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霧中の「ドル離れ」

AIG筆頭株主のアメリカ政府って、リストラ進めて経営再建を加速

させるんじゃーなかったんだろうか? 


「米救済企業でまた高額報酬 AIG新CEOの年収10億円」
果てしないカオス

 

この手の話題が絶えないアメリカ企業なんだけど、ゾンビにも関わらず

誰よりも多い報酬を公然と手にしている。 オバマ政権に「幹部報酬の

特別監督官」ってのがいるようだが、ただの飾りらしい。

アメリカ納税者のみならず、米国債を買わされてる日本人にも間接的に

関係してると思うんだけど、もう少し目を向けるべきなんじゃないだろうか。


色んな意味でアメリカに嫌気が差している中国なんて、リアリスティック

且つ毅然としていて、アメリカ衰退後の将来を常に見据えている。以下

17日付のフォーブスから。(米国債絡み)


China cut U.S. Treasury holdings in June

                           (Aug17.forbes.com)

NEW YORK- China reduced its holdings of U.S. Treasury

debt in June by the biggest percentage in nearly nine years,

according to Reuters historical data and a Treasury

Department report issued Monday. Even with the Chinese

reduction, overall net purchases of U.S. Treasuries totaled

$100.53 billion in the month, up from $22.55 billion in sales

in May.

中国が、ここ9年間の中で最も大きな割合の米国債を減少させた事を、

ロイターや米財務省からの報告を基に報じている。ただ、中国の売却を

踏まえた上で、5月の225億5千万ドルの売り越しから、6月は1005億

3000万ドルの買い越しに転じた事を強調。


China reduced its net holdings 3.1 percent to $776.4 billion

in June from $801.5 billion in May. But its June holdings

were still larger than April's $763.5 billion and $767.9 billion

in March. "There are a lot of new investors coming into the

Treasuries market. For example, (U.S.) household holdings

of government debt have risen," said William O'Donnell,

head Treasury strategist with RBS Securities in Stamford,

Connecticut.

中国の米国債保有額は、5月の8015億ドルから3.1%マイナスの7764億

ドルへ減少したんだけど、3月・4月の保有額よりはまだ大きい事を強調。

そして最後にRBS証券の国債ストラテジストであるウィリアム・オドネル氏

の意見として「中国の保有額が減る一方で国内投資家が市場に参入して

いる」コメントを紹介。 (以下参考)


      09Jun  May   Apr   Mar  Feb

China  776.4   801.5  763.5  767.9 744.2

Japan  711.8   677.2  685.9  686.7 661.9
U K    214.0  163.8  152.8  128.2 129.1 /in billions of dollars
「MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES」


そして日経ネットからはその内訳。

「中国、米国債の保有を大幅減 6月末、外貨準備の運用多様化も」


記事にあるように、米国債の価格下落を警戒して保有比率を高めてきた

「短期債」が大量に償還した模様。 一部を長期債、残りを米国債以外に

充てたらしい。 「長期債」再投資の経緯は分からないんだけど、中国は

今年に入っても短期債を451億ドル購入、6月の短期債償還後の今現在

2104億ドル保有らしい。(ブルームバーグ)


要するに中国保有の米国債のうち、3割弱が短期債で占められている事に

なるんだけど、「中・長期の」米国債の購入ペースに比べて、短期債購入

ペースが圧倒的といえる。(ちなみに8月19日の米5年債のCDSは28.99bp)


日本では、この間、民主党の中川さんが外貨準備政策について「ドルから

の分散投資」の意気込みを語っていたんだけど、それにブレーキを掛ける

ような慎重論がここにきて強くなってきた模様。

「米国債中心の外貨準備、政権奪取後慎重に判断すること」

「民主・直嶋氏:ドル中心の外貨準備の運用続ける」


輸出先がアジアへ拡大する事を考えれば、中川正春氏は至ってマトモな

事を言ってるんだけど、政権誕生前って事と現実的に実現難って事で、

大きな事を言うのは控えましょうっていうアナウンス。

実際には、他の通貨への分散ではなく、中国みたいに短期債の比率を

上げたり、他のドル商品に変えたりして徐々に脱却していくのが理想なんだ

ろうけど、政権誕生前からブレーキが掛かった印象。 世間的に、他の政策

に比べあまり採り上げられないけど、まぁ注目です。


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