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春先のドル急落説

ロイターによると、3月の外為市場において「ドル/円急落説」が

流れ始めたって事なんだけど、一旦は落ち着いたかに見えた

ドル安円高トレンドが継続される事は容易に想像が付く。


まだまだ先の見えないリセッションのさ中、米財政赤字は拡大し

FRBの資産は「リスクの膨張」が進み、海外からの資金調達も

米国債の低金利よって困難になる事が予測される。

(シーソー化する日米利下げ)


米国債は今現在、2年債利回りが0.7~0.8%、5年債が1.4~1.5%

10年債2%と記録的な低利回りとなっており、ロイターによると

今月7日に実施された3年物の米国債入札においても、海外の

中央銀行による入札分を含む間接入札者の落札比率は約28%で、

12月に行われた入札時の35%を大幅に下回っているとの事。


海外勢が、記録的低利回りとなった米国債を買う事を躊躇する

のは当然の成り行きで、日本政府としても外貨準備の為替評価

損失を縮小させるために、保有ドル資産の更なる売却を今後、

一層進めなくてはならない (墜ちる「アメリカ最強の輸出品」) って

事になります。



手放されるドル資産


円高ドル安トレンドへ向けて、それらの「強力な後押し」の中、

業績の落ち込みに直面する日本企業も、3月決算対策として海外

資産を手放す展開が予想されるって事なんだけど、企業だけに

止まらず昨年末には、日本の各私大においてもハイリスクの取引

に失敗したという話がちらほらニュース等で流れていた。


その中でも、デリバティブで154億円の損失を出した駒沢大では、

清算のために東京・世田谷のキャンパスやグラウンドを担保に

入れ、金融機関から110億円の融資を受けたらしく、大変な損失と

なったらしい。


駒沢大は、デリバティブの「金利スワップ」「通貨スワップ」の2種を

「外資系」金融機関と契約し、昨年3月期決算での評価損は約53億

円だったらしいんだけど、その後含み損が膨らみ、追い証を求めら

れた後、契約を解除した(その結果154億円のマイナス)って事で、

理事長は責任をとって解任された模様。


海外投資の失敗に伴う損失計上が学校法人からも聞こえてきた

っていう話なんだけど、その他、昨年末時点で約225億円まで含み

損が膨らんだ慶応大は 「収入を安定させる目的で」株、投資信託、

仕組み債等に分散投資をしているといい、有価証券の取得額も1250

億円と私大の中でも際立って多い。


南山大や愛知大など地方の大学でも巨額の損失を出しているよう

なんだけど、今のところ私大の資産運用を規制するような法律は

なく、ましてやバランスシートを公開するルールもないって事で、

受験生にとっても勉強以外のところで厄介な問題が浮上してきた。


学校法人でさえ海外投資絡みの損失計上がされる中、金融機関や

民間企業、その他事業法人などが、3月末に向けて大幅損失を計上

するのではないかとの観測が流れ始めるのは当然の成り行きで、

さらには、国内法人のみならず、海外勢の保有資産も「円資産」へと

シフトされる事を想定すると、春先のドル急落説もあながち的外れ

ではなく、日本経済にとってタイトな状況は続く事になる。


円高トレンドを防げない今後の状況は、まぁ逆に考えると内需がリード

できるような経済構造への転換期という事になるんだけど、円高一方

通行へと触れやすい今の状況を逆転の発想として欲しいですね。


あと関係ないんだけど、「オバマの経済チームがTARP見直しを図る」

っていう報道が昨日流れていたんだけど、既に当初の目的以外に使用

されていたTARP (残されたライフライン「TARP」) の使用用途の確認

って事で、ここにきて公的に軌道修正された。


自動車メーカー支援と住宅差し押さえ対策、地方政府、中小企業へと

使途は拡大されるって事なんだけど、後先考えずに救済するのでは

なく、明確な計画を立てて使用用途をはっきりすべきであり、特に住宅

市場に関して、米財務省は今後積極的に動く事になるでしょうね。


じゃまた。


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