渋谷シアターコクーンで「切られの与三」を見ました。「コクーン歌舞伎」、串田和美演出ですから、ほとんど自由劇場の雰囲気です。
「ご新造さんえ、お富さんえ、いやさお富、久しぶりだぁなあ~」という、アレですね(富は富でもトミショーランド、という広告が子供の頃あったなあ、と覚えてるんだけど、あれ、なんのCMだったんだろう、そういえば)。
とはいえ、たいてい歌舞伎の舞台では、この与三郎とお富の再会シーンがクライマックスで、この先もさらに七転八倒があるってのを、ほとんど誰も知らない、というわけで。この猥雑で、デタラメで、歌舞伎らしいっていえばこれほど歌舞伎らしい代物はない、という芝居を、最後まで全部見せたらどうなるか。
観客だけでなく主役の与三郎まで呆然としてしまうような展開、波乱万丈の人生が悪い夢のように思えてくる。いわゆる「アングラ小劇団テイスト」と言ってしまうと安直すぎるだろうけど、いやあ、すごく懐かしいモノを見てしまった。
東急本店ゆきシャトルバスというのがあることも今回はじめて知ったね。