマーケットは目先の材料に飢えているだけ。単純な図式だといえそうだ。