残されたライフライン 「TARP」 | ニューノーマルの理 (ことわり) Powered by Ameba

残されたライフライン 「TARP」

NY原油が1バレル40ドル台でウロウロしてるんだけど、IEA(国際エネルギー機関)によると、2008年の世界の石油需要が25年ぶりの減少という事らしい。


原油市場からヘッジファンドが退場した年後半になって、減少ペースが加速した事もあるんだろうけど(終焉と) 、結果的に原油需給のファンダメンタルズは健全だった事になる。  要するに原油高騰が単なるバブルだったという結論付けができるんだけど、中東の幸運も去って行くって事で、繁栄を続けてきたカタールリーグ等、この先どうなるんだろう?(実はサッカー好き)



決裂したビッグ3救済法案


ビッグ3支援問題で揺れている12月の米議会なんだけど、自動車救済法案は上院でストップを掛けられたって事で、政府支援は白紙になったみたいですね。


ビッグ3救済は、一言でいうとまさに 「Too Big to Fail」が当てはまるんだけど、簡単にいうと「潰しちゃうと自動車部品メーカー中心に山崩れ的にドミノ倒産が始まるって事で、デフォルトの連鎖・クレジット危機・株価も下落、結果消費は落ち込み米経済に止めの一発」ってとこになる。

この法案を廃案に追い込んだ最大の争点は、「高額な人件費」だったんだけど、税金投入にも関わらず、高額な人件費を下げ渋るビッグ3の高慢な態度は、最終的に自分達の首を絞める事になった。


見方によっては、法案推進派も反対派も両方正しい事を言ってるので、議会が紛糾するのは目に見えてたんだけど、共和党員の反対票を切り崩す事ができずに、年内の議会での協議は打ち切りとなった。

ボーナス・インセンティブの辞退、「ゴールデンパラシュート」の禁止、都合の良い報酬制度の禁止、と経営陣にはなかなか監視の行き届いた法案だったんだけど、まだまだ甘かったみたいですね。



残されたライフライン 「TARP」


上院で救済法案が否決された場合に、選択肢の一つとして、FRBによる緊急融資も期待されているみたいなんだけど、FRBのバランスシートは近く、約4兆ドルまで膨張するとみられていて、(劣化するFRB資産) その急激な進行具合を考えると、FRBによる救済は到底不可能って事になる。


果てしないカオス

     拡大図はこちら(08年12月)


そう考えると、残された「年内救済」の選択肢は、ホワイトハウスによる救済のみって事になるんだけど、「TARP」(不良債権救済プログラム)を利用した自動車大手救済には、ブッシュは反対の意向を示していた。

このTARPは10月に可決されたんだけど(約7000億ドル)、TARPを利用したその後の10月、11月の2ヶ月間の財政赤字は4000億ドルを超えている。(過去2番目の赤字)


09年度の財政赤字は1兆ドルを超えるとの観測も出ていたんだけど、このTARPを自動車救済に利用するとなれば、財政赤字はさらに拡大する事になる。

「製造業には適用しない」と明言していたブッシュとポールソンにとっては今回の自動車救済問題は、任期終了間近に難題を押し付けられた形となったんだけど、TARPを利用するのかどうか、ブッシュとポールソンがどちらを選択したとしても、アメリカ経済にとっては岐路ってとこになります。



ビッグ3のCDS清算の行方


話が少し逸れるんだけど、この自動車3メーカーが破綻した場合、CDSも清算される事になるんだけど、どの位の規模になるんだろう?


政府支援の場合でも、「救済法案の文言次第ではCDSの清算事由に当たる」っていう報道も目にしたんだけど、そう考えると、ビッグ3救済問題の陰に隠れている次のパニックも強烈なものになると思うんだけど、この手の報道は大きく扱われていない。

以前の記事で、リーマンCDSの清算についてちょっと怪しんでいた自分なんだけど、(果てしないカオス) やはりというか最近になって、そのCDS清算について、米政府が公金処理していたという報道が海外から聞こえてきた。


果てしないカオス


米政府は、CDSを発行していたAIGに莫大な緊急融資をすることによって、AIGを経由させ、CDSの保険金としてゴールドマンサックス等の金融機関に公金を流していたというものなんだけど、ポールソンがGSの会長を務めていた事を考えると、信憑性は高いように思える。(米政府は非公表としている)

ビッグ3のCDS清算のマグニチュードの大きさを考えた場合、リーマンCDS清算と同じような事が起こるのではと考えてしまうんだけど、まぁCDSによるデフォルトの連鎖によってマーケットが混乱するよりはマシかも知れないですね。