遅延した「為替報告書」 ₋その理由と米中覇権争いの絡みについて‐ | ニューノーマルの理 (ことわり) Powered by Ameba

遅延した「為替報告書」 ₋その理由と米中覇権争いの絡みについて‐

国際金融マーケットを包み込むoverviewは、前回記事がよく表していると思う。

「目先」とはいったものの、概況は現在でも特に変わらないため、真新しいことを報告するのは難しい。109.00‐110円台というレンジに関しても同様である。

 

 

遅延した為替報告書

 

そんな中、米東部28日に米財務省は遅れに遅れていた半期に1度の為替報告書を公表した。遅延した理由としては、為替操作国ならびに監視国への要件変更点があった事、米中貿易協議が不透明な中で中国をどう扱うのか、といった2点が挙げられる。

 

為替報告書自体の結論としては、監視対象国にドイツ・日本・韓国・中国が引き続き指定され、インドとスイスが外された。新たにモニターされる対象国にイタリア・アイルランド・ベトナム・マレーシア・シンガポールといった5ヵ国が追加され、モニタリング国(監視対象国)は9ヵ国へと拡大した。 当時、ベトナムドンは操作国認定されるのではないか、といわれていたが免れたようだ。(監視国認定→操作国認定と段階的な手順があるわけでは無い)

 

これは前述の要件変更が背景にあるのだが、顧客の方であればご存知の通り「経常黒字がGDP比3%以上」(拙著カラクリ2版、P209)といった要件が「2%以上」へと変更され、さらに対象地域は拡大した。 今回、新興国である東南アジアの国々が(3ヵ国)監視対象となった事は注視に値する。

 

 

中国は為替操作国認定以上

 

中国は監視対象国という事だが、実質的には為替操作国認定、いやそれ以上の制裁関税が課されているのも同然であり、幅広い品目関税対象どころかファーウェイ問題(バーチャル覇権争い)が実行化されたことで米中の覇権争いは本格化した感がある。

 

前回記事では「トランプ政権は中国の報復関税措置(公表)を受けて徹底的にやるだろう」とお伝えしていたが、その後にファーウェイ制裁?を公表した。これは貿易戦争を超えての覇権争いであり、6月G20で米中貿易協議が仮に実施されたとしても、ここのバーチャル覇権項目で何らかの妥結が見られない限り中国は引けに引けない状態である事は間違いなく、収束どころか妥結すら見えない。

 

 

人民元の国際化は元安政策7元がボーダー

 

米中のドル元レートに注目している方も多いと思うが、ご存知のとおり今現在は、1ドル7元弱で推移している。

 

米国が中国に対して関税圧力を高めた5月10日前後より人民元は米ドルに対して数%減価したが、それによって関税分を相殺することはごく一部に過ぎず、さらには中国としては1ドル7元を防衛しなくてはいけない。(それ以上元安にできない)

 

なぜなら、「人民元の国際化」は長期覇権争いの柱であり、中国における16年3月「第13次5ヵ年計画」の柱としても明記された。【拙著カラクリ2版、中国人民元のドルへの挑戦

 

IMFにおけるSDRのバスケット構成比率にて日本円を抜いて3位になった事はもう遠い過去の出来事、各国における外貨準備の準備通貨としての躍進や決済通貨としての地位向上をもくろむ中国政府としては、対米貿易のみにとらわれ、制裁関税相殺のみに執着した露骨な元安政策を実施する事はできない。

 

しかしトランプ政権はそのような状況においても、対米貿易で関税制裁を相殺するための通貨安政策(この場合は中国)の動きがみられた場合には更なる相殺関税を上乗せする、といった強硬ルールをアナウンスし、牽制している。(元安政策が加速すれば一層の関税措置で牽制する)  一般の方が思っている以上に米国の中国に対する圧力は強硬なものであり、米国は多少の犠牲を払っても中国の勢いを止める事に尽力している。

 

中国人留学生を排除しビザ発給のハードルを上げ続け、中国人スパイを減らし、米大統領選挙にてSNSを利用しての「トランプ下ろし」を目論む中国人の侵入をホワイトハウスは何としてでもストップしようとしている事すらうかがわせる。

 

これは余談になるが、当ブログでは中国人留学生の日本流入について警鐘を鳴らしたことがあるが(ライブドアニュース?2015年くらい?)、平和ボケした日本にはピンとこない(今もきていない)と感じた事があった。 当時は(Yahooなどの)メジャーなポータルサイトなんかに(当ブログが)掲載されていたため、中国人留学生が急増する事による安全保障のリスクを述べた結果、反応としては翌日からヘンテコなウイルスメールが急増したのは覚えている。(漢字だらけ)

 

米財務省は為替報告書で、中国の為替操作国認定を見送ったが、中国が被っているのはそれ以上の措置、だという事。しかし中国は国内世論を考慮せざるを得ず、目に見えての対米妥結は難しい。