関ヶ原で西軍は負けましたが、首を斬られたのは石田三成とかの「小物」ばかりで、総大将のはずの毛利も、大乱の切っ掛けを作った上杉も、ついでに言えば島津も、捕縛も処刑もされていません。
領地を大幅に削られながらも生き残り、幕末まで国持大名として続きました。
なんでかっていえば。
毛利をはじめとする西軍参加大名たちを、とことん追い詰めて取り潰すには、ものすごくコストと時間がかかるからです。
追い詰められた毛利上杉は死に物狂いで抵抗するはずだから、家康側にもとんでもない犠牲がでる。その間に折角の勝利の果実が雲散霧消してしまい、世の中は戦国状態に戻ってしまうこともあり得る。
だから家康は、適当なところで妥協したんです。
だから、西軍が勝利したとしても、家康・秀忠、東軍の諸将が捕縛、処刑される、てのは極めて考えずらい。
たとえ関ヶ原の局地戦で奇跡的に西軍が「勝った」としても、徳川家康をはじめとする東軍諸将の大半は退却して領国に帰って態勢を立て直すでしょう。
ほんとに万万が一ラッキーで家康を討ち取れたとしても、秀忠と徳川本隊は無傷ですから、徳川家は崩壊しません。
つまり、西軍が仮に関ヶ原で勝っても、天下がふたたび大乱状態に戻るしかありません。それが嫌なら、東軍諸将を皆殺しにして領地をまるごと分捕るという野望は諦めてください。そんなことは現実的にできません。もちろん実際に勝った家康も、そんなことはできませんでした。
つまり、関ヶ原で勝っても、毛利が天下を自由に出来るわけがありません。つまり、ここからが政治力の勝負なんです。
