「ドル独歩高」と日本のスタグフレーションリスク | ニューノーマルの理 (ことわり) Powered by Ameba

「ドル独歩高」と日本のスタグフレーションリスク

なんでも米国における第3クオーターGDP確定値が前期比年率5.0%増という驚きの数字で、年末になってもドル独歩高を演出した。引締めツールを消化し続けるFRBの行動と整合性が取れるようなマクロ指標の数々、ただし議長本人が言っているように、今後数回の会合では利上げは実施されない。


クリスマス直前のサプライズ数値と株高は商務省から市場への大きなプレゼントにも見えるし、見方によってはロシアいじめ、のように見えなくもない。ロシアを筆頭とし、それに連なる新興各国としては利上げや為替介入やら通貨防衛の必要性に今後も迫られる事になるだろう、ドル高はまだ始まったばかりだ。


今年序盤はアルゼンチンの通貨危機というのがふっと湧き出てきた感があって「危機時の円買い」という形容句とともにドル円は停滞した。今後、現在のロシアのように新興国やアジアからの通貨危機の発生も考えられるが、調整含みのドル高は結局のところ進んでいく事になり、「有事の円買い」が仮にあったとしても一時的なものに終始するだろう、日本の国際収支では一次所得収支の拡大が経常黒字を支える構図になっているが、ドル高円安のなぐさめ程度の材料にしかなり得ない。


日銀2発目のバズーカののち、日銀がTBから長期国債の比率を上げる、という事になり、ともすれば短期金利下落が抑制され円安にも多少のブレーキが掛かるのではないか、という見当違いな意見が一部のエコノミストから出ていたが、やはりというべきかそんなことは無く、今後も短めの方のマイナス金利の継続とともに日米の金利差は開いていくばかりになるだろう。日本の通貨安は、ロシアや他新興国で起こっている出来事を対岸の火事とはいえない、という事すら示唆しているように思える。通貨安によって新興国のような債務問題が生じるといっている訳ではないが、日本も生活必需品における物価高からのスタグフレーションを防ぐべく、通貨防衛を強いられる局面が、思いのほか早くやってくるかも知れない。


効き目は薄いだろうが、日本はあいにく売っ払うドル資産は沢山保有しており、大規模なドル売り介入によって円安インフレに些細な抵抗はできるかもしれないし、日銀の量的緩和政策にしても短期国債の比率をさらに引き下げ、長期国債の比率を引き上げる。意図としては長期金利を低く抑え設備投資を刺激しながら、短期金利をせめてプラス圏内に誘導し、通貨防衛と物価高を抑制するというもの。1960年代に米国で実施されたツイストオペ1.0を一考する価値はあるかもしれない。


日銀は短めの方で介入し過ぎた。しかしどちらにしても、円安政策で経常黒字を保っている側面はあるのだから、通貨防衛を実行するとしても政府日銀は後手に回る事だろう、それを考えれば「消費の先行き」は決して明るくないように思える。


不可解な追加緩和が円安を助長し、意図通りに衆院選前の株高を演出した。そしてその結果がスタグフレーションという大きなリスクを2015年の日本に残した事になる。繰り返しになるが円安を抑え込もうとしてもタイミングが遅ければ何をやっても効果はないだろう、来年も「円安」が景気や株価の起発点として注目を浴び続ける事に間違いはない。