制裁関税の拡大と日本の受ける制裁、日経下落シナリオと「トランプ離れ」について
中国に対する段階的制裁関税と、メキシコに対する不法移民対策としての制裁関税、さらには遅れて提出された為替報告書で「監視対象国(制裁関税対象国)」が飛躍的に拡大したことは、過去数年間、金融政策を根拠としてイレギュラーに発生したリスクオフと違い、根深いリスクオフが今後も不定期に発生するということを示す事になった。
過去には「26,000ドルを超えて買い向かう人はアレ」「リスク資産が上昇しても脆弱性を抱え込んだまま」とお伝えしてきたが、上昇したとしても今回のようにちょっとした事(ツイート)でリスクオフとなってしまう。
日経平均の予想EPSが1,750あたりだったとして10倍で17,500円、11倍で19,250円、今は12倍21,000円を割り込んだ形なわけです。それですら日銀が無理矢理引っ張り上げているだけなので、今回のように落ちる時は早いですね。
米中貿易摩擦がこじれにこじれ、対中だけでなく欧州、東南アジアにも拡大(監視対象国)しようとしており、そのような中でEPS自体が予想通りにいくかといえば難しいだろうし、「仮に」このような情勢のまま消費増税を強行的に実施してしまえばどこかで「ストン」と落ちてしまうだろう、上昇の可能性より下落の可能性を頭に入れておくほうがより現実的である。
各国に対するトランプ政権の言い分としては対米貿易黒字の問題が大きく、実質実効レートベースで通貨安に誘導している国に対しては、それを帳消しにすべく相殺関税を掛ける案が色濃く浮上してきた。
中国やメキシコに続く国の中に日本が入っている事は覚悟しておかなくてはならない。
通商協議には為替条項が導入されそうな気配で、ただしかし、これは導入されようがされまいが市場介入はできないので実質的な意味は無い。ただ、報告書にあったように監視対象国となっているので、黒字分を帳消しにすべく大きな相殺関税や数量制限を掛けられることを覚悟しておかなくてはならない。日経平均は「このままだと」大きく下落する事になるだろう。繰り返しになるが10倍で17,500円、日銀が滑稽な抵抗を見せ続けるので実際どの程度なのかはわからないが、現況下を考えれば大まかでありながらも、このようなシナリオを頭に入れておくことは「常識」だといえる。
連続的な利上げによって強いドルとともに過剰消費に拍車が掛かり、それが世界各国の対米黒字(米国からすれば過剰消費による貿易赤字)を押し上げた大きな要因であるにも関わらず、そのような対米黒字国を一方的に非難するトランプ政権の姿勢は、国内向けの選挙対策に他ならない。
そのような結果、米株が下落しても、それは「(為替操作をしている)中国やメキシコ、日本(その他)が悪い」といった考えを支持者にアピールするだろう、(中国は1ドル6.9元で防衛しているので)日本同様、実際にはそうではないのだが。
いずれにせよ米株の下落は他国やFRBのせいにされ、制裁関税乱発によって慢性化しつつある逆イールドが示すように経済成長は鈍化し、この状況が続けば「トランプ離れ」も当然加速する。 トランプ離れが目に見えて顕在化してくるのはいつなのか?現実的な着目点としてこちらも追っていきたい。