「徳政令」というのは貧しい民衆を救うために出される「徳の政策」だなんて、そりゃとんだ勘違いデス。 | えいいちのはなしANNEX

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このブログの見方。写真と文章が全然関係ないページと、ものすごく関係あるページとがあります。娘の活動状況を見たいかたは写真だけ見ていただければ充分ですが、ついでに父の薀蓄ぽい文章を読んでくれれば嬉しいです。

半沢直樹でやってた「債権放棄」って、まさに現代の徳政令だよね。

権力者の横暴で、真面目に経済活動をしている者が馬鹿をみる、そんな世の中には、未来はない。

戦国時代の、織田信長などがやった「楽市楽座」には、徳政令が適用されない、ってのが大事な要件だったんだって。

あたりまえだよね。

「借金がなくなれば、町人たちは大喜びのはずじゃないの? なのになんで楽市楽座には適応されないの?」てのは、全く勘違いでだ、ってことは分かりますよね。

徳政令で借金棒引きになって主に喜ぶのは、小金を借りてる庶民ではなく、領地を質に大金を借りてる武士。てゆうか徳政令を命じた幕府や大名本人が借りてる金をチャラにするのが目的だったりもする。
逆に迷惑を被るのは、貸している商人。こいつらは幕府による許認可で商売できてる、って弱みで逆らえない。大商人ならまだ迷惑で済むが、中小の商人は潰されてしまう。
つまり徳政令ってのは実際のところ「弱いもの苛め」であって。幕府の経済政策の失敗の皺寄せを、弱い立場の者を狙い打ちにして誤魔化そうって政策に過ぎない。
これを「徳政」なんて言ってる時点で、幕府はろくなもんじゃない。

だから、楽市楽座なんですよ。楽というのは「フリー」という意味。理不尽な許認可を撤廃して、真面目に商売する者の権利を保護する。ある日突然権力者に借金チャラにしろなんて言われる心配なく、安心して正しい商取引が出来るようにする、ってことです。