「桐島、部活やめるってよ」の女子高生サナちゃん、東出昌大との「戦略的キスシーン」が衝撃的な、小悪魔というより悪魔的な、ヤバいキャラクターです。
これがもしテラハだったら、ツイッターで誹謗中傷が殺到するだろうな、っていう役回り。当時はツイッターないけどね。
実をいうと最初に「桐島」を見たとき、私はこの高校生の名前を知らなかったんです。主役ではないし。
深夜のお笑い番組「おされもん」で、おぎやはぎの隣でMCやってるのが只者でなくて、「こいつ何者だ」と思って調べたら、え、あのサナちゃんか!てんで、かなり驚いた。あ、バラドルじゃなく、女優なんだ。
「桐島」のサナは、学校で一番カッコいい宏樹(東出昌大、衝撃のデビュー作!)のカノジョであることが唯一絶対の存在価値であり、そのために「可愛い女子」であることだけに命懸けの、観客の反感を一手に買いそうな、ある意味「勝手にふるえてろ」のヨシカとは真逆のキャラクターです。
なので女子高生にしては化粧が上手すぎる、てゆうか、親友(?)の山本美月が圧倒的に美人なのに比べれば、あ~この顔も努力の成果なんだな、ってのがだんだん分かる。
東出のカノジョの座をを確保し続けるための努力も、エグい。
だから、二度三度とこの映画を見返すと、この高校生群像のなかで実はこのサナが一番痛くて、なんか共感したくなってくるから、不思議なんだよ。
というわけで、最初「桐島」を観たときは、顔が違う! と思ったんだけど、「はぁ?」みたいな台詞の上手さは、お~確かに松岡茉優だ。
高校生のサナは、ヨシカが高校生のときにこんなふうにしたかったけど出来なかった、そういう存在だったんじゃないか、って、二本続けて見返して、改めて思ったんだ。
でも「持ってても持ってなくても、同じ空の下」なんだろうな。日はまた昇るんだ。
ところで、「勝手にふるえてろ」で、ヨシカに迫ってくる男(渡辺大知)「二」、彼の名前が「桐島」なのは、偶然なんだろうか?
綿谷りさ原作だからね。