ドル円 「1月のマイルストーン」
明けましておめでとう、なんて言葉が時期外れになってしまった。今年もよろしくお願いします。
会合前夜
昨年末に日銀・白川総裁が、安倍首相からの「2%目標導入要請」を検討する、と発言(12月20日)してからというもの、ドル円は直後に85円の節目を突破したのち、その結果(目標検討)が公表される1月21-22日の日銀政策決定会合までは、大きなトレンドを形成する事が予想された。その値幅自体は定かではないものの、大まかな流れができるといった意味では、コンセンサスが形成されていた、といっても過言ではないだろう。
新年に入ってからの米国の「崖回避」は、(その内容云々はここでは置いといて)既定路線だったと言えるため、米国側からの大きな障害も無く、ドル円は21-22日に向かっていく事が予想された。そして1月10日を過ぎた今現在、政府・日銀が「物価目標2%」を明記した共同文書を取り交わす、といった報道が織り込まれるようになった。
つまり現状を端的に描出すれば、「12月20日に描かれた青写真が、1月10日過ぎに既成事実化され、ドル円は、日銀会合前にして90円といった節目を迎えている」
市場の関心は、大きなマイルストーンである21-22日日銀会合以降に移っているが、通常で考えれば、モメンタムは縮小し、値幅は抑えられる事が予想される。ここのところ根拠薄弱となっている米金利動向だが、その長短ゾーンにしても利回り抑制が今後も継続する事が予想される。(以下その理由)
抑制される米金利
昨年12月FOMCにて、物価上昇率と失業率といった2つの側面から(低金利継続の)バンドを敷いた事も(エバンスルール )、短いゾーンの利回りが抑制されている事の主因だと考える。バーナンキは、「失業率が6.5%に到達したのちも低金利を継続させる可能性がある」としているが、それも理由の1つだと解釈する事は可能だ。 前述の「崖回避」にしても、給与税減税の失効と富裕層向け増税(所得税)によって完全に回避する事はできなかった。むしろ今後の米景気の見通しに一抹の不安を与えたともいえる。
さらには、これらの(金利抑制)要因に加え、テクニカルな理由も存在する。
FRBは前述の12月の会合にて、信用緩和を拡大した。そして、米政府は財政引き締めとともに、国債純発行額を抑制する。つまり、米国債の需給ギャップは圧縮されるわけだが、この事も米金利抑制の見通しを正当化する事になる。
要するに、「米側の要因によって」ドル円が上に振れたとしても単発で終わる可能性があり、(米側の理由によって)一段押し上げられる事は目先考えにくい。そういう意味において、今後市場の注目は、日銀緩和の政策手段に移る事が予想される。「2%目標」が既成事実化している事を考えれば、尚更そうだといえるだろう。
注目される日銀政策
その政策手段、求められているのは日銀当座預金における超過準備付利撤廃だが、これに関しては白川総裁が任期を全うするまでは実現しないと予想する。 市場が求めている「無制限緩和」にしても表記のインパクトはあるかも知れないが、日銀は「事実上の無制限緩和」を今現在でも継続している。金利の視点で見た場合には、その表記を掲げようがそうでなかろうがその効果は同じであり、そう考えると、実際の効果より「見栄えのインパクト」に引き続き焦点が集まる事になるだろう。
22日の日銀会合後、24日には12月貿易統計が財務省から発表されるわけだが、これは「日銀政策からの円安誘導」という視点とはまた別に、「円への信任毀損」という意味において少々注目される事になる。12月の結果と同時に通年の結果(2012年)も発表されるが、11年と比較し、その(12年)貿易赤字幅は数倍に膨れ上がる見通しとなっている。それを考えれば、21-22日の会合ののち、24日も注目だといえる。