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拡大する「劣化決算」

前回、為替ネタを書いたんだけど、あんまり意味無いかなって思って削除しました。


「ドルが安いからといって安易にドルを買う人はマヌケ」みたいな事書いて、ちょっとヒンシュクを買った事もあって削除したんだけど、金利差による円安傾向が長らく続いた今までとは投資環境が異なる事は理解しておいた方が良いでしょうね。 まぁ継続的な「円高トレンド」は続くって事になります。



米半導体メーカーの大幅な下方修正


米インテル(NYSE:INTC) の10―12月期の純利益が前年同期比で「90%減」って事だったんだけど、今月12日に大幅な下方修正を出していた内容を、数日後さらに下回り、ちょっと驚いた。


先日も、通信用半導体メーカーの米エヌビディア(Nasdaq:NVDA) が11-1月期の売上高見通しを大幅に下方修正したんだけど、前期に比べ40-50%減少って事で、インテル同様その下方修正の幅の大きさに驚かされる。

同業のアドバンスト・マイクロ・デバイシズ(NYSE:AMD) も25%減を予想しているようなんだけど、大手半導体メーカーの大幅下方修正は、今後の半導体産業の「暗い行方」を意味している。


アルコアの時も同じような事言ったんだけど(アルコアの赤字決算) 下方修正の幅がこれだけ大きくなると、市場に与える影響もかなり大きくなると思われる。



メガバンクの大幅減益


「特別損失計上ネタ」ばかり(春先のドル急落説) で申し訳無いんだけど、国内は三菱UFJ F・G。


まぁ簡単に言うと持ってた株が3割下落したって事での損失計上なんだけど、その額が2880億円って事で、4-12月期の減損処理額はトータルで4300億円を超える水準となった。

これは3Qの結果に反映されるって事なんだけど、今現在の連結09年3月期予測は、予測純益&EPSが2200億と19.4となっていて、今回の減損処理額で単純計算してみても通期はそのまま赤字決算となる。(→三菱UFJFG財務)


       経常収益 業務純益 経常利益  利益   EPS

連08. 3   6,393,951  1,437,910 1,029,013  636,624 61.0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
連09. 3予 5,900,000  1,400,000  600,000   220,000 19.4
連10. 3予 6,200,000  1,680,000  880,000   440,000 38.8


3メガバンクで比較した場合、株価に対するリスクは「三菱UFJがもっとも弱い」と言われていて、他のメガバンクに比べて株式評価損を計上しやすい状態となっている。


しかし、株の含み損って事で「一過性の」赤字決算ならまだいいんだけど、09・10年3月期の連結予測を観てみると、共に08年度までと比較して、経常損益段階で大きく落ち込んでいる。

財テク活動が何かと忙しい日本では、経常損益段階で大きく落ち込んでいる点は、「長期的に見た場合において」見逃せない点となり、リスクアセットが拡大した場合には、一時的な赤字決算とならない可能性もある。


ちなみに、3メガバンクとも取引先企業の相次ぐ倒産で不良債権処理費用も膨らんでおり、みずほFGや三井住友FGも大幅減益が避けられない見通しとなっている。 


今の時期に銀行株を保有する事はリスク全開って事で、銀行株にゼンゼン関心の無い自分はIRを観ていない。 よって細かい内容は分からないんだけど、メガバンクの業績が今後、予測通りの展開で、且つ株安が続く事を想定すると、銀行の企業への融資姿勢は長期的に観た場合でも相当厳しくなる


「BIS規制」を念頭に入れるメガバンクとしては、リスクアセット拡大の度に増資懸念が続いており(リスクアセット拡大で3メガバンクが増資) そう考えると特別損失と増資による「EPSの希薄化」が、株安と貸し渋りという「2つの不幸」を進行させる事になる。


果てしないカオス

損失計上と増資によるEPS希薄化が株安も助長

(三菱UFJFG/T・8306)


まぁ銀行を取り巻く全てのステークホルダーにとって苦難は続く事になるんだけど、銀行株を買おうとする人はせめて今後の「ダイリューションの可能性」くらいは念頭に入れておくべきでしょうね。


じゃまた


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