ECB、「QEプラン」というデマ ‐TARGET2とユーロ相場‐
ECBがFRB型のQEを発動すると思っている人たちが一部いるようだが、そんな眉唾な記事に秀逸な投資家が騙される事はないだろう。ユーロは一旦下落したが、現在は踏みとどまっている。それが現実だといえる。
過去のECBのアナウンスを振り返ればそれは明白で、騙される人たちは人が良すぎるのではないか?
言ってしまえば「検討している」「準備がある」といった言葉を添え、言葉巧みに相場を操縦しているだけ。OMTすら実行できず、SMPには不胎化がついていた。SMPはイタリア・スペインに特化したQEだったが、吸収措置を付けた事で、結果としてはアメリカ型のQEではなかった。今年、(ECBが)「不胎化を止めるかも」といった報道があったが、以前にも述べたように、不胎化中止に特に効果はないし、アナウンスする事によって市場の反応を窺っているだけだろう。
ECBの権限が拡大する今秋までユーロが値崩れしない(可能性)と言った のは、QEの目的とは背反するような権限をECBが握る事になるからだ。ECBがユーロ圏大手銀の監督権限を握る事は、将来のシステミックリスクを未然に防ぐ事を意図したもの。繰り返しになるが、それはQEの意図と背反する事になる。
(バイトマン独連銀総裁は) 「危機の克服は依然として苦しい戦いだ。前進がなければ、後退する」と指摘。「改革について言えば、各国政府はアクセルを思い切り踏み込む必要がある」と強調した。
金融政策について、総裁は、ECBに過度に負担をかけるべきではないと強調したうえで、「負担が大き過ぎる金融政策はむろん、独連銀が嫌うことだ」と述べた。 (記事)
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SSMをスピンオフさせるかも、といった内容も目に留まるが、これも現時点では、「将来的に検討」といった可能性の話になっている。
バイトマンが「QEの準備がある」と触れた、等といった報道を目にしたが、そのようなものは一部切り取った煽り報道になる。上記記事にあるように、ドイツ連銀は負担をとにかく嫌っている(そのバイトマン)。
参考として、今年に入ってドイツ連銀の帳簿上の債権は順調に減ってきている。(以下)
イタリアとスペインの債務はそれを埋め合わせる形で歩調を合わせている事が分かる。 ドイツ連銀はバランスが均衡する事を目指しており、彼らの発言の背景には常にTARGET2の存在がある。(TARGET2とドイツの隠れたリスク )
結果、ECBがFRB型のQEを発動する事はあり得ない。バランスシート拡大政策を発動したとしても、前回述べたように、期限を迎えるLTROの第3弾の可能性だが、上記イタリア・スペインの「ソブリン危機」は今現在、(上記に従い)落ち着いている。(以下スペイン、イタリア10年債利回り)
両国の利回りが落ち着き、(前回述べたように)主に南欧向けであるLTRO-2の返済スピードが維持されている限り、ユーロは(ディスインフレだが)値崩れしない可能性がある。
言いたいのは、軽々しく「ドイツ連銀はQEの準備がある」等と吹聴してはいけないという事。
状況をわかっていない市場関係者がECBの牽制アナウンスを垂れ流しているだけ、そのような報道は投資家をミスリードする。止めて頂きたい。
サービス付きで一言添えておこう、(上図)TARGET2のD地点からユーロ相場がどうなったか?ドイツ連銀は通貨価値を優先している(拙著P50、140)。 市場関係者はユーロシステムをもっと勉強すべきだ。


