「リトル・リチャード」を観た話を、ちゃんとしよう。
TBラジオをずーっと聞いてきると御馴染みになる、臼井ミトン氏と高橋義朗氏が、生で語る、というので、これは聞きたい(てゆうか見たい)。いい機会でもあるので、古き良きミュージシャンの伝記ドキュユメンタリー映画ってのを、観てきました。
「リトル・リチャード」、みんな知ってます? プレスリーより前のスター、ロックンロールの「創始者」。若き日のビートルズやローリングストーンズが、彼に会うと観劇で泣いたってくらいの超カリスマ。って、若い頃そういう音楽を全く聴かなかった俺のような人間にとっては、「えっつ、そんな人物がいたんだ」と驚くくらいの、いわば歴史上の人物だ(そう思うと、知らない歴史を知れて、かなり有意義だ)。
しかし、リチャードの人生は波乱万丈、紆余曲折、何故なら彼は「クイア」だったから。
幼い頃から同性愛を自覚し、教会音楽しか認めない父親に抑圧され、黒人であるため活動の場所を封じられ、しかし圧倒的な音楽の才能で、差別の中、のし上がっていく様子は感動的でもある。
リトル・リチャードは、元祖「ドラアグ・クイーン」でもある。
黒人が女装して歌うなんて反道徳的だ、と思われるかと思いきや、これが実に奇妙な話なんだけど、女装すると「そういう役を演じている俳優なのだ」というテイになって、正統派音楽家としては認められない代わりに、一種の「芸人」(というか見世物)として白人の見るステージに立つことも出来た、らしいんだ(私の乏しい知識での解説です)。
彼は黒人でゲイで奇矯なスタイルで歌うアーティストとして、偏見を受けながらスターにのし上がっていくが、やっぱ苦悩を抱えていて、薬に溺れたり、突然引退して宗教家になったり、女性と結婚して離婚したり、とにかく批判と称賛、誹謗中傷の人生、今でいう炎上しっぱなしの人だ。
こういう話を劇映画にしても面白いと思うけど、これはドキュメンタリー映画で、よくぞこんだけ記録映像が残ってるな、と感心するのと同時に、彼の本当の心のうちは、この「異様にハイテンションのインタビュー映像」から観客それぞれが推察することになる。
そういうクイナ(奇妙)な人生について、臼井さんと高橋さんが語るのかと思えば、「もう皆さん御馴染みだろうから」ってんで、彼の楽曲がいかに後進に影響を与えたかって話を、曲を実際にかけまくって(臼井さん、映画館でパソコンでDJしている)、珍しい体験だった。このひとたち音楽のプロだ、と改めて思った。
さあ、このあと恵比寿行って、古賀さんの銅版画見て、タルトレットの飲み会だ。