開国すると幕府は滅びる、ってなんで? | えいいちのはなしANNEX

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開国するとなぜ幕府が滅亡するのか?
固有名詞を一切使わずに説明します。できるか?
原理的な話のみで、細かい経緯は省略です。
「幕府」と「藩(大名)」で「幕藩体制」が江戸時代ですが、これは「農業絶対、自給自足」にフィットした国家体制です。
とにかく食える、飢え死にだけはしない。とにかく戦争しない。民衆が貧しくても死なない社会、これが江戸時代の鉄板ポリシーです。
そのためには、そもそも競争しないことです。海外貿易は(あまり)やらない。商売はほどほどに。三百いくつに分かれた半独立国(藩)が、それぞれ自分の国のなかで頑張って、自分で作った米を自分で食う。もっと豊かになろうとか考えない、質素倹約が美徳。これが「幕藩体制」というものができたときの理想像です。
幕府は、このために「鎖国」と呼ばれるような貿易制限をして、国内だけで平和に暮らす体制を作ったのです。このためには、国内が沢山の藩に分かれていたほうがいい。商売でカネのやりとりをするのには不便でも、そのほうがいい。
しかし、世の中はどんどん変わっていくもんです。人はもっと豊かになりたいという欲望を捨てられませんから、自然に商業は盛んになっていきます。幕府はそれを止めたくても止められません。「ナントカの改革」といって倹約倹約いっても、だんだん実態に合わなくなってきます。
そこに、黒船がきました。仕方なく開国しました。外国からモノとカネがどっと入ってきました。一気に「商業経済」が津波のように押し寄せました。誰も彼も商売しなければ始まらない世の中になりました。そうなれば、もう「幕藩体制」のシステムでは対応できません。日本がたくさんの自給自足の藩に分かれていたんでは、駄目な時代になってしまったんです。
こうなったら、幕府が生き残る方法はひとつしかありません。「幕府でなくなること」です。これしかありません。
幕藩体制をやめて、「藩」を潰して郡県制をしく。日本を中央集権国家に変えて、外国との競争に勝てるようにする。
しかし、いままでずっと「幕府」の看板でやっていた将軍に、それができるか。
最後の将軍は、ちょっと頑張ってみました。大政奉還をして幕府の看板を降ろし、新しい体制で再出発しようとしました。でも無理でした。みんなに認めて貰えませんでした。
結局、「幕府を倒して、新政府を作って、廃藩置県をやって、中央集権国家を作って、富国強兵して、外国との競争に勝って、もっと豊かになろうよ」という勢力が勝ちました。これが明治維新です。
というわけで、江戸時代は終わり、明治時代になりました。ということです。