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金融危機下の「隙だらけ投資指標」

「投資指標のどれが有効か?」というような議論がよくなされるんだけど、結論からいうとどれも「隙だらけ」であり、投資指標単独で将来の予測ができるはずもない。


PBRなんか負債を無視した考え方で、同じPBR1倍の銘柄同士でも株主資本比率が10%だったり、90%のものだってある。

このブログで何度も指摘した事だが、純資産倍率(PBR)が1倍なのでこの辺を基準に、日経平均が底になるとかならないとかいう議論を「マヌケな経済学者」が言っているんだけど、経済悪化状況では企業が保有している株式や不動産価格は劣化傾向にあり、ましてや不動産等は株式とは違いマーケット等は存在しておらず、時価でBPSを測る事は難しい。


結果、BPSが信用ならないとするとPBRやROEも信憑性がないものとなってしまう。 要するに経済悪化状況だと、BPSはさらに下落する可能性が高く、その結果PBRが1倍を割っているからといって必ずしも割安とはいえないという事になる。

PERにしても、輸出産業など今後EPSが落ち込む事を考えると、今現在が「実績ベースで」10倍を割ってて割安といわれる水準であったとしても、株価はもっと下がる可能性が高くなる。


要するにPERもPBRも、将来のEPSとBPSが重要であって、「今何倍だから割安だ」、という考え方は短絡的で、本質的な論理を理解していない考え、という事になる。

PCFRとPERの違いは、要するに計算式の分母にEPSをもってきているか、1株CFををもってきているかの違いなんだけど、1株CFの場合はEPSと比べ、予測の数値が発表されている事も少なく、さらにはPERとは違い、業界平均PCFRというようなものはあまり目にする事はない。(よって他業界との比較が難しい)


PEGレシオなんかも、基本的に将来利益見通しのある企業でないと利用する事はできないし、そういう意味では、サステイナブル成長率も同様となる。

一時、注目を集めたEV/EVITDA倍率なんかは一見、時価総額に有利子負債と現預金を加味し、分子の利益からは、経常益と特別損益を外す事で、本業の力を強調し、一見本質をついているように見える。

しかしこの投資指標も、企業間の買収の場合だったら活用できるのだろうが、小口の個人投資家が利用する場合には全く別の話となる。 


なぜなら増資による希薄化(ダイリューション)が実施された場合などに全く対応できておらず、そういう意味で致命的な欠陥を持っている。 個人的意見からすると、正直このEV/EVITDA倍率は完全な欠陥品だという事になる。


今現在の経済情勢の中で、株式投資は世間一般が思っているほど簡単ではない。 「バフェット」が独占型企業を探すのは、将来の予測が立て易いからであって、そういう意味で仮説が立てやすく、結果、その企業を探した上でPER、サステイナブル成長率を利用している事になる。


結論としては 「どの投資指標が有効か?」という質問に対して、どの投資指標も単独では無効、という事になるんだけど、マーケットにおいて輸出産業だけは長らく厳しい、という事だけは明言できるでしょうね。L字相場長期化って事で。